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第六章 夢覺ませ
七
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「応援を呼ぼう」
即座に決断したディガンは合図を撃ち上げた。青い空に閃光が走り、雷鳴が轟く。日が暮れようとする頃一隊が到着し、翌朝もう一隊がやってきた。クロウはそれぞれに状況を説明し、両隊の魔法使いも確認した。
「母茸かよ。いまになってなんでそんな厄介が生えてきた?」
「知るか。原因なんてどうでもいい。あるんだから退治しかないだろ」
「もうちょっと頭数そろえるか」
「いや、いくら母茸でもこっちは三隊いるし、魔法使いも五人だ。いける。これ以上待つより早く処理しちまおう」
議論が続く中、クロウが確かめると火、氷、雷、それに治癒を使える者もいた。なら充分だ。
「あんたらの受け持ち区域だし、どうする? 決めてくれ」
「行こう。明るいうちにけりをつける」
ディガンが即答した。一同はそれぞれに柄頭を合わせると行動を開始した。
「なんだ、びびってんのか」
マールが歩きながらペリジーの肩に手を置いた。
「初めてなんだ」
ほかの隊の兵士がちらちら見ている。ペリジーはまだ若い。大戦末期に兵士になったので母茸は見ていなかった。
「じゃあ母茸には手を出さなくていい。周りにこぼれてる鬼の始末頼む。それと、いい経験だから皆の闘い方見とけ」
「そう言うあんたは?」
他の隊の魔法使いが口を挟んだ。からかいなどではなく単に聞いたという口調だった。
「五体倒した。内一体は俺が核を砕いた」
周りで感心のため息がした。
「ならまかせたぞ」
「ああ、でももう歳だ。あんたは若そうだから殻割りやってくれ」
皆が笑った。
先行する魔法使いから合図が中継されてきた。緊張が走る。へその緒をつけた犬鬼だった。大戦時に魔王が召喚した母茸はその名の通り一定間隔で鬼を産み落とすが、しばらくはへその緒で繋がっている。その間は感覚を共有しているのでうかつに退治するとこちらの存在が分かってしまう。できれば奇襲したかった。母茸は出現してからの時間や経験にもよるが単純な知性を持つので正面切っての闘いは面倒だ。
その魔法使いが所属する隊の隊長が、やり過ごせないか、との合図を送ったが、回答は否定的だった。こちらの人数が多すぎる。腹をくくらなきゃならない。
「始めよう」
隊長三人が一致した。合図が全兵士に送られ、それぞれが位置についた。マールは先頭組、ペリジーはディガンのそばについて二番手、クロウはほかの魔法使いと共に三番手に入った。魔法使いが遠距離から母茸に集中砲火を浴びせて突破口を開くとともに援護し、先頭組が生命維持と思考の源である核の破壊を目指す。分厚い殻に覆われているので魔法でどうこうするよりも叩き壊した方が早い。二番手は周囲を徘徊するか産み落とされたばかりの鬼を引きつける。それが母茸退治の通常の手順だった。
閃光が犬鬼を焼いた。と、同時に叫び声が森に響き渡る。母茸が周辺の鬼を呼び寄せている。へその緒をつけた鬼どもがいたる所から現れた。二番手が相手をする。
森が開けた草地に母茸はいた。胴を震わせている。攻撃を察知し、根を足にして逃げようとしていた。大きさと色からしてかなりの年増だった。太った牛のさらに数倍はある潰した球根のような胴体はぬるぬるとした革のような皮膚に覆われ、不規則に目が付いている。根の出ているあたりが裂けるように広がると蜘蛛鬼が産み落とされた。向かってくるそいつを火球で蒸発させる。
金属をこすり合わせるような母茸の叫びと共に、胴体の天頂から触手が数本出てきた。体内から取り出した排泄物を投げてくる。速くはないし狙いも不正確だが強酸を含んでいて危険だった。魔法で触手を焼いても次から次へと出てきて切りがなかった。
「まだか!」
兵士がクロウたち魔法使いに叫ぶ。母茸の皮膚はそのままでは刃がたたない。どこかに裂け目でも入れてそこから攻撃したいが、強化された攻撃魔法でもなかなかだった。
「こいつは相当の年増だな。魔法耐性つけてんじゃないか」
マールが笑った。そうだとしたらもう笑うしかない。
クロウは氷使いの肩を叩き、焦げ目のついた母茸の一部を指さした。強化された冷凍魔法がそこを手のひら二つ分ほど凍らせ、さらに先頭組が砕くと火球を撃ち込んだ。穴から皮膚の下に入った火球で水分が蒸気となり、広い範囲をめくれ上がらせた。兵士たちに歓声が上がる。下の黒い殻は堅いばかりで粘液も柔軟性もないのでかえって打ち壊しやすい。
「二人戦闘不能。目をやられた」
うめき声をあげる二人を別の二人が運んでいた。クロウは振り向いて援護し、襲おうとしていた犬鬼の背を焼いた。感謝の手信号。
殻にひびが入ってきた。マールを初め先頭組はもう周りの状況を無視して殻割りのみに集中している。援護を信頼しきっていた。火球、氷の針、電光が、核の破壊を阻止しようとする母茸と操られている鬼を妨害する。
「新手だ。へその緒つけてない」
敵の援軍が到着した。時間が経つごとに不利になる。クロウは疲労を感じていた。強化されていても力の量には限界がある。そろそろだろうか。ほかの魔法使いたちの顔にも焦りが見えていた。母茸を倒しても後始末ができなきゃ結局は負けだ。
声があがった。黒い殻の下から灰白色の核がむき出しになっていた。マールが二、三歩引き、胸元に短剣を構えると勢いをつけて体ごとぶつかっていった。体液があふれ出る。母茸は叫んだが、それは意味を持つ命令ではなく断末魔だった。脚の力が抜けて崩折れる。さらに歓声が上がった。
「よし、もうひと頑張りだ。気を抜くなよ!」
隊長たちの叱咤激励が飛ぶ。呼び集められた鬼どもの退治が残っている。兵たちは疲労を無視して闘い続けた。最後の一匹を始末した時、日は傾き、影が長くなっていた。
後始末は日が沈んでからも続いた。母茸の死骸を解体し、火で焼きつくして埋める。必ず、ではないが、再生が戦訓として伝えられていたからだった。皆疲れ切っていたがだれも休もうとは言わない。目をやられた兵も治療魔法で治ると作業に復帰した。クロウを含む火と雷の魔法使いは付きっきりで断片に撃ち続けている。魔法が強化されているので助かった。灰にする効率が違う。
「おい、なんだこれ?」
兵の一人が切断した内臓から白っぽい物をつまみあげた。
「サンダルだ。右」
「おい、冗談じゃねえ」
兵たちは念入りに内臓を探ったが、他に骨や遺留品は見つからなかった。すべてを焼いた後、体液まみれのサンダルのみが残った。
「かわいそうにな。どうする?」
「どうするって、どうしようもないけど、ここは寂しすぎる。街道脇にでも埋めてやろう」
兵の一人が乾かして背嚢にしまった。ディガンたちは自分の作業に戻った。もう一日分以上疲れていてなにも考えられなかった。
夜の鳥が途切れなく鳴き、月が空に冷たく浮かんでいた。
即座に決断したディガンは合図を撃ち上げた。青い空に閃光が走り、雷鳴が轟く。日が暮れようとする頃一隊が到着し、翌朝もう一隊がやってきた。クロウはそれぞれに状況を説明し、両隊の魔法使いも確認した。
「母茸かよ。いまになってなんでそんな厄介が生えてきた?」
「知るか。原因なんてどうでもいい。あるんだから退治しかないだろ」
「もうちょっと頭数そろえるか」
「いや、いくら母茸でもこっちは三隊いるし、魔法使いも五人だ。いける。これ以上待つより早く処理しちまおう」
議論が続く中、クロウが確かめると火、氷、雷、それに治癒を使える者もいた。なら充分だ。
「あんたらの受け持ち区域だし、どうする? 決めてくれ」
「行こう。明るいうちにけりをつける」
ディガンが即答した。一同はそれぞれに柄頭を合わせると行動を開始した。
「なんだ、びびってんのか」
マールが歩きながらペリジーの肩に手を置いた。
「初めてなんだ」
ほかの隊の兵士がちらちら見ている。ペリジーはまだ若い。大戦末期に兵士になったので母茸は見ていなかった。
「じゃあ母茸には手を出さなくていい。周りにこぼれてる鬼の始末頼む。それと、いい経験だから皆の闘い方見とけ」
「そう言うあんたは?」
他の隊の魔法使いが口を挟んだ。からかいなどではなく単に聞いたという口調だった。
「五体倒した。内一体は俺が核を砕いた」
周りで感心のため息がした。
「ならまかせたぞ」
「ああ、でももう歳だ。あんたは若そうだから殻割りやってくれ」
皆が笑った。
先行する魔法使いから合図が中継されてきた。緊張が走る。へその緒をつけた犬鬼だった。大戦時に魔王が召喚した母茸はその名の通り一定間隔で鬼を産み落とすが、しばらくはへその緒で繋がっている。その間は感覚を共有しているのでうかつに退治するとこちらの存在が分かってしまう。できれば奇襲したかった。母茸は出現してからの時間や経験にもよるが単純な知性を持つので正面切っての闘いは面倒だ。
その魔法使いが所属する隊の隊長が、やり過ごせないか、との合図を送ったが、回答は否定的だった。こちらの人数が多すぎる。腹をくくらなきゃならない。
「始めよう」
隊長三人が一致した。合図が全兵士に送られ、それぞれが位置についた。マールは先頭組、ペリジーはディガンのそばについて二番手、クロウはほかの魔法使いと共に三番手に入った。魔法使いが遠距離から母茸に集中砲火を浴びせて突破口を開くとともに援護し、先頭組が生命維持と思考の源である核の破壊を目指す。分厚い殻に覆われているので魔法でどうこうするよりも叩き壊した方が早い。二番手は周囲を徘徊するか産み落とされたばかりの鬼を引きつける。それが母茸退治の通常の手順だった。
閃光が犬鬼を焼いた。と、同時に叫び声が森に響き渡る。母茸が周辺の鬼を呼び寄せている。へその緒をつけた鬼どもがいたる所から現れた。二番手が相手をする。
森が開けた草地に母茸はいた。胴を震わせている。攻撃を察知し、根を足にして逃げようとしていた。大きさと色からしてかなりの年増だった。太った牛のさらに数倍はある潰した球根のような胴体はぬるぬるとした革のような皮膚に覆われ、不規則に目が付いている。根の出ているあたりが裂けるように広がると蜘蛛鬼が産み落とされた。向かってくるそいつを火球で蒸発させる。
金属をこすり合わせるような母茸の叫びと共に、胴体の天頂から触手が数本出てきた。体内から取り出した排泄物を投げてくる。速くはないし狙いも不正確だが強酸を含んでいて危険だった。魔法で触手を焼いても次から次へと出てきて切りがなかった。
「まだか!」
兵士がクロウたち魔法使いに叫ぶ。母茸の皮膚はそのままでは刃がたたない。どこかに裂け目でも入れてそこから攻撃したいが、強化された攻撃魔法でもなかなかだった。
「こいつは相当の年増だな。魔法耐性つけてんじゃないか」
マールが笑った。そうだとしたらもう笑うしかない。
クロウは氷使いの肩を叩き、焦げ目のついた母茸の一部を指さした。強化された冷凍魔法がそこを手のひら二つ分ほど凍らせ、さらに先頭組が砕くと火球を撃ち込んだ。穴から皮膚の下に入った火球で水分が蒸気となり、広い範囲をめくれ上がらせた。兵士たちに歓声が上がる。下の黒い殻は堅いばかりで粘液も柔軟性もないのでかえって打ち壊しやすい。
「二人戦闘不能。目をやられた」
うめき声をあげる二人を別の二人が運んでいた。クロウは振り向いて援護し、襲おうとしていた犬鬼の背を焼いた。感謝の手信号。
殻にひびが入ってきた。マールを初め先頭組はもう周りの状況を無視して殻割りのみに集中している。援護を信頼しきっていた。火球、氷の針、電光が、核の破壊を阻止しようとする母茸と操られている鬼を妨害する。
「新手だ。へその緒つけてない」
敵の援軍が到着した。時間が経つごとに不利になる。クロウは疲労を感じていた。強化されていても力の量には限界がある。そろそろだろうか。ほかの魔法使いたちの顔にも焦りが見えていた。母茸を倒しても後始末ができなきゃ結局は負けだ。
声があがった。黒い殻の下から灰白色の核がむき出しになっていた。マールが二、三歩引き、胸元に短剣を構えると勢いをつけて体ごとぶつかっていった。体液があふれ出る。母茸は叫んだが、それは意味を持つ命令ではなく断末魔だった。脚の力が抜けて崩折れる。さらに歓声が上がった。
「よし、もうひと頑張りだ。気を抜くなよ!」
隊長たちの叱咤激励が飛ぶ。呼び集められた鬼どもの退治が残っている。兵たちは疲労を無視して闘い続けた。最後の一匹を始末した時、日は傾き、影が長くなっていた。
後始末は日が沈んでからも続いた。母茸の死骸を解体し、火で焼きつくして埋める。必ず、ではないが、再生が戦訓として伝えられていたからだった。皆疲れ切っていたがだれも休もうとは言わない。目をやられた兵も治療魔法で治ると作業に復帰した。クロウを含む火と雷の魔法使いは付きっきりで断片に撃ち続けている。魔法が強化されているので助かった。灰にする効率が違う。
「おい、なんだこれ?」
兵の一人が切断した内臓から白っぽい物をつまみあげた。
「サンダルだ。右」
「おい、冗談じゃねえ」
兵たちは念入りに内臓を探ったが、他に骨や遺留品は見つからなかった。すべてを焼いた後、体液まみれのサンダルのみが残った。
「かわいそうにな。どうする?」
「どうするって、どうしようもないけど、ここは寂しすぎる。街道脇にでも埋めてやろう」
兵の一人が乾かして背嚢にしまった。ディガンたちは自分の作業に戻った。もう一日分以上疲れていてなにも考えられなかった。
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