レディブラスト 〜The Young Justice〜

橘樹太郎

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第9話:復讐の使者、その名はヴェンジェンス

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 復讐───それは、実行する本人にしか理解できわからないもので、正義とはまた違ったものだ。
 それはある日のこと、私のクラスではちょっとした都市伝説ブームになっていた。
 メジャーな都市伝説や怪談と言えば赤マント、口裂け女、こっくりさんなど・・・言うとキリないね。
 じゃあ、まず秋津市地元での都市伝説と言えば、霧の時に現れる赤ずきんの怪異、霧頭巾なんだけど・・・正直なところネット発祥だから作り話うそっぽいのよね。
 まぁ、今回の事件もネット発祥ではあるものの、事件として実際に起こったようだった。
 ───その名も『高速道路ハイウェイの死神』と言い、目撃者の証言によると、ボロボロの黒いローブに、その身体へ鎖をXバッテン状に巻いており、身長はなんと3メートルらしい。
 顔はフードで見えないものの、見た者は精神に異常をきたすらしい・・・。
 一説によるとキャプテン・サンダーボルトや他のヒーローと戦った可能性はあるようだけど、実際は分からない。正体不明で、なおかつ実在しているかすら分からないそんな相手。
 ならどうして、今都市伝説ブームになっているか・・・それは秋津市にいる暴走族が走行中に襲われたからだ。
 しかも場所はハイウェイ高速道路では無いものの、被害者の1人には酷い火傷痕、またある人は、狂気に囚われたように発狂したようだった。
 一説によると、何故か私がやったような話もあるが・・・私ダークヒーローじゃないし、そんな痛ぶる趣味ないもん。
 でもダークヒーロー系ってカッコいいし、一度でも見たいのが乙女心なんだけど・・・今回のは内容の通り、見たら正気度SANチェック案件だから、戦うにしても慎重にしないといけなかった。
 学校が終わり、橙子と話しながら帰っていると、だいぶ怖いお姉さん方とばったり出くわした。
 スケバン、レディース・・・意味知ってるわけじゃ無いけど、とにかくヤンキーっぽい人達で、私達と同年代か1、2歳年上の女子だ。
「何見てんだよ、あぁ?」
 1人の不良女子が私達に言うと、私より先に橙子が声を出した。
「ちょっと見たぐらいで恐喝? 大人気ない人達」
 彼女の挑発に不良グループが迫りそうになり、私はすぐに謝罪した。
「す、すみません・・・」
「ちょっ、ミカ!?」
 私の謝罪に驚く彼女は、すぐに頭を上げさせようとしたが、その前に不良が声を出した。
「そんなんであたし等の気が済むと思ってんのか!? 財布出すか、この場で土下座しろよ!!」
 怖っ、山賊みたいな事言われて窮地に陥るが、『こら、君達』と男の声が聞こえてきた。
 後ろを振り向くと、そこには自転車に乗ったお巡りさんがいて、不良達はヤバいと思ったのか、すぐ塩らしくなって逃げた。
 その時、1人の不良が私と一瞬だけ目を合わせた。
 その人物は赤いスカジャンを着た金髪の女性で、怖かったものの、同時に何処かで見たような感覚があった。
 不良達はバイクに乗って立ち去り、私達は助けてくれたお巡りさんに感謝した。
 その後、再び2人で帰るが、橙子からは心配と同時に説教された。
「もぅ、ミカさぁ・・・ああいう人達に弱みを見せちゃダメだよ」
「ご、ごめん・・・」
 私が謝ると、彼女は溜め息を吐いた後にこう言った。
「・・・ミカは素直だし、そんでもって真面目なのは分かるけど、ああいう人達ってそんな事知ったこっちゃないのよ?」
 本人もそこまで説教したくなかったのか、すぐに切り上げて話題を変えた。
「でも、ついカッとなった私も悪いわ・・・あ、悪いんだけど私と買い物付き合ってくれない? いやぁ、実は新しい化粧品が出るってね───」
 そんな感じでは私達は買い物に行ったわけだが、そんな次の日だった。
 この日は橙子と帰らず、1人で帰路についていたのだが、肩を落としている武雄くんにばったり出会した。
「武雄くん?」
 私が訊くと、彼は元気無さそうな表情かおを見せた。
「あっ、お姉ちゃん・・・」
「どうしたの?」
「・・・何でもないよ」
「そう?」
 何でも無さそうにする彼だが、どう見ても何かありそうなので、ここはヒーローというよりは、頼れるお姉ちゃんとして言ってみた。
「ここはお姉ちゃんに任せて、何があったか教えてほしいな」
 しかし、それを言うと彼は急に泣きじゃくってしまった。
「〔しまった、逆効果だったか・・・!〕」
 そう思いながら私は宥めようと焦るが、彼は自分から『秘密基地に行こう』と提案した。
 私は気まずい状態になりながらも秘密基地に着き、彼から話を訊いた。
 どうやら彼の家では、両親と姉の喧嘩が絶えないようで、それも悪化しているようだった。
 姉は頻繁に家を空け、両親の仲はギスギス、更には武雄くんは"姉が暴走族"だと言う事でいじめに遭っているそうだ。
 高校とか中学の時は不良系の方が好まれる傾向にあるらしいが、小学校といえば勧善懲悪が好まれる・・・そう考えると暴走族の姉がいる彼は、いじめの対象になりやすかった。
 話を聴いた私は、彼がいじめに遭っている事へ心を痛める。私も嫌がらせされた事あるし、今だって、ネット上で虐めに遭っている様な感じだ。
 だからこそ心が痛い。普通なら、そんな事気にしなくて良かったり、自分が努力とかして見返せば良いんだけど・・・それが出来ない人っているんだよね、私みたいに。
 先生に言うって選択肢もあるんだけど、本当に先生が注意してくれるかなんて分からないし、注意しても虐めが続くってのがオチ・・・前にいた私の知り合いがそうだった。
 私はどう声をかけて良いものか迷っていた。
 無理に励ますのはかえって逆効果になるし、だからと言って同情するだけなら、その場凌ぎになって解決には至らない───困った私は、結論を出せずにいた。
 私達の間に沈黙が続く中、彼は『帰らないと』と元気無さそうに言い、私は責任を持って見送った。
 武雄くんの家に到着するが、この時タイミング悪く、彼の姉と出会ってしまった。
 そう───その姉とは、橙子と歩いていた時に遭遇した不良グループの1人で、しかも一瞬だけ目が合った人物だ。しかも地味に思い出しちゃった。
 この人は"大村おおむら文華あやか、武雄くんの姉だけど・・・遊んだ記憶が無い。そもそもどんな人かもよく分からなかった。
「あ、お姉ちゃん」
 弟からそう言われても、彼女は無視するように、バイクと共に車庫へと入って行った。
「はぁ・・・バイバイ」
 彼は再び落ち込み、私に別れを告げると、そのまま家に帰って行った。
 その後、私は家に帰るものの───I.S.M.A.から緊急指令が届いた。
 内容は、秋津市から米代市に向かう為の国道で"巨大な人影が運転手ドライバーを襲っている"との事で、半信半疑ながらも私は現場に向かった。
 時間はなんと21時───明日学校なのに運が悪い・・・まぁ、月1単位のヴィランだから仕方ないけど。
 しばらくして現場に着くと、そこにいたのは、自分の首を抑えながら足をバタつかせている男性で、車はガードレールを突き破って田んぼの中に浸かっていた。
 男は不自然に浮遊しており、私は眼を疑ったが───その仕掛けはすぐ判明した。
 男の首には鎖が巻き付いており、その鎖を辿ると、そこにいたのは大きな人影だった。
「そこのデカブツ、その人を降ろしなさい!!」
 私が威勢よく言ったものの、相手は気にも留めない。無視されてイラッときた私は、相手にサウンドブラストを撃った。
 光線は命中したものの、全く歯応えがない。相手はこちらを向き、首を絞められていた男は不要になったのか、田んぼに投げられた。
 私は投げられたその人を助けようとするが、目の前には人影が立ち塞がった。
 身長は私より2倍も高く、ボロボロな黒いローブに、Xバッテン状に巻かれた鎖───私の前に立ち塞がったのは、"ヴェンジェンス"だった。
 スレンダーマンや八尺様と並ぶぐらいの威圧感と絶望感は、私に恐怖を与えるが、それでも戦わなくてはならない・・・私は拳を握って、この悍ましい状況に打ち勝たないといけなかった。
 次は拳で対抗したが、私はヴェンジェンスの体を透過して地面を殴っただけだった。
 正直、この時は怖かったよ・・・だって、相手が幽霊お化けみたいな存在にどうやって立ち向かえと。
 背中を見せた私に、鎖が飛んでくるものの、それを間一髪で回避───と思いきや鎖は触手のように追いかけてきた。
 宙を飛んで回避するものの、ちょっとした気の緩みで、足に鎖が巻き付いた。
「ヤバっ───」
 そのまま私は引き寄せられ、亡霊の前で宙吊りになった。
 頭に血が上りそうで辛いものの、拘束を解いてくれる程相手は優しくない。しかも、両手は使えるものの、攻撃が効かない以上、打つ手がなかった。
 相手は自分の顔と同じ位置まで私を上げ、顔を見るのが怖かった私は目を閉じた。
 目を合わせると石にされる───訳ではないだろうけど、絶対にヤバいと直感で感じたから、目を閉じたけど、無理矢理目を開かれそうなのも怖い。
 絶対に目を合わせないようにしていると、痺れを切らしたのか、私は激しく振り回されて遠くへと飛ばされた。
 勢いよく飛ばされたせいで、浮遊の制御が効かず、私はそのまま何処かに墜落した。
 それからしばらくして───私が目覚めると、ライトをつけたお巡りさんが顔を近づけており、私は焦って距離を置いた。
「・・・マスク取った?」
 あまりの焦りに、私は敬語を忘れて訊くと、お巡りさんは目を丸くしながら首を横に振った。
 周りを見ると、近隣の人達が集まっており、私は浮遊してその場を去ろうとしたが・・・エネルギー切れか、そのまま落ちてしまった。
「おい、大丈夫か・・・?」
 おじさんから心配されるが、私は『大丈夫』と言ってその場から去っていった。
 そして少し置いて再び現場に来たが、その時にはもう───奴の姿は無かった。
 警察が現場検証をしており、田んぼの方ではレッカー車で引き上げ作業が行われており、運ばれていく担架の上には、遺体袋が置いてあった。
 その中身が先程の被害者である事は容易に想像出来た・・・というより確定だったのだが、また誰かを守れなかった私は、自分の無力さに打ちひしがれていた。
 正直、ヒーローを辞めてもいいのだが───ネットに何を書き込まれるか分からないこのご時世、簡単に辞めたら叩かれそうで嫌だった。
 それだけ言うと、被害に遭った人についてどうでもいいのかと思うけど、それは違う。勧善懲悪ばかり見ていて、正義の味方に憧れていたからこそ、誰かを守れない事に心が痛んだ。
 家に帰り、次の日───私は寝不足のまま学校へ行き、授業中に寝てしまった。
 先生の声で起きるものの、意外にも心配されて保健室まで連れて行かれた。
 ベッドで横になっていると、橙子がカーテンを開けて私に声を掛けた。
「ミカ、大丈夫?」
 私は『大丈夫』と言ったものの、正直言って辛い・・・というか眠い。きっつい戦いだったし、アレの正体が本当に何なのか知る為に色々と調べないといけなかった。
 家に帰り、自分の部屋に行くと何やら連絡が───そう、I.S.M.A.からだった。
「はい、もしもし・・・お疲れ様です」
『お疲れ。お前が戦った敵についてなんだが・・・』
 電話の相手は藤堂さんで、彼は土曜日に、指定した公園で"ある人"と会えないかと訊き、私は首を傾げながらも会う事にした。
 指定された公園に着いた私は、レディブラストでは無く、立花未可矢わたし自身として来た。
 そしてベンチに座っていた人物は───
「あっ、ごめんね。休日なのに」
 そう、枢木衣莉奈さんだ。彼女は黒い冬物のワンピースと帽子を被っており、いつもはスーツ姿しか見てなかった私にとって驚きだったし、何より・・・綺麗。
 いやいや、そっち系の話じゃなくて、普通にモデルとか出来そうな感じで着ているから出た感想で、私には到底真似できなかった。
 枢木さんは帽子を外して謝るが、私は首を横に振って謙遜した。
 そして私達の話が始まり、彼女は今回のヴィランについて話した。
「未可矢さん、昨日貴女が戦った相手の名は、"ヴェンジェンス"と言います」
「ヴェンジェンス・・・ですか」
 ヴェンジェンス───それは、復讐を意味する言葉で、ゾッとする話だが、生きている者ではないというべきか・・・だからと言って幽霊でも無いから分類が難しい。
 簡単に言うと精霊みたいな感じ、しかも悪魔側の・・・同じような設定、何処かにあったよね。
「・・・なら、奴の目的はなんですか?」
「ヴェンジェンスはその名の通り、復讐の使者よ。彼は、誰かによって無念の死を遂げた者の姿を借り、その無念を晴らす・・・自分その人の復讐心が収まらない限りはね」
「でも、私の攻撃は効かなかったんですよね・・・」
 そうは言ったものの、戦った時の状況を思い出してみると、不可解な点があった。
 その点というが、サウンドブラストは命中して、チャージ無しのパンチはすり抜けたのが、色々と引っかかった。
 いや、確かにサウンドブラストは敢えて命中させた、とか不意に喰らったから、身体を透過させた可能性もあるけど・・・もしかしたら、エネルギー系の攻撃が唯一の対抗策なのではないかと、私の中では微かに思えていた。
 だが、それが憶測でしかなかった事から、私はその事を言わなかった。命中しても、効かなかったら意味ないからね。
 ふと、強い風が吹き、枢木さんの髪が一瞬なびく。その時に見たものは、私にとって脳裏に焼きついてしまう程の衝撃だった。
「・・・見てしまったのね」
 彼女からそう言われて、私は誤魔化そうと考えたが、やっぱり本当の事を言った。
「はい・・・すみません」
「謝らなくていいのよ。ただ、貴女に怖い思いをさせたらと思って・・・」
「いえ、そんな・・・とんでもないです!!」
「───身の上関係ない話になるのだけど、聞いてもらえるかな?」
「はい」
「私がI.S.M.A.に入ったのは、貴女と"同じくらい"の歳でね」
「同じぐらいの歳で・・・えっ、未成年の頃からなれるんですか?」
「ふふっ、普通はなれないけどね。勧誘スカウトされたのよ、貴女と同じような理由で」
「私と同じ・・・という事は、何か能力を?」
以前まえまではね───」
 そう言って彼女は、隠していた方の顔を露わにした。
 その顔は隠していない方とは反対に焼け爛れたような肌になっており、目の部分には膿が溜まったように黄色く腫れており、目として機能しているかも疑わしかった。
 今まで見えなかった顔半分を見せてもらったのにも関わらず、私は驚愕としていた。特にそう感じるのは、何をどうしたらそんな事になるのか・・・私は気になっていた。
「何故そんな事に・・・」
「───この片目は元々、"超常的なモノを捉える為の魔眼これ"だったのだけど、色々あってね」
 話を聞いていると、多分私とは別の分野だったんだろうと思う。私がニチアサなら、枢木さんは深夜帯・・・って何言ってんだ私。
「元々はI.S.M.A.に保護されて協力していた身だけど、能力ちからを失い、路頭に迷った私を救ってくれた"あの人"のおかげで今の私がいるの」
「あの人?」
「うん。その人の名前はね、"アルヴァン"と言うの」
 彼女を救ったとされる、その人物について訊こうとしたが、その時、私の電話が鳴った。
「あっ、すみません」
「いえ、大丈夫よ」
「ありがとうございます」
 タイミングの悪さに呆れながらもスマホを見ると、橙子から着信が入っていた。
「もしもし?」
『あっ、ミカ? もし暇だったら遊びに行かない?』
「ちょっと待ってね」
 私はミュートにした後、枢木さんの顔を見ると、彼女はウインクをした。
 顔半分の状態など気にならなくなるぐらいに綺麗で爽やかなウインクに見惚れそうになってしまったが、本当にソッチ系じゃないからね、勘違いしないでね。
 その後、私は橙子の買い物に付き合い、家に帰る最中、後ろから声を掛けられた。
「おい」
 『橙子かな?』と思ったが、明らかに彼女の声とは違ったので後ろを振り向くと、そこにいたのは───
「えっ───あ」
 そう、その声の主は、武雄くんの姉、文華あやかさんだ。彼女に声を掛けられた私は、開いた口が塞がらず唖然としていた。
「なぁ、お前に話が───って、何だその表情ツラは?」
「あっ、すみません・・・」
 私はビクビク震えながら彼女に付いて行った。
 曲がりなりにもヒーローやってても、この手の人には慣れない。やっぱり怖いんだよね・・・この手の人って。
 どこかの路地裏に連れて行かれ、壁ドンまでされた・・・しかも怖い方で。
 側から見ると、完全に恐喝にしか見えないが・・・実際は違った。
「───弟に、武雄に近づくな」
 文華さんは、鋭い眼光で目を合わせながらそう言い、私はその凄みに圧倒されていた。
 サウンドブラスト撃てばいいとか、チャージ使えばいいとか、嫌な考えも浮かんでしまうが、相手は仲の良い子の姉だし、能力バレしたら色々ヤバい・・・マジで悩んだ状況だからこそ、私は恐怖を抑えて我慢する事にした。
「・・・何でですか?」
 やっぱり気になった私は、何故武雄くんに近づいちゃいけないのか訊いた。
「それは・・・お前が気に食わないからだ」
 彼女はそう言ったものの、一瞬だけ目を逸らす。まるで今言った事は建前で、本音は別にあるようだった。
 揺さぶりをかけてみたかったが、怖さの方が優っていた私の頭は真っ白になっており、『分かりました』としか言えなかった。
 返事を聞き、彼女は静かに立ち去り、私はその場にもたれ込む。いやぁ、この時は怖かったなぁ。文華さんの睨みガンは、ヴィランと同じ、若しくはそれ以上に怖いんだよね。
 私が立ち上がって路地裏から出ようとすると、そこには───謎の少年が立っていた。
 七三分けの髪に子供用スーツと、場違いな身なりだが、青白い肌と色を失いかけている唇など・・・まるで人のように思えなかった。
 不気味に佇む少年に対して、私は優しく声を掛けた。
「こんにちは、どうしたの?」
「───"レディブラスト"、我の邪魔をするな」
 子供の姿に似合わない低い声と只ならぬ威圧感から、私は距離を取った。
「・・・あなたは何者なの?」
「我は復讐ヴェンジェンス───この者の姿を借りて話している」
「・・・見れば分かる、邪魔した私の正体を晒す気?」
「我は汝に興味は無い、復讐を遂行するのみ」
「人を殺すのが復讐? 本当にその人達が何かしたの?」
「ならば見せよう───」
 彼がそう言うと、私はその目に意識を吸い込まれた。
 目蓋を開くと、私は後部座席に座っており、前には男女が座っていた。
 外は暗いものの、左右が田んぼで囲まれており、私の隣には熊のぬいぐるみが置いてあった。
 何処かへの帰りで、助手席に座っていた女性が、後部座席に座っていた私を見て微笑む。運転席の男性は、前を見ているものの、バックミラー越しから微笑んでいた。
 しかし、そんな幸せな雰囲気を壊すように、ある車が近づいてきた。
 銀色のスポーツカーのような車は、私達の乗る車の後ろに着き、急接近した。
 私は動揺するが、この記憶の保持者は怯えているのか、母親がこちらを振り向いて宥めようとするが、銀色のスポーツカーは右の車線に入って追い越した後、こちらの車線に再び戻って次は急ブレーキし始めた。
 父親は避けようとハンドルを右に避けるものの、それは大きな過ちだった。
 何かの因果なのか、それとも不幸を呪うべきなのか───右の車線に入った瞬間、目の前にはトラックが迫っていた。
 車はトラックと正面衝突する寸前に、目の前が真っ暗になり、その後は私にも分からない。ただ、察しはついてしまった。
『その後、この家族の命を奪った運転手は、何事も無く日常を過ごし続け───生き残った両親おやは反対に、日常が崩壊した』
 次は俯瞰視点となり、先ほどの両親が喧嘩している光景を見た。
 話の内容では、あの時、車のナンバーを見る事が出来なかった事への話や、ドラレコを付けてなかった事、更にはネットでの批判バッシングが逆に親へと向かっていた。
『煽られたのは、元々トロトロ走っていたからじゃないのか』
『トラックの運転手が可哀想』
『ドラレコを付けてない時点で、煽られて当然』
 当然、批判だけじゃないのは確かだが───人は追い詰められるとネガティブなものしか見れなくなる。私もそうだから言ってるだけだけど。
『その後、母親は精神に異常をきたし離縁を、父親は様々な要因で自らの手で命を絶った───だが、彼等にはそれでも尚、心に秘めていた想いがあった。それは───』
 復讐───例えこれが、自分達が引き起こした事であっても、それでも相手を赦す事が出来なかったのだろう。
 それからも場面が変わり───次に見せらものは、バイクの集団に轢かれた少年の無惨な姿で、手に持っていたソフビには血がべったりと付いていた。
『これは、今借りている姿ものの最期───彼は無法集団に轢かれた』
「・・・両親おやは?」
『彼には1人の母親がいた───しかし、彼は見捨てられてしまった』
「そんな・・・」
『だが、彼はそれでも信じようとした───だから出ていってしまった』
「・・・その母親はどうなったの?」
『置いて行った事を後悔し、自ら命を絶った』
「───あなたがやったの?」
『我が手を下すのは、理不尽に命を絶たれ、復讐を強く望んだ者にのみ───』
「ということはやったのね・・・」
『だが、未だにその無法集団は捕まっていない、あと"1人"だ』
「1人?」
『あとの1人は逃してしまった、"ある者に妨害"されて』
「それは・・・ご愁傷様」
『汝に問うが、先ほどの記憶を見ても尚、復讐を否定するのか?』
 そうは訊かれたものの、私は復讐を否定する気になれなかった。
 被害に遭った人を考えると、とても責める気になれず、私ですら、裁かれた者に対して憎しみを覚えていた。
 でも───本当にそれで良いのだろうか? それでは、復讐は続くのではないだろうか・・・そう思った私の答えは───
「───私は、あなたのやる事を否定する」
『・・・憐れなものよ。現実は汝が思う程、綺麗にはならない』
 それを最後に、私の意識は目覚めた。
 意識を取り戻すと、目の前にいた筈の少年は、もういない───恐らく相手は、復讐を続ける気だ。
 犯罪が蔓延るわけではないにしろ、いじめやハラスメントの被害者も恐らく、復讐を願うかもしれない───だが、先ほどの話を聞く限り、死後に復讐を強く想うか、それかその血縁者や身近な人が同じく想うかだ。
 私はスマホで検索していく。秋津市で起きた轢き逃げ事件を調べ、先程の追体験に似たものを探した。
 調べていくうちに、その事件に似たものを発見する。どうやら内容としては、1年前で、暴走族により轢かれた少年は即死───しかし、轢いた暴走族のメンバーは次々と謎の死を遂げているようで、遺体には火傷の跡や、両眼を焼かれたりしていた。
 当然、この内容を見て寒気がして吐きそうになるものの、何とか堪えた。
 しかも───暴走族の1人は生き延びたそうだが、それが何と女性のようで、しかも、その時着ていた赤いスカジャンはまるで、文華さんの着ていた物と同じだ。
 顔はヘルメットで見えなかったものの、文華さんの可能性がある・・・とは思いつつも、そうは思いたくない私は、枢木さんに直接連絡した。
 枢木さんと繋がり、彼女にヴェンジェンスと話した事や、次に狙うと思われる人物を伝えた。
 その際、ヴェンジェンスは夜が一番行動しやすいと重要な情報を貰い、私は感謝した。
 そして日は落ち・・・私はレディブラストの衣装に身を包み、文華さん達のバイカー集団を追跡した。
 追跡する中、バイクに乗っていた1人の女性が突然吹き飛ばされ、他の人が近付くと、今度は他の人が直立不動になって浮かんだ。
 私の感覚では霊的なものを捉える事はできないものの、エネルギーを使えばもしかしたら捉える事はできるかもしれない───私はその感覚をイメージして、再び見ると、そこには案の定───ヴェンジェンスがいた。
 奴は2人の女性を、自身の鎖で縛り上げて宙に浮かせており、他の人はこの不可解な現象に対して困惑していた。
 私は道路に着地して奴に声を掛ける。しかし、こちらを気に留めない為、私はサウンドブラストを背中に撃って気付かせた。
 奴はこちらを振り向き、私は相手を睨みつける。文華さん達はこの不気味な悪霊に対し、驚きを隠せなかった。
「逃げるぞ、文華!!」
「あの2人が───」
「無理だよ、早く!!」
 文華さんは、ヴェンジェンスの姿に対して呆然としていたが、仲間に言われて我に返り、彼女等は逃げて行った。
『仲間を置き去りにするのは、薄情なものだ』
「誰だってあなたの姿を見れば、ああなるよ・・・早くその2人を離しなさい」
 私がそう言うと、相手は無言で2人を別々に投げ飛ばし、私は助けようとするが・・・1人を助けるのが限界だった。
 もう1人は別の方へ投げ飛ばされ、私は助けようとするが手遅れ───だが、そこにドローンが現れてエアバックを出し、悲惨な事になる事を防いだ。
 私は安心し、I.S.M.A.の人が近くにいるんだと、この時は思っていた。
 2人を歩道に寝せ、救急車を呼んだ。
「ありがとう!!」
 ドローンに手を振りながら、ヴェンジェンスの追跡を始めた。
 宙を飛ぶ際に、何か重くのしかかる様な違和感を感じるものの、この時は気にも留めなかった。
 追跡する中───奴から逃げているのは、文華さんだけになり、彼女は巧みな運転技術で振り切ろうとするが、途中で鎖がバイクの前輪に巻き付いて、彼女は前に飛ばされた。
 私は先回りして文華さんを受け止め、安心のため息を吐くが、彼女は恥ずかしかったのか、すぐに離れた。
 しかし、私達の前にはヴェンジェンスが立ち塞がっており、文華さんは睨みながら、スカジャンの裏から伸縮性の特殊警棒を出して伸ばした。
「よくもあたしの友達ダチを・・・!!」
「待って、文華さん───」
 私は誤って名前を言うが、それでも彼女は聞こえていないのか、姿を現したヴェンジェンスに警棒を降るが、案の定スカッた。
 その後、文華さんの身体は鎖が巻き付いて足をバタつかせるしか出来なくなり、完全にヤバい状況だった。
「ヴェンジェンス!!」
 私は叫ぶ様に奴の名前を呼び、私は腕にエネルギーをチャージした。
 そして殴りかかり、私の攻撃は命中する───ただ、感触はあっても効いている感覚がない。
 私は一歩下がってサウンドブラストを放つが、相手はその場から動かず、逆に鎖を伸ばし始めた。
 避けたり、蹴り飛ばしたりするものの、あまりにも捌ききれず、私の足に鎖が巻き付いた。
「しまっ───」
 私は勢い良く振り回されて、アスファルトや電柱に叩きつけられた。
 普通ならグロ注意な光景なんだけど、身体が超人化しているおかげで、そうはならないんだけど・・・地味にトラウマなったよこれは。
 マスクにヒビが入る感触があり、鎖は足から身体、頭に巻き付いて、私はぐるぐる巻きにされてしまった。
 もがこうにも、もがけずにそのまま私は奴の正面に引き寄せられ、右には文華さんが拘束から解かれようともがいていた。
『汝が我に邪魔した罪、重いぞ』
 私を縛り上げた鎖の締め付けは強くなり、身体中が悲鳴を上げる。体内の骨や内臓が皮膚や肉を通して圧迫され、その痛みや苦しみに私は涙を流しながら無言で耐えていた。
「待て、やめろ・・・」
 文華さんが苦しむ私を見てそう言うと、ヴェンジェンスが彼女の方を向き始めた。
 この状況がヤバいと感じた私は、奴に待つ様言い、こちらを再び振り向いた。
「ヴェンジェンス・・・その人を裁く代わりに私を・・・私ならどうなっても良いから・・・」
 ただ、この好きにしてという私の提案は、完全に地獄の始まりだった。
『───汝がこの者の苦しみを肩代わりするとは、そこまで自分を犠牲にする程大切か』
 ヴェンジェンスがそう言うと、私の身体中に高熱を当てられている様な痛みが広がった。
 スーツやマスクを通して伝わる高熱は、私に鋭い痛みを与え、耐えきれなくなった私はとうとう泣き叫んだ。
 その声は真夜中に響くものの、誰も来ない。徐々に声は掠れていき、私の声は声にならなくなっていった───
「やめろ・・・お願いだから・・・!!」
 私の苦しみを見るのが辛いのか、文華さんが涙を流して懇願すると、ヴェンジェンスが彼女の方向を再び振り向いた。
 彼女は絶望したように奴を見上げており、息遣いも乱れていた。
 私には、こちらを振り向かせるだけの声を出す気力がもう無く、文華さんがどうなるかをただ見る事しか出来なかったが───そんな時、背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ヴェンジェンス、その達を離しなさい」
 それは枢木さんの声で、私の方は解放されたものの、文華さんは解放されなかった。
 枢木さんは自動式拳銃ハンドガンを構えながら私へと寄り添った。
「く、枢木・・・さん・・・」
「・・・遅くなってごめんね、"この空間"に入るのに手間取っちゃって」
 彼女は"空間"と言ったが、私は未だに分からない。しかし、追跡途中にあった違和感は、恐らく、この空間に入った時の事だろう。
『その武器では、我が体に傷付けられない』
「私は貴方と戦う気は無い、何せ魔眼これはもう使えない」
『なら何が目的だ』
「───今すぐそこの娘を解放し、元の世界に戻りなさい。そのは、貴方の"探している人"とは違う」
「えっ・・・?」
 私は枢木さんの言葉に驚くものの、彼女は奴に向けて話を続けた。
 どうやら話によると、文華さんが着ていたスカジャンの持ち主は、今年初めに自殺しており、それを知らなかったのか、ヴェンジェンスは文華さん達を襲った・・・憐れどころか間抜けに感じちゃうよ。
 しかし、そんな話をしても信じたくないのか、それともノルマでもあるのか、一向に文華さんを解放しない。それでも枢木さんは、死にかけている私に代わって交渉し続けた。
 途中から理解できない話となり、私は意識を失った。
 その後───私が目覚めた時には、そこはベッドの上だった。
 近くには枢木さんや藤堂さんがおり、2人は笑顔を見せた。
「おはよう、未可矢さん。怪我はどう?」
「大丈夫です───」
 しかし、顔を触ると、何やら布の様な感触があり、2人は笑顔を曇らせた。
 ここで私は察し、顔から手を離す。一生残るような傷を私は受けたのだ。
 復讐したい───そう一瞬ぎってしまうが、復讐心を糧にするであろうアイツには逆効果だろうと思って、私はその考えを否定した。
 文華さんは一般の病院で入院しているようで、命に別状は無く、彼女の友達も特に大丈夫だった。
 ドローンを派遣した事に感謝したものの、身に覚えが無いのか、2人は首を傾げていた。
 私は治療の為に学校を休み、家にも帰れないが、I.S.M.A.の方で対応する為か、安心して私は治療に専念できた。
 しかし、本当にあれでよかったのだろうか・・・私は自らの善意で復讐を否定したが、もし自分が同じ立場に遭っても、否定することはできるだろうか?
 復讐の連鎖は収まる所を知らず、復讐を強く望む者に、復讐の使者ヴェンジェンスは現れる───たとえ、死しても尚、復讐それを望むのなら。
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