小頭はBL

壺の蓋政五郎

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小頭はBL 8

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「康介さんお願いします」
 安寿の乳を揉んでいた康介が一旦手を離して健司のファスナーを下ろした。
「じゃいいですか、今はマックスです。ほれっ」
 池に鯉を放すように健司が押さえた手を広げた。
「すっ、すごっ」
「み、みごと」
 二人は健司のモノを目の前にして改めて絶句した。
「さあ、尼僧の前に突き出しなさい」
 健司がにじり寄る。安寿が口を最大に広げて咥えた。
「ほうはく はんまんはらほらはん ひゅんだ はろはひや ほはたほ ほんはろは ひゅんまん」
 おまじないが上手く言えない。安寿の口の中で萎えていく。安寿が怪訝な目を向けた。これまで数多の男を咥え込んだ安寿の性技で果てるとも萎える男は一人もいなかった。
「安寿様、一旦抜きます。小頭のと丈比べしてみたいんです」
 康介が抜いて立ち上がりモノを安寿の口元に持って行った。安寿が一旦吐き出した。健司は康介の滑り立つモノに感じた。そして萎え始めたモノは一気に勢いを増した。
「三倍じゃありません、四倍ですね」
 康介が先っぽを付けて比べた。それを安寿が片方ずつ握った。
「康介さんのは指が届くけど、小頭のは半分ちょい」
 安寿が二人の先を舐め比べた。そして安寿は健司のモノを再び咥えた。
「それじゃ続けます」
 康介は元のポジションに戻り腰を振り始めた。安寿は康介のモノではモノ足りない。そもそも入っている感がない。それでも悪霊払いの続きを始めたい。男の絡みを見てみたい。
「さあ、小頭もう昼になりますよ。正午には檀家さんがいらっしゃいます。それまでに康介様の悪霊を祓いましょう」
 健司は康介の背後に回った。
「康介、本当にいいんだな」
「は、は、はい」
 康介の白い尻を掴んだ。押し広げた。覗き込むと壁が見えた。『あの壁だ、あの壁に二度ぶち当たり退散した。三度目の正直、神様仏様、俺の性はこれでいいんでしょうか?この若者を巻き込んでもいいのでしょうか?』健司は壁を眺めながら神に祈った。佐藤健司は二十八歳、童貞、二枚目で律義で仕事も出来る。近隣からは好青年で人気がある。声を掛ければ女はイチコロ。だが性癖がマイノリティであった。誘われてもその気にならずここまで来た。先代から尚子を宜しく頼むと遺言もある。でもこの性癖は変わることがなかった。
「小頭、いきなり小頭のモノじゃ壊れてしまうかもしれないんで、指で試し掘りをしてくれませんか」
 康介が懇願した。
「こ、この指でか?」
 健司が爪を確認した。そして壁に当てた。
「小頭、康介さんの尻穴はぬめりが足りないでしょ、尼僧の汁を救ってそれを塗って挿し込んであげなさい。康介さん、一旦抜いて尼僧の口に入れなさい。素早くですよ、悪霊が逃げてしまうかもしれません、せいのうで行きますからね。それじゃ、せいのう」
 安寿の掛け声と同時に康介が素早く抜いて入れた。
「さあ小頭、尼僧の汁を救って指に馴染ませなさい」
 健司は言われたように安寿の股間に触れた。だが女の股間に触れたのは初体験、あの位置さえよく分からない。
「ここですか?」
 安寿は康介のモノを吐き出した。
「それは尻穴です。でもせっかくだから擦って見て」
 健司が擦ると安寿が悶えた。
「指ではなくモノで擦るのです」
 健司は先っぽで突いた。
「そうではなく擦り付けるのです」
「こうですか?」
「そうです、そうです、悪霊が苦しんでいます」
 安寿は悶えた。
「ああ、悪霊が陰核に移動しました。小頭そのまま陰核に当ててください」
 小頭には陰核が分からない。適当に上下する。安寿が震え白目をむいている。
「あっ、安寿様どうしました?」
 安寿の異変に気付いた康介がモノで頬を張った。安寿が昇天している様が悪霊に見える。
「小頭、安寿様に悪霊が」
 康介が健司に伝えた。
「だ、大丈夫です。悪霊が尼僧に襲い掛かっています。小頭の協力が必要です。尼僧の穴を塞いでください、早く」
 尼僧はエクスタシーを我慢している。健司の擦りでイッてしまってはもったいない。しっかりと健司のモノを堪能したい。
「はっ、早く入れて~」
「失礼します」
 安寿の潤った部分にモノを当てた。尻を突き出すと襞を擦りながら穴いっぱい隙間なく入っていく。必然的に溶液が吹き出す。
「あ、安寿様、大量の水が流れ出ました」
「悪霊の本体です。さあ、もっと突き出しなさい」
 安寿はこれまでに味わったことのない快感に失神寸前である。
「おん まりしえい そわか おん まりしえいそわか」
「それは何のおまじないですか」
「悪霊を追い祓う摩利支天のお力です」
「もう、もうすぐです、おん まりしえいん~ああ~ん そわかうん~ おうん~ まりしえいいいいいいいいいん~ん」
 安寿がバタバタと身体をうねらせた。ご本尊の千手観音が揺れた。
「観音様が」
 揺れるご本尊を見て康介が安寿の力を感じた。しかしご本尊の揺れは単に安寿の悶えの激しさに畳繋がりで反応しただけである。そして健司のモノは安寿の中で萎れて行くばかりである。
「小頭は発射したんですか?」
「いや」
「どうしてですか?」
 健司は康介に答えられない。
「ほら俺の尻穴を見てください」
 安寿の中でも果てない健司に疑問を感じた康介がまさかと思い尻穴を向けた。すると敏感に反応した。
「まさか小頭は?」
「馬鹿言うんじゃねえよ、俺は安寿様の表情を見て興奮したんだ」
「本当ですか?」
「あたりめえだろ、俺は小松組の小頭だよ、男を売るとび職だ、男に興味はねえ」
 その時玄関の引き戸が空いた。
「こんにちは檀家の植木ですけど安寿様はおいででしょうか?」
 二人は慌てて服を着た。
「安寿様、檀家様がお見えですよ、安寿様」
 安寿を抱え起こした。
「もう一回」
「檀家様ですよ」
 安寿が我に返った。短パンの上に薄紫色の法衣をまとった。
「袈裟 袈裟」
 投げ捨てた袈裟を拾いパタパタと振ってさっと身に着けた。
「あら植木様お待ちしておりました な~む~」
 健司と康介は崖の上に昇った。

 時計を見た、午後四時半。アルバイト先のコンビニでそわそわしている。昨日が神輿の練習日と早とちりしてしまった。その時同好会の会長である健司と話をした。この町のお祭りには歴史がない。町興しであると健司から聞いて迷ってしまった。鎌倉の海と歴史ある地で、その海と歴史に浸って暮らすのが西田鉄男の夢であった。北海道の片田舎から高校を中退して東京に出て来た。警備員をしながら小銭を溜めた。そして念願の鎌倉に越して来た、それが今泉だった。車が無い鉄男が海に出るにはバスで大船、大船からまたバスを乗り換えて行かなければならない。以前住んでいた新橋からより時間がかかる。
「西田君」
 レジで店長の土井が呼んでいる。
「はい、何でしょうか?」
「何でしょうかって君の動きを見ればわかるよ。行って来なさいお神輿の練習に」
「でも、昨日間違えて早退したし」
「いいから、気にしない。私が行って欲しいんだ」
「店長」
 土井は今泉に若い人の力が足りないと考えている一人であった。自分は岩瀬に店を出している以上岩瀬との交流を続けなければならない。鉄男には今泉の活性化に携わって欲しい、そして自分の町にして欲しいと願う。
「今泉はさ、もうこれ以上の発展は望めないかもしれない。でも若い人が頑張ってくれればさ、発展はなくても衰退も防げると思う。今がその過渡期だと感じる。小松組の小頭が神輿同好会の会長になって、町の人達も期待している」
「素敵な人だと感じました」
「困るよ西田君、小頭には尚子ちゃんて許嫁がいるからね」
 土井は鉄男から性的マイノリティであることを面接の時に聞いていた。鉄男が健司に思いを寄せたら困ると布石を置いたつもりである。鉄男は尚子と初対面ながら気を許すことが出来た。友達になりたいと感じた。その尚子と小頭の関係に驚いた。
「尚子さんと小頭はそういう関係なんですか?」
「ああ、先代の遺言にも書いてあったらしい。先代は尚子ちゃんと一緒になったら小頭じゃなく頭として残って欲しかったらしい。それが長男の晃君が戻ったからね。上手くいかないもんだ」
「柔らかい、すごくいい人に感じました」
「ああ、小頭は偉いよ、地元の年寄り宅にも定期的に回って草が伸びたら黙って草刈りをやる。雨で仕事が休みの日には今泉小学校入り口で子供等の交通整理もやってくれる。小頭がこの町を引っ張ってくれる。そんな期待が町の人みんなの思いだ。西田君、あの人に色々と相談してみたらいい。理解してくれるよきっと、さあ時間だ、待ってくれてるよ」
 通りでダンプが警笛を鳴らした。外を見るとダンプの窓から後藤が手を上げた。鉄男が頷いた。
「店長、行って来ます。ありがとうございます」
 コンビニの名札を外し速足で小松組を目指した。

「大きい方がいいさ、何なら隣の竹藪も一緒に手に入れればもう五棟は建つよ。十軒より十五軒にすれば三千万が二億になるよ。三年だよ三年、あっと言う間さ。俺の仲介料も倍になるし、こんないいことはないよ頭」
 小松組の頭である晃は住建の柴田と大船の銀行に来ていた。
「三千五百万まで融資が可能だって、満額借りた方がいいかな?」
 晃は予想より小松組の自宅兼宿舎敷地と置き場の敷地に値が張ることに驚いた。先代が購入したころより地価は十倍に上がった。
「考えることないさ、町とびは廃業して俺と土地転がそうよ。俺の付き合い知っているでしょ。値上がりするところを買って値上がりすれば売ればいいんだ。こんな楽で儲かる商売はないよ。町とびやって利益あるの?」
「毎月赤」
「でしょ、一刻も早い方がいいよ。若い衆さんも大事だけれどお袋さんや姉さんどうするの、頭も所帯を持って家族養って行けるの?まだ余裕があるうちに決断すべきだよ」
 柴田は晃を唆している。晃が小松組の土地を担保に借入する金を騙し取るつもりでいる。
「そうですね、よし、お祭りを最後に解散します。そう決めたら俄然やる気が出てきましたよ。柴田さん、よろしくご指導お願いします。儲けは折半でやらせてもらいます」
「いいよ、いいよ。俺はあくまでもアドバイザー的存在だからさ、そうだ社名も変更した方がいいな、小松組じゃやくざみたいだし、ほらカタカナの今風がいいよ。夢のある名前がいいな、小松を英語でミニパイン、小さいな。スカイパイン、どう?スカイパイン開発、聞きなれないからパッとしないけど夢がある社名だよ」
「いいですねスカイパイン開発。それにしましょう、柴田さんは天才ですね」
 疑うことを知らない晃は完全に柴田に洗脳されている。

 鉄男が小松組の門に立つとダンプが入って来た。
「あの人だ」
 康介が鉄男に一礼した。鉄男はちっちゃく手を振った。
「あの人は絶対おかまですね」
 康介が断言した。
「そんなことは分からないだろう、勝手に決め付けるな」
「小頭は気になりませんか?」
「全然」
 実は震えるほど気になっている。
「僕達安寿様とあんな関係になってしまったからもうどっちでもいいような気がします」
 康介は鉄男がマイノリティならその相手になってもいいと感じていた。

  
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