ウサギの彼とライオンの僕

はちみつスフレ

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弱虫な僕

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ショッピングモールから帰ってきた僕たち。

一緒に晩御飯の材料も買ったから、二人でご飯を作ることにした。

今日はカレー。

拓海君には付け合わせのサラダをお願いした。

僕はニンジン、じゃがいも、玉ねぎを切っていったんだけど、拓海君の試着室での一言が気になった。

(…『すべすべしてた』って、何だったんだろ…?)

考えていると拓海君が話し掛けてきた。

「さっきから無口だけど何なの?便秘?」

「違うよ!何言ってんの!」

拓海君はにししっと笑ってレタスをちぎっていた。

「ねぇ、拓海君、レタス洗ったよね?」

「え?洗うの?」

拓海君は慌ててちぎったレタスをボウルごと水で流し始めた。

「…ま、まぁ、大丈夫だろ!だはは!」

拓海君がいつもと変わらない普通の態度だったので、僕は試着での一言を忘れることにした。

晩御飯の準備が整ったので、僕たちは食卓についた。

「すげー、家でカレー食べるなんて久しぶりだわ!」

「こんなのすぐできるよ。拓海君が作ってくれたサラダも食べようね」

「おー、野菜不足だからな!」

そう言って、拓海君はカレーをかき込んでいった。

僕も食べようとした。

そのとき、スマホが鳴った。

警察からだった。

「拓海君、警察からなんだけど出ていいかな?」

「お、おお。俺も聞いとくわ」

僕は拓海君に「ありがとう」って言って電話に出た。

この前担当してくれたお巡りさんからだった。

僕の家に入った泥棒が捕まったとの知らせだった。

安心したのも束の間、信じられないことを言われた。

泥棒は同性愛者の男性。

気に入った若い男の跡をつけて狙って泥棒に入っていたと。

背筋が凍るとはこのこと。

本当に鉢合わせしなくてよかったんだけど、気持ち悪くて怖くて、僕は静かに電話を切った。

拓海君には正直に内容を話した。

すると、いきなり立ち上がって僕を後ろから抱きしめたんだ。

「怖い思いしたな」

って言われたんだけど

「怖くないよ、僕」

って言い返した。

でも、本当は怖かったから、その日もやっぱり拓海君と一緒に寝た。

と、言うか、いてもらった。

泣きそうだった。
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