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しおりを挟む長く激しいキスが続き、私の息が苦しくなった頃、駿さんはやっと私を解放してくれた。
私は力が抜けてしまい、へたり込んだ。
「ごめん、ちょっとやりすぎた。それに、これ以上続けると俺の理性が持たない…」
私だって…こんなカッコよくて素敵な人にこんな情熱的なキスをされたら身が持ちません…。
落ち着くと、ふと思った。考えてみたら、私たちは再会してから今日も含めてまだ3回しか会っていない。私は最初から駿さんが好きだったけど、駿さんは一体いつから私のことを……? それを伝えると、
「悪かった、ちゃんと言ってなかったな」
私の頭を撫でながら駿さんが謝った。
「俺は、お前と再会して食事をしたあの時間、まるでこれまでずっと一緒に過ごしてきたかのような心地よさや安らぎを感じたんだ。話をしていても波長が合うし、心から楽しめた。あの日から美沙絵をただの教え子だとは思えなくなっていたのかもしれない」
「…えっ!? 本当に…?」
「それに今だから白状するが…お前が落とした定期入れを渡した時、あっ綺麗な子だなって思ったんだ。で、改めて見ると本当に大人の美しい女性になっていて…」
頬が熱くなる。
「足を捻挫したお前を送った日に、はっきりと自覚した。お前が好きだと。だが、ものすごく悩んだ。さっきも話した過去の恋愛の苦い思い出が蘇ってきて、また同じ思いをするくらいならここで断ち切った方がいいのではと…。でも、やっぱりどうしても諦められなかった」
あの時から…! ああ、あの時の駿さんの熱の籠った目はやはり…。
「今日、俺の為にいい店に連れて行ってくれたり、あんな素晴らしいプレゼントをしてくれたり、手料理までご馳走してくれた…。確かにお前はとても綺麗だ。でも外見だけじゃない。俺が一番好きになったのは、お前の誠実さや優しさや純粋さ…つまりお前の心の美しさだ」
「…! 駿さん…そんな、そんなこと言われたら、私…」
また涙が溢れてしまう…。駿さんが私の頬に触れ、親指で涙を拭う。
「今日お前に告白しようと思っていた」
「っ! 駿さんも今日私に…?」
「ああ。だが、無断で読んでしまったあの手紙に心を大きく揺さぶられ、逆にお前からあんな感動的な告白をされてしまった…」
駿さんは俯いてちょっとの間黙ってから、パッと顔をあげた。
「だから、これからはお前と一緒にいられる時にはお前を蕩けさせるくらい目一杯愛するから。覚悟しておけ」
そのトドメの一言に、私は完全にやられてしまった…。
「っ、あ…あの、さ、最初は、お、お手柔らかにお願いします…」
私が動揺していると、駿さんは、しょうがない、まあ最初は少しは手加減してやるか、と笑った。
すっかり冷めてしまったお茶を入れなおしてテーブルに置くと、駿さんが言った。
「…美沙絵、近いうちにご両親にご挨拶をしたいから、都合のいい日を聞いておいてくれないか?」
「えっ? うちの両親に?」
「いくら俺たちがもう大人同士であっても、ご両親から見たら俺はお前の小学校時代の担任でしかない。俺たちの付き合いにいい感情を持たないと思う。だから、初めにきちんとご挨拶をして、ご両親にちゃんと認めてもらいたいんだ」
駿さん…。真剣に私とのことを考えてくれている…。
「…ありがとうございます。分かりました。後で連絡して聞いておきます」
気が付くともう10時になろうとしていた。
「すっかり長居をしてしまった、名残惜しいがそろそろ帰るか…」
「…分かりました。では、下まで一緒に…」
部屋を出ると駿さんに手を繋がれた。少しの間だけど嬉しい…。
マンションの前に出ると、両手を握られて駿さんの綺麗な瞳に見つめられる。
「美沙絵…今日は本当にありがとう…俺はこの日を一生忘れない」
「…私もです、駿さん…ありがとうございます」
「今日、最後にもう一度だけ…」
と駿さんが言うと、身を屈めて口付けをした。
そして、私の耳元に唇を寄せると囁いた。
「…ご両親の許しをもらったら、美沙絵を抱くから…」
「…!」
固まって何も言えなくなってしまった私の頬を撫でると、お休み、と言って駿さんは帰って行った。
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