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302号室
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いつもの下り電車の左側から見える建物がある。
病院だ。それはなんの変哲もない普通の病院だ。
ただ俺はその病院を見る度に思い出す。
そう。あの日。あの病院で。
3年と少し前。
俺に言い渡されたのは紛れもない真実であり、また信じようにも信じられない出来事だった。
「沓掛さんが…病気!?」
寒い日に呼び出され喫茶店に居た俺は大声で言ってしまった。
「…うん。この間病院に行って分かったんだけどね。」
沓掛は片手に少し冷めたカフェオレを持ち、悲しそうに呟いた。
「…っでも大丈夫だよ。ほら。現代医学は進歩してるし…それに」
フォローしようとする俺の言葉はすぐに叩きのめされた。
「…無理なの」
「え…?」
俺はつい聞き返してしまった。自分の口から言わせるのが一番辛いと分かっていながら。
「…もう…治らないの…遅かったの…手遅れだったの…」
彼女の目が潤うのが見えた。
「…な…何かの間違いなの…では…」
「…私だって信じたくないよ…でも…信じるしかないの。」
俺は沓掛になんと声を掛けてあげればいいか分からなかった。ただ沓掛は辛そうな悲しそうな表情をしていた。
ただ、時間だけが無情にも過ぎ去っていった。外から聞こえる車のクラクション、救急車のサイレン、電車のガーター音、テレビの中にいるアナウンサーの声、皿とフォークがぶつかって鳴らす金属音、店主が野菜を炒める音、店内を包み込むコーヒーや食パンの匂いでさえ彼女をいじめているようだった。
「…あ…」
俺が声を掛けようとした時、沓掛はこう言った。
「1か月」
「いち…か…げつ…?」
何も考えられなかった。こんな非現実なことは。
夢と思っても醒めない。悪夢でもないリアリティ。
「…っ」
言葉が出なかった。いや。何も考えていなかったのかも知れない。
「私の余命。でもね、あと一ヶ月は遊んだり…それに仕事をしたり…他にもいろんなことが出来るの」
沓掛は辛い筈の話を続ける。
「……」
「だから…1ヶ月だけでいいから…私の最期の願いに付き合ってくれる…?」
気付けは俺の脳の中で余命1ヶ月という言葉が回っていた。なぜ病気に?なぜ余命1ヶ月なんだ?質問は湧き出るばかりだ。
さっきの頭が働かない状態が嘘のように。
でも質問の前に口が動いていた。
「そんな事聞くなよ」
初めて聞く俺の怒ったような声に沓掛は少し驚いたような表情をした。
だがそんなの関係なく、
俺は脳ではなく心で答えた。
「1ヶ月でも2ヶ月でも…半年でも1年でも…。いや。俺はいつでも君を手助けするよ。僕が死ぬその時までね。そんな付き合わない訳無いだろ?大切な仲間なんだから。」
沓掛の手を俺は取り、握手をした。沓掛の手は暖かかった。そして泣いていた。ただその涙は悲しいものでは無い事が確かであろう。
その日から俺は沓掛のしたいことを手伝った。家を片付けたい、美味しいワインを飲みたいなどの軽いものから、あの仕事を全部終わらせたい、星を飽きるまで見てたいなど結構きついような事もした。
時には街を練り歩いたり、行ったことのない名店を見つけたり。
だがたまに体調を崩してしまうこともあった。
でも沓掛はいつも笑顔だった。あの瞳はいつでも希望という名の光が輝いていた。こんな時間がずっと続けばいいのに。その時の俺はそう思った。
だがそんなに人生は甘くは無かった。喫茶店の事から1ヶ月が経とうとしていたある時、突然やって来た。
「…はいもしもし。どちら様でしょうか。」
俺は久しぶりに私用携帯にかかってきた電話に出た。公衆電話からだった。
「鈴だよ…ちょっといいかな?」
「あぁ沓掛さん…大丈夫だよ?どうしたの?」
「実は…入院することになって……いま病院から掛けてて…。ちょっと悪くしちゃって…さ…」
俺は察した。あいつは優しい嘘をついていると。少し…ちょっと悪くどころじゃない。これはもう近いのだと。
「そうか…ちょっと…か…。」
電話越しに判っているはずの何かが近づいて来るのが分かった。やはり電話越しでも何も言えない自分が悔しかった。
病院に行くと案の定当たっていた。もちろん当たってほしくなどなかった。希望に満ちていたあの目は暗く沈んでしまっていた。
「沓掛…さん。」
俺はそれから先は声が出そうにも出せなかった。
「…全然大丈夫だよ。何も心配することなんて無いよ。」
沓掛はそう言うが、剝かれて机の上にある切られた林檎には手を付けていなかった。
俺は全く声を掛けることが出来なかった。今でも後悔している。
俺はそれから毎日の様に病院に通った。休みの日も、仕事が長引いてしまった日も、電車が遅れた時も。俺は一日たりとも忘れることなく行った。
日に日に弱くなってゆく沓掛の姿を見て何度も涙が零れ落ちそうになってしまった。
12月の上旬。
その日は嘘と思うくらいの快晴で、所謂冬晴れと言うやつだった。世はクリスマス商戦で、どこもかしこも電飾とコスプレ野郎だらけだった。
俺は生まれて初めてケーキを買いに行った。ケーキ屋は会社からさほど離れていなかった。
中は案外空いていた。大体の人は予約をしているのだろうか。俺はそう思いつつ店内を見て回ることにした。
見てみるとショーケースにならぶケーキは残り少なかった。俺はその中のひとつを選び、箱に詰めてもらって病院へと向かう。
着く頃にはすっかり日が落ちていた。病院内は相変わらず静かだった。俺は受付を通り、エレベーターに乗る。
沓掛の病室は302号室。3階の端の方にある。冷たい廊下はやはり淋しく、切なかった。
俺は扉をノックした。そして2秒ほど待って扉を開けた。
部屋の中は暖かかった。沓掛は外を見つめていた。
「こんばんは。沓掛さん」
「…あ…お仕事お疲れ様…。今日も来てくれたんだね」
沓掛はこちらを見て笑った。
「ああ。」
俺は返事をしつつ扉を閉めた。
部屋には色々な機械が置かれていた。でもその機械たちは稼働していなかった。
「なにか椅子とかあります…?」
「うん。そこに椅子あるから座って…」
沓掛はベットの先を指差す。
「よっと。隣失礼しますよ。」
ベットの隣の椅子に座った。温もりの欠片もない硬い椅子だった。
「最近かなり冷えてきたでしょ…?外とか大丈夫なの?」
「流石に寒い。でもなんとかはなってるよ」
「そっか。なら良かった。…うん。」
会話をしながらコートを脱ぐ。まだまだコートは冷たかった。
「あのね。今日お母さんとお姉ちゃんが来てくれたんだ。」
「よかったじゃん。久しぶりに会ったんでしょ?」
「うん。…あの田舎町じゃなくて今は私の家に住んでるんだって。」
「かなり近くなったね」
「うん」
俺は脱いだコートを膝の上に置いた。
「…そういえば今日あの日ですね…分かります?」
話を自分から切り出す。
「あの日…?え…あっ……って分かるも何も私の誕生日だけど…」
「正解!」
「正解って…一番分かってるの私だって…」
「そんな正解者の沓掛さんにはこちらのショートケーキをプレゼント」
俺はずっと椅子の下に置いておいたショートケーキが入った白い箱を机上へと置いた。箱からケーキと付属のフォークを取り出し、沓掛の目の前に出した。
「…私の為に買ってきてくれたの?」
「あぁ。もちろん。」
俺は時間を置かずに答えた。
「……ありがとう。ね…。」
沓掛は俺の目を見て言った。沓掛の瞳に一瞬だけ光が戻って来ていたような気がした。瞳に映るものは名もなき粒なのか、はたまた新たなる芽だったのかも分からない。
ただ一つ、たった一つだけ言えることは。あの時。あの瞬間。
沓掛さんは幸せだった。
病院だ。それはなんの変哲もない普通の病院だ。
ただ俺はその病院を見る度に思い出す。
そう。あの日。あの病院で。
3年と少し前。
俺に言い渡されたのは紛れもない真実であり、また信じようにも信じられない出来事だった。
「沓掛さんが…病気!?」
寒い日に呼び出され喫茶店に居た俺は大声で言ってしまった。
「…うん。この間病院に行って分かったんだけどね。」
沓掛は片手に少し冷めたカフェオレを持ち、悲しそうに呟いた。
「…っでも大丈夫だよ。ほら。現代医学は進歩してるし…それに」
フォローしようとする俺の言葉はすぐに叩きのめされた。
「…無理なの」
「え…?」
俺はつい聞き返してしまった。自分の口から言わせるのが一番辛いと分かっていながら。
「…もう…治らないの…遅かったの…手遅れだったの…」
彼女の目が潤うのが見えた。
「…な…何かの間違いなの…では…」
「…私だって信じたくないよ…でも…信じるしかないの。」
俺は沓掛になんと声を掛けてあげればいいか分からなかった。ただ沓掛は辛そうな悲しそうな表情をしていた。
ただ、時間だけが無情にも過ぎ去っていった。外から聞こえる車のクラクション、救急車のサイレン、電車のガーター音、テレビの中にいるアナウンサーの声、皿とフォークがぶつかって鳴らす金属音、店主が野菜を炒める音、店内を包み込むコーヒーや食パンの匂いでさえ彼女をいじめているようだった。
「…あ…」
俺が声を掛けようとした時、沓掛はこう言った。
「1か月」
「いち…か…げつ…?」
何も考えられなかった。こんな非現実なことは。
夢と思っても醒めない。悪夢でもないリアリティ。
「…っ」
言葉が出なかった。いや。何も考えていなかったのかも知れない。
「私の余命。でもね、あと一ヶ月は遊んだり…それに仕事をしたり…他にもいろんなことが出来るの」
沓掛は辛い筈の話を続ける。
「……」
「だから…1ヶ月だけでいいから…私の最期の願いに付き合ってくれる…?」
気付けは俺の脳の中で余命1ヶ月という言葉が回っていた。なぜ病気に?なぜ余命1ヶ月なんだ?質問は湧き出るばかりだ。
さっきの頭が働かない状態が嘘のように。
でも質問の前に口が動いていた。
「そんな事聞くなよ」
初めて聞く俺の怒ったような声に沓掛は少し驚いたような表情をした。
だがそんなの関係なく、
俺は脳ではなく心で答えた。
「1ヶ月でも2ヶ月でも…半年でも1年でも…。いや。俺はいつでも君を手助けするよ。僕が死ぬその時までね。そんな付き合わない訳無いだろ?大切な仲間なんだから。」
沓掛の手を俺は取り、握手をした。沓掛の手は暖かかった。そして泣いていた。ただその涙は悲しいものでは無い事が確かであろう。
その日から俺は沓掛のしたいことを手伝った。家を片付けたい、美味しいワインを飲みたいなどの軽いものから、あの仕事を全部終わらせたい、星を飽きるまで見てたいなど結構きついような事もした。
時には街を練り歩いたり、行ったことのない名店を見つけたり。
だがたまに体調を崩してしまうこともあった。
でも沓掛はいつも笑顔だった。あの瞳はいつでも希望という名の光が輝いていた。こんな時間がずっと続けばいいのに。その時の俺はそう思った。
だがそんなに人生は甘くは無かった。喫茶店の事から1ヶ月が経とうとしていたある時、突然やって来た。
「…はいもしもし。どちら様でしょうか。」
俺は久しぶりに私用携帯にかかってきた電話に出た。公衆電話からだった。
「鈴だよ…ちょっといいかな?」
「あぁ沓掛さん…大丈夫だよ?どうしたの?」
「実は…入院することになって……いま病院から掛けてて…。ちょっと悪くしちゃって…さ…」
俺は察した。あいつは優しい嘘をついていると。少し…ちょっと悪くどころじゃない。これはもう近いのだと。
「そうか…ちょっと…か…。」
電話越しに判っているはずの何かが近づいて来るのが分かった。やはり電話越しでも何も言えない自分が悔しかった。
病院に行くと案の定当たっていた。もちろん当たってほしくなどなかった。希望に満ちていたあの目は暗く沈んでしまっていた。
「沓掛…さん。」
俺はそれから先は声が出そうにも出せなかった。
「…全然大丈夫だよ。何も心配することなんて無いよ。」
沓掛はそう言うが、剝かれて机の上にある切られた林檎には手を付けていなかった。
俺は全く声を掛けることが出来なかった。今でも後悔している。
俺はそれから毎日の様に病院に通った。休みの日も、仕事が長引いてしまった日も、電車が遅れた時も。俺は一日たりとも忘れることなく行った。
日に日に弱くなってゆく沓掛の姿を見て何度も涙が零れ落ちそうになってしまった。
12月の上旬。
その日は嘘と思うくらいの快晴で、所謂冬晴れと言うやつだった。世はクリスマス商戦で、どこもかしこも電飾とコスプレ野郎だらけだった。
俺は生まれて初めてケーキを買いに行った。ケーキ屋は会社からさほど離れていなかった。
中は案外空いていた。大体の人は予約をしているのだろうか。俺はそう思いつつ店内を見て回ることにした。
見てみるとショーケースにならぶケーキは残り少なかった。俺はその中のひとつを選び、箱に詰めてもらって病院へと向かう。
着く頃にはすっかり日が落ちていた。病院内は相変わらず静かだった。俺は受付を通り、エレベーターに乗る。
沓掛の病室は302号室。3階の端の方にある。冷たい廊下はやはり淋しく、切なかった。
俺は扉をノックした。そして2秒ほど待って扉を開けた。
部屋の中は暖かかった。沓掛は外を見つめていた。
「こんばんは。沓掛さん」
「…あ…お仕事お疲れ様…。今日も来てくれたんだね」
沓掛はこちらを見て笑った。
「ああ。」
俺は返事をしつつ扉を閉めた。
部屋には色々な機械が置かれていた。でもその機械たちは稼働していなかった。
「なにか椅子とかあります…?」
「うん。そこに椅子あるから座って…」
沓掛はベットの先を指差す。
「よっと。隣失礼しますよ。」
ベットの隣の椅子に座った。温もりの欠片もない硬い椅子だった。
「最近かなり冷えてきたでしょ…?外とか大丈夫なの?」
「流石に寒い。でもなんとかはなってるよ」
「そっか。なら良かった。…うん。」
会話をしながらコートを脱ぐ。まだまだコートは冷たかった。
「あのね。今日お母さんとお姉ちゃんが来てくれたんだ。」
「よかったじゃん。久しぶりに会ったんでしょ?」
「うん。…あの田舎町じゃなくて今は私の家に住んでるんだって。」
「かなり近くなったね」
「うん」
俺は脱いだコートを膝の上に置いた。
「…そういえば今日あの日ですね…分かります?」
話を自分から切り出す。
「あの日…?え…あっ……って分かるも何も私の誕生日だけど…」
「正解!」
「正解って…一番分かってるの私だって…」
「そんな正解者の沓掛さんにはこちらのショートケーキをプレゼント」
俺はずっと椅子の下に置いておいたショートケーキが入った白い箱を机上へと置いた。箱からケーキと付属のフォークを取り出し、沓掛の目の前に出した。
「…私の為に買ってきてくれたの?」
「あぁ。もちろん。」
俺は時間を置かずに答えた。
「……ありがとう。ね…。」
沓掛は俺の目を見て言った。沓掛の瞳に一瞬だけ光が戻って来ていたような気がした。瞳に映るものは名もなき粒なのか、はたまた新たなる芽だったのかも分からない。
ただ一つ、たった一つだけ言えることは。あの時。あの瞬間。
沓掛さんは幸せだった。
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