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スズランは咲くだろうか?
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季節は初夏。
正確に言えば5月の終わりなのだが、もうすでに暑いから初夏ではなく夏だと思います……とか言って現実逃避をしている場合ではない。俺はとんでもないことをしてしまった。それが起こったのがついさっきのことだった。
クラスでのイツメンたちとの会話を終え、俺は部活動に行こうとしていた。だが、松宮からは活動場所を聞かされていなかったため(これは聞かなかった俺も悪い)しらみつぶしにその場所を探していた。たまに別の部活の人たちがいたときは俺が扉を開けると、一瞬にして空気が凍るから、辛かった……。そうしていると、2階の本館で使われていないはずの部屋に人の気配がした。その部屋には一度行ったことがある。昔は使われていたようだが、今はその面影すらないほどに寂れていたことが、記憶として残っている。
部屋に入る前にノックでもすればよかったのだろうが俺にそんな考えはなく、なんの前振りもなく部屋の戸を引いてしまった。そして俺は見てしまったのだ。
そこには吉田 祐樹の"女装姿"があった。
俺はなにが起きているのか、知りたくなかった。すぐに扉を閉めた。
1
「遅かったね、どしたの?」
「……ちょっと場所が分からなくてな、結構彷徨ってた」
「あれ?場所教えたはずだよね?」
「真也は方向オンチなんだよ~」
「うるさい。ばか。しゃべるでない」
彩芽のいじりを今気にしている場合では無い。
実際の「秘密部」は、別館の一階にある空き教室だった。そんなとこわかるか!1時間も歩いたんだぞ!っとそんなことはどうでもいい。
祐樹のあのカッコウはなんだったのだろう?いまいち理解が追いつかない。
頭が良くて、スポーツもできて、顔も良くて性格も良いアイツが女装……?ますます意味が分からないぞ……。
正確に言えば5月の終わりなのだが、もうすでに暑いから初夏ではなく夏だと思います……とか言って現実逃避をしている場合ではない。俺はとんでもないことをしてしまった。それが起こったのがついさっきのことだった。
クラスでのイツメンたちとの会話を終え、俺は部活動に行こうとしていた。だが、松宮からは活動場所を聞かされていなかったため(これは聞かなかった俺も悪い)しらみつぶしにその場所を探していた。たまに別の部活の人たちがいたときは俺が扉を開けると、一瞬にして空気が凍るから、辛かった……。そうしていると、2階の本館で使われていないはずの部屋に人の気配がした。その部屋には一度行ったことがある。昔は使われていたようだが、今はその面影すらないほどに寂れていたことが、記憶として残っている。
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「うるさい。ばか。しゃべるでない」
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