Eternal GunBullet

橘樹太郎

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SENCE1:最初の過ち

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 第Ⅲ階層に来た私達は、大きな正門の前に立つ。

 天空の国家───大昔は様々な国があるとされていたが、この時には既に国は一つしか無かった。

 ガルカニア帝国───武力国家で、第Ⅲ階層における現唯一国家。
 何故こんな場所に呼ばれたのか、この時は想像も付かなかった。


 正門が開き、城下町に入る。あまりにも珍しい光景に私は興奮したが、シェイドはいつも通りだった。

「もぅ~シェイド! 第Ⅲ階層なのよ?
今まで第I、第Ⅱばかりだったのに、新鮮だと思わない?」

 ・・・・・・彼はいつでもこの調子だ。
 私を助けた時から感情を見せる事は無く、私も一緒に旅をしてて、他の表情を見た事は無い。

「行くぞ」

「はいはい・・・・・・」

 第Ⅱ階層にある町と変わり無い風景だが、それでも人の密度は違うし、豪勢な雰囲気が至る所で感じられる。


 宮殿まで行き、玉座に座る皇帝と謁見する。

 皇帝は恰幅の良い中年の男で、だらしなそうに踏ん反り返っている。
 ・・・・・・正直、私達を呼び出したようには思えなかった。

「良くぞ来たな、来訪者・・・・・・そして、その"連れ"」

「はぁ───!」

 私は激昂しかけるが、シェイドは手を前に出して妨げた。

 何で止めるのか、それについては分かるのだが、この時は本当に皇帝のだらしない頬を引っ叩きたかった。
 
「・・・・・・呼んだ理由は」

「実は、お前の持ってる"銃"が欲しくてな。
それをワシにくれんか?」

「ちょっ、そんな事の為に・・・・・・!」

「見返りなら幾らでも渡そう。ここに住む事も出来るし、何なら大臣や最高職トップにだって就かせてやろう」

 どれだけ上手い条件を持ちかけられても、シェイドの答えは決まっていた。

「───それは無理だ」

「何故だ?」

「俺の銃は俺にしか扱えない」

 シェイドの言葉に、皇帝は腹を抱えて笑う。それもその筈、銃を使うかも分からない皇帝に対して頑なにそう告げたからだ。

「・・・・・・はぁ、ここまで無礼な奴は初めてかもしれんな。しかも「俺の銃は俺にしか扱えない」だと? 猥談も程々にしろ」

 ふざけた話に聞こえるが、シェイドの言葉は本当だった。
 これまで旅をしてきたが、彼の事は未だに分かっていない所があった。


 皇帝はシェイドから銃を奪おうと衛兵を呼び出し、私達を取り押さえようとする。しかし、そう簡単に捕まる訳にはいかなかった。

 シェイドは私を抱えた後、部屋にあるステンドグラス状の窓に向かって走り、そこに銃を2、3発撃ち込んで先に割った後、飛び出して行った───
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