蠱惑Ⅱ

壺の蓋政五郎

文字の大きさ
上 下
12 / 12

蠱惑Ⅱ『道順』

しおりを挟む
 横浜の石川町から蒲郡までの道順を尋ねられたのはGW中の平日5月の1日でメーデーの日でした。私は営業職で客と待ち合わせのために石川町駅前の喫茶店に午後1時に待っていました。
「悪いが、今日は行けない」
「えっ、そうですか、次はいつなら宜しいでしょうか?」
「それはこっちから電話する。あんたからは電話しないで」
「もしもし」
 この客にはこれで三回ドタキャンを喰らいました。まあ建築資材の営業なんて百にひとつ引っ掛かれば上出来で、それくらい効率のいい商売です。だからキャンセルは驚きませんが、この客は一週間に三回もキャンセルをしたのです。それも自分で決めた日時と場所です。さすがに腹が立ちました。コーヒーを飲み切り外に出ると寿町の労務者達がプラカードを持ってこれからデモに参加する準備をしていました。労務者達を先導指揮するのは色白で細面の青年でした。この青年に労務者を先導する資格は持ち合わせていないだろう。労務者との繋がりがあるとすればずっと上の方で算段している背広にネクタイを締めた恰幅のいい雄弁者でしょう。そいつに言い付けられて来たに違いない。労務者達はどうみても率先して参加しているようには見えません。恰幅のいい雄弁者達に利用されているのでしょうか、仕方なくやっているのが照れ笑いで分かります。
「蒲郡までどうやって行ったらいい?」
 丸渕の眼鏡を掛けた初老の男がこっちを見ています。私は周囲を見渡しました。
「あんただよ、あんた」
 私は親指で自分を差しました。
「そうあんた。ははあ、蒲郡を知らねえのか。それじゃ仕方ねえな」
 男の背には普通サイズの青いリュックがあります。荷が重いのか背中を屈めて歩いています。親指をリュックのヒモに差し込んでいます。重さを親指に感じているようです。
「愛知県の蒲郡ですか?」
「なんだ知ってんじゃない。どうやって行けば近道かと思ってさ。ちょうどあんたがそこにいたから聞いたんだ」
 男はリュックを下ろして口の紐を解いた。中から青いトマトを出して私に放り投げた。私は鞄を地べたに落としてトマトを受け取った。
「トマトは青いのが美味い」
 男もひとつ取り出してかぶりついた。
「ありがとうございます」
 いままで青いトマトは食したことがない。歯を突き立てると果汁が舌に染みた。男は笑ってトマトを吐き出した。
「やっぱりトマトは赤だな」
 齧り掛けの青トマトを駐輪場に放り投げた。カラスが近付いて嘴で一突きする。カーッと一声上げて飛び去った。
「やっぱり、横浜に出て、東海道線で下るのがいいんじゃないですか。そりゃ新幹線の方が早いけど運賃が嵩みますからね。それはお宅様のご都合でいいかと。これ捨てますよ」
 私は青トマトを同じく駐輪場に投げ捨てた。
「こらっ」
 ママチャリにこれでもかと言うくらい股を広げて漕いでいるやくざ風の男の足にぶつかりました。
「すいません」
 私は男の前で謝罪しハンカチを出して男の素足を拭きました。
「この馬鹿たれが」
 男に蹴り上げられてひっくり返りました。背中に異物を感じます。男は演歌を歌いながら駐輪場から寿町に走り去りました。立ち上がり倒れていた背の部分を見下げると青トマトが潰れていました。私は泣きたくなりました。何か空回りしている。自分じゃどうすることも出来ない空回りが始まっていたのです。
「電車の行順じゃねえよ」
 男は笑いながら言いました。
「車ですか?だったら迷うことありません、横横から東名に入ればいいじゃありませんか。空いていれば3時間もあれば行きますよ」
 私は不貞腐れていました。そんなことに付き合っているのが馬鹿らしくなりました。
「青トマトぐらいで何怒ってんだ。それに車じゃねえよ。歩きだよ」
 私は耳を疑いました。まさかこの横浜で路を訪ねられて、愛知県の蒲郡までを徒歩で向かうなど考えにも及びません。
「歩きって、てくてく?」
「そうてくてく」
 私はおかしくて腹を抱えて笑いました。
「あなた何日掛かると思ってんですか?車なら東名で4時間もあれば行くけど歩いたらそうはいきませんよ。予想も付かない。それに夜は冷えるし、あっ、もしかして宿を取りながらの歩き旅ですか。温泉に浸かりながら10日も掛けて行くならそれも良しでしょう」
「宿は取らない、神社や寺の縁側で過ごす。酒はやるがね」
「そうですか、それじゃお好きなように。私はこれで帰ります。疲れましたよ色々と」
 私は自宅に戻ることを決めました。スマホはラインの呼び出しです。発信者は上司です。
「はいもしもし」
「どうだ、成立か?」
「三回目のドタキャンを喰らいました。もうあのお客さんは諦めた方がいいんではないでしょうか」
「ふざけんな、連休中に話をまとめろ。まとめなければお前首だ」
「上等だよ、辞めてやるよこんな会社、お前みたいな奴の下で働いていられるか、糞しって死んじまえ」
 やってしまいました。入社して15年目です。彼の下で働き詰めでした。それなりに成績も残しました。ですがもうこりごりです。5年前に女房にも逃げられました。子供を授からなくて幸いでした。一人なら何をやっても食っていける。
「おおい」
 振り返ると徒歩で蒲郡まで行く男が手を振っています。まさか電話の内容が聞こえたわけでもないでしょうが笑っています。そうだ、蒲郡、歩いて行ってみるか。私はふとそんな気になりました。財布には金もあるしカードもある。この男が野宿するならホテルを取ればいい。
「すいません、途中まで一緒に行ってもいいですか?」
「青いトマトが食いたいのか?」
「勘弁してください」
 二人で歩き出しました。私達は石川町から東海道の保土ヶ谷を目指しました。保土ヶ谷駅前まで2時間掛かりました。午後5時半を回っていました。
「なんか食いますか?」
 私は保土ヶ谷橋で男を誘いました。
「もう少し歩こう、この先に懇意にしている寺がある。そこで軒先を借りよう」
 男は人専用の踏切を渡り始めました。
「どこ行くんですか、新道を行った方が早いですよ」
 私の問い掛けを無視して踏切を渡ると大仙寺と言う寺に入って行きました。
「勝手に入るとまずいですよ」
「気にするな、わしらが広めた寺だ」
 意味不明は事を言いずけずけと寺に入りました。
「南無大師遍照金剛」
 男は本堂に向けて声を掛けました。そして地蔵堂に一礼し中に入りました。
「お~い、こっちに来なさい」
 私は恥ずかしくて三門の陰に隠れていました。
「そんなとこに入ったら怒られますよ」
「ちゃんと断った」
「誰にですか?本堂からは誰も出て来た様子はありませんよ」
「大日如来に断った」
 こんな男と道を共にするのは間違いでした。
「悪いけど私はここまでで帰ります。あなたと一緒では先が思いやられる」
 私は寺を後にしました。腹が減っていたので蕎麦屋に入りました。冷えた身体に熱燗が染みました。そして天ぷら蕎麦を啜っていると気になりました。あの男は地蔵堂で一夜を過ごすことが出来るだろうか。5月とは言え夜は冷える。雨はしのげても気温は外と変わらない。
「大将、出前頼めますか?」
「いいですよ、どちらまで」
 私は金を支払い、先に出て三門の前で待っていました。
「ここでいいです。食べたら器はこの階段の端っこに置いておきますから」
 出前は不思議そうに頷きました。地蔵堂に行くと男がいません。男は寒くてここから移動したのだと思いました。
「蕎麦のいい匂いがするな」
 地蔵の一体だと思っていましたが男でした。
「ああっびっくりした。お地蔵さんかと思いましたよ」
 男は笑って隣の地蔵に何か話しかけました。放浪の旅を続けているから地蔵が友達なのでしょうか。
「蕎麦を持って来ました」
「おう、そこにおいてくれ」
 男が肩を回すとゴリゴリと音がしました。まるで殻から脱皮するような仕草です。
「地蔵も疲れる」
 男は蕎麦を啜りました。
「次からてんぷらは要らん。かけそばでいい、ネギ抜きだ」
 折角心配して運んでやったのに偉そうにリクエストしました。浮いたネギを箸先で摘まんで放り投げました。
「ネギは嫌いなんですか?」
「ああ、食わん。修行の邪魔になる。葷酒山門に入るを許さず。酒は止められねえけどな」
 男は汁を吸わずに溢した。美味そうに地蔵に添えられたワンカップを飲んでいる。坊主みたいに偉そうなことを言う。
「それでどうするつもりだ?わしと一緒に蒲郡まで行くのか?」
「あなたと行動を共にしてなんかいいことはありますかね」
「ない。なんにもない」
 男は笑った。私は疲れて眠くなりました。そのまま寝入ってしまいました。寒いかと思っていましたが夜風は地蔵が受けてくれました。何かがかぶせてありました。地蔵が羽織っていた半纏が私に掛けてありました。男はいませんでした。太子堂の前で手を合わせています。
「こんなに早く起きてお祈りですか?」
 男は私の問いには答えませんでした。そして祈りを終えて旅支度を始めたので私もそれに合わせました。
「6時に鐘を突くからな。それに合わせて出よう」
 私達は山門の前で鐘を待っていました。鐘の音に手を合わせ大仙寺を出ました。
「失礼ですけど名前を教えてくれませんか?いつまでもあなたじゃ悪い気がして」
「たかのでいい」
「たかのさん?高いに野ですね」
 高野は笑った。
「お前さんは?」
「鈴木です」
「ありふれた苗字だな、名は?」
 他人の苗字を貶しておいて名を教えろと言う。図々しいと言うか太々しいというかほんとに嫌な奴だ。
「今日は藤沢の宿まで行く」
「藤沢?」
 保土ヶ谷からだと車で飛ばしても1時間はかかる。
「そうだ藤沢だ、川奈に真光寺がある。そこで泊る」
「泊るってまた地蔵堂でしょ」
「地蔵堂はない」
 高野は空を見ました。
「今日はいい天気だ。雨は降らない。墓で寝るか」
 笑っている。藤沢まで付き合ってやるか。昨夜地蔵の半纏を掛けてくれた礼だ。
 
 私は川奈の真行寺まで付き合いました。もう日は暮れています。高野は本堂で手を合わせ墓地に行きました。
「ほらほら、酒が供えてあるだろう。それを集めて廻れ」
 高野は私に供えの酒を盗めと言いました。
「いくらなんでもそれは出来ません」
「そうかならいい。どうせ供えた酒は墓石に掛けるか、坊主が飲む。わしにはその権利がある」
 高野はおかしなことを言いました。そして一通り回りリュックに入り切れないほど集めて来ました。そして大きな墓の裏に段ボールを敷いて漁った酒肴を広げました。
「ほら遠慮するな、しっかり食わんと明日がきついぞ」
 そう言って酒盛りを始めました。肴は団子や袋菓子です。ピーナッツの袋を割いて段ボールの上に溢しました。それを手に取り美味そうに齧り始めました。
「高野さん。私はここで帰ります。短い間ですけどお世話になりました」
 これ以上泥棒野郎に付き合ってはいられません。もし見つかれば通報され私の人生は終わりです。
「そうか、明日は小田原まで足を延ばす。福田寺と言い、電車なら大雄山鉄道の飯田丘だ」
 私の背中に言い残しました。私は今日こそは自宅に戻ると決意しました。藤沢駅前の居酒屋に入りました。グラスまで凍ったビールの美味いこと。もつ煮と揚げ豆腐で熱燗をいただきました。
「これ、持ち帰りできるかな」
 私は墓地で酒盛りを始めた高野のことがふと頭に浮かびました。
「いやいいんだ」
 若い店員は呼び止められてすぐにキャンセルしたものだから笑顔が引き攣っている。
「やっぱり持ち帰りでお願いしたい」
「タッパありますか?無ければタッパの代金が有料になりますよ」
「ああ構わない、二人前お願いしたい」
 どうして墓泥棒のことが気になるのでしょう。私はタッパを脇に抱えるように持ち歩きました。タクシーを捕まえて真行寺に戻りました。山門の階段で足を取られ転んでしまいました。タッパが落ちて中身が全て零れてしまいました。タッパだけを手に墓地に行きました。すると読経が聞こえました。天まで届くような張りのある声が墓地の魂に届いているような気がしました。
「どうした?」
「あなたに酒の肴を持参したんですが山門で躓いて溢してしまいました」
「そのタッパの中にもつ煮の匂いとお前さんのやさしさが詰まっている。それだけで充分だ」
 高野は中身をもつ煮と当てました。風向きは逆ですから匂いが届くわけはありません。
「読経が聞こえましたけどあなたですか?」
 本堂には坊主もいない。
「まあ、そんなことはいい。それでどうする?わしと泊るのか帰るのか。それによっちゃ読経も変わる」
 やはり高野でした。高僧の読経かと思いました。
「何か買ってきます」
「食い物は饅頭だけだが酒は結構あるぞ。饅頭で一杯やるのもいいもんだ」
 私は仕方なくこの墓地に泊ることにしました。幸いにも好天で星が降るようでした。
「おいおい、仏さんのお供えをいただくんだ。礼の代わりに経のさわりだけでも念じなさい」
 私は全く仏教には疎く手を合わせるのが精一杯でした。
「その様子じゃ何も分からんようだな。よしわしが般若心経を唱えるから合掌してわしの声だけを考えなさい」
 高野に言われて胡坐をかいて手を合わせた。空を割るような高野の声に心地よくなる。五分程だろうか、読経が終わると気分が楽になった。
「いただきます」
 ワンカップを開けて、自然に声が出た。親族がご先祖様に供えた酒をいただく。その親族と家族の間に入り込んだような気がした。饅頭を手に取った。
「ありがたくいただきます」
「ほう、感じる所があったようだな。礼を言わずに黙って食えばただの泥棒。礼を言い仏に読経を上げれば供養になる。お前さんの声が仏に通じただろう」
 高野は饅頭をアテに酒を飲んだ。そしていつしか眠ってしまった。夜明け前に高野の読経が始まった。私は自然と高野の後ろに座禅を組んで手を合わせました。その日は福田寺に泊まった。やはり墓前に供えられた酒と菓子で過ごしました。それから10日間かけて蒲郡に到着しました。私は日に三回の読経で般若心経が唱えられるようになりました。高野が飲み過ぎて寝過ごし、日の出前の読経を忘れている時は私が代わりに唱えるのでした。もしかしたら寝たふりをして、私が間違えたら叱るつもりでいるのかもしれません。
「さあ着いた。今回の旅は疲れたわい」
「高野様はどちらにお住まいでしょうか?ご自宅まで送ります」
「ああ、気を遣うな。わしの寝床はあの胸の内じゃ」
 高野が子安弘法大師を指差しました。私はその向こうの町かと思いました。
「そうだ序だから、もう一晩金剛寺に泊っていけ。最後の酒盛りじゃ」
 そしてお供え物の酒と菓子でいつものように始めました。高野は住まいが近くのせいかいつもよりペースも早く量も多い。
「お前は飲まんのか?」
「これぐらいにしておきます。高野様はごゆっくり飲んでください」
「ああ、お前に言われなくてもそうさせてもらう」
 高野は上機嫌でした。私は酒を水に替えて、高野の饒舌に一晩付き合いました。高野が座ったまま鼾を掻いたのはもう東の空が白けて来たときでした。私は自分の上着を脱いで高野の胸に被せました。読経を始めると誰かが一緒に唱えているような錯覚がしました。ここ数日の寝不足がたたって、耳鳴りがするのだろうと繰り返し読経をしていました。しかしそれは耳鳴りではありませんでした。耳を澄ますとやはり誰かが読経を唱えているのでした。それは高野よりももっと崇高な感じがしました。私は座り直して、その読経と合唱を始めました。そして日の出と同時にその読経は止むのでした。
「子守歌にはもったいないな」
 私の読経を褒めているのかからかっているのか、高野は目覚めて大あくびをしました。
「お前さんの読経に遍照金剛も驚いたんじゃろう」
 高野が言っている意味が分かりませんでした。
「高野さん、お名前も教えてください。盆暮のお便りだけでもお受け取り下さい」
 私は高野と一緒にいた10日間でもやもやした気持ちが晴れたのを感じていました。仕事のことも家庭のことも、くだらないことに腹を立てていました。自分の考えが一番で、それ以外は我慢して付き合っていた。それが軋轢を生んでいたのでしょう。相手も同じことを考えているわけで、腹を立てることはばかげていると今気が付きました。
「名前?そうさなあ、たかのきよしでいい。悪いが便りは届かない。お前さんの活動が頼りだ。遍照金剛はしっかりと見ていなさる」
「キヨシはどんな字でしょうか?」
「ひじりと書く」
「高野聖 様ですか?」
 高野が笑った。
「私はもう少し勉強してみたいと思います。もし修業の場でもご存知なら教えてください。このまま続けたいと思います」
 私は無性に極めたくなっていた。このまま一人で旅を続けてたくなった。
「改めて修行をすることもあるまい。一度人生を見直して自分が辿る道順を誤らないことだ。そして心に余裕が出来たら四国を歩いて回りなさい。布施の心を身に着けることだ。四国遍路が正しい道順じゃ」
 高野が立ち上がった。
「お帰りですか、ありがとうございます」
 私は高野聖に深く礼をした。
「それじゃあな」
「そっちは崖です」
 高野は笑って道なき道を歩いている。高野の身体は宙に浮いている。そして行き着いたところは子安弘法大師の抱いている赤子の中に消えて行きました。私は寝不足で幻影を見ているのでしょうか。何度も目を擦り子安弘法大師を見直しました。しかし高野の姿は見えませんでした。私は諦めて一度帰ることにしました。帰って公私ともにけじめをつけて修行の旅に出ることにしました。私は世話になったお礼に、子安弘法大師の前で読経をしました。そして一礼すると抱かれている赤子がこっちを向いてウインクしたのです。私は目を瞑り頭を振って幻影を追い払いました。すると携帯に着信がありました。
「鈴木君、やっぱり君じゃなきゃ駄目だって言うんだよ。例の面倒臭いお客さんが。足場の資材を1万平米分早急に欲しいらしい。是非君に会社に来るよう伝言があった。私も悪かった。もう一度タッグを組んでもらえないだろうか?」
「ありがとうございます。全て私の不徳の致すところでした。お客様には私の方からお電話を差し上げます。こんな私に声を掛けていただきありがとうございます」
「鈴木君」
 物事は単純です、悪い方が謝り、正しい方は赦す。小さなことに拘らず、相手には相手が信じている道順があるのです。それを尊重しなければ争いは絶えない。私は読経を唱えて感じたことでした。この仕事をきっちり終えて私は四国に旅立ちます。仏教の入り口を覗いたばかりの私ですが子安弘法大師を見上げると居ても立ってもいられない気分になりました。私の目の前を老婆が行き過ぎました。
「おばあさん、私に出来ることはありませんか?」
「大きなお世話だ」
「ありがとうございます」
 老婆が元気でよかった。


 

 
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

やっちん先生

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:1

浦賀発最終電車

青春 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:5

蠱惑

ミステリー / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:10

横須賀線東京行

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:4

祭囃子を追いかけて

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:6

花婿と花ムコの仲人

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:11

ポラロイドの夜

ミステリー / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:4

枕元の赤いベルを鳴らすとき

ホラー / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:4

労災調査士『ファイル22 墜落(レッコ)』

ミステリー / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:6

グンナイベイビー

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:8

処理中です...