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10 私の愛する人
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ギャレット王子の悪態が一般層の民衆にまで公開され、逃げ場を失いついに教会送りとなった。
王族の間で騒ぎは続いたままだ。
そんな中、私は今日もレンの謝罪を聞きに訓練場へ来ている。
「もうわかったからいい加減に謝るのはやめてほしいんだけど」
「無理だ。俺は婚約破棄を告げるようなひどいことをしたんだぞ」
「でもそれって、脅迫されて家族を守りたかったからでしょう? 私を捨てようとしたのは許せないけど、理由はわかったんだし結果的に丸く治ったんだから」
「ほらまだ怒っているではないか。許せないと……」
真面目すぎるのも問題だ……。
どうやら、婚約破棄は王族からの脅迫によるものだったらしい。
婚約破棄ができなければ家も家族も保証しない、しかも、私にちょっとでも情報が漏れたとしても同じことになると。
こっそりと相談して欲しかったのはあるけれど、起こってしまったことを追求しても仕方がない。
結果としては、丸く治って晴れて堂々と婚約ができたから良しとしている。
「ヒマリの家族にまで迷惑をかけてしまって」
「むしろスッキリしたわよ。ギャレットと裏でつながっていて私を道具にしていたんだってわかったし」
「そのせいで君の両親まで牢獄に入ってしまったんだぞ」
私の両親も罪になった。
私に対しての強制的な強要と、お父様がギャレットの隠れ護衛の一員で、お母様も知っていながら隠れてギャレットにペコペコしていたということが発覚してしまったのだ。
そんな卑劣な行為をしていただなんてショックだった。
牢屋でもなんでも裁いてほしいと思ってしまうほど。
「ヒマリには本当に申し訳ないことをしたと思っている。一生かけて償いたい」
「そうして」
「あぁ……。って、え!?」
「だから一生私のそばにいて償ってちょうだい?」
そう言いながらレンに抱きつく。
一度婚約破棄を言われてしまったが、まだあの件は承認していない。
つまり、まだ婚約状態は続いているのだ。
「一度は捨てようとした俺を許してくれるのか?」
「いえ、許さないわよ。だから罰として私のそばでずっといてもらわないと」
「嬉しい罰だな」
訓練場だというのに遠慮なく抱き合ったままだ。
いつの間にか横目でジロリと睨みつけてくるハルト団長と目があってしまう。
「おまえらなぁ……!!」
「いえ、団長!! これはですね! ヒマリに回復薬代わりになってもらっていた次第であります!! ヒマリのそばにいれば私の力は無限大。騎士としてこれからも──」
「ならば明日からの練習は今までの五倍だ」
「そんな!!」
「大丈夫だ。あの日護衛五人を相手に勝ったのだ。その気になれば俺より強いことがわかったからそれくらいできるだろう?」
「あれはヒマリを助けたいがために……」
「ほう、ではこれからは人助けは全員ヒマリだと思って行動すれば常に五倍の力が出るということだ」
団長はかなり意地悪を言って笑っている。
レンは真面目だから完全に間に受けていて死にそうな顔をしていた。
私はそれを見て笑顔になっている。
「ヒマリ、助けてほしい」
「五倍の練習が終わったらまた膝枕でもなんでもしてあげる」
「団長!! そういうことならやってやりますよ!」
「それでこそ騎士だ」
なんだかんだひと騒ぎあったけれど、この調子なら、レンとは無事に結婚できそうだ。
たとえ似たような事件があったとしても、私はレンと離れたりするようなことはないと断言できる。
だって、私の愛する人はあなただけなのだから。
ーーーーーーーーーー
【後書き】
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今作は完全に趣味に走りました(笑)
何があっても一途に思い続けた結果、ハッピーエンドを迎えるという展開、一度は描いてみたかったのです。
お付き合いくださり、ありがとうございます。
最後に新作のお知らせです。
『妹が奪った婚約者が嫌だと言われ、私が婚約したら幸せが待っていました~家出のために魔法学を勉強していた結果、凄い魔法が使えるようになっていた~』
こちらも是非よろしくお願いいたします。
王族の間で騒ぎは続いたままだ。
そんな中、私は今日もレンの謝罪を聞きに訓練場へ来ている。
「もうわかったからいい加減に謝るのはやめてほしいんだけど」
「無理だ。俺は婚約破棄を告げるようなひどいことをしたんだぞ」
「でもそれって、脅迫されて家族を守りたかったからでしょう? 私を捨てようとしたのは許せないけど、理由はわかったんだし結果的に丸く治ったんだから」
「ほらまだ怒っているではないか。許せないと……」
真面目すぎるのも問題だ……。
どうやら、婚約破棄は王族からの脅迫によるものだったらしい。
婚約破棄ができなければ家も家族も保証しない、しかも、私にちょっとでも情報が漏れたとしても同じことになると。
こっそりと相談して欲しかったのはあるけれど、起こってしまったことを追求しても仕方がない。
結果としては、丸く治って晴れて堂々と婚約ができたから良しとしている。
「ヒマリの家族にまで迷惑をかけてしまって」
「むしろスッキリしたわよ。ギャレットと裏でつながっていて私を道具にしていたんだってわかったし」
「そのせいで君の両親まで牢獄に入ってしまったんだぞ」
私の両親も罪になった。
私に対しての強制的な強要と、お父様がギャレットの隠れ護衛の一員で、お母様も知っていながら隠れてギャレットにペコペコしていたということが発覚してしまったのだ。
そんな卑劣な行為をしていただなんてショックだった。
牢屋でもなんでも裁いてほしいと思ってしまうほど。
「ヒマリには本当に申し訳ないことをしたと思っている。一生かけて償いたい」
「そうして」
「あぁ……。って、え!?」
「だから一生私のそばにいて償ってちょうだい?」
そう言いながらレンに抱きつく。
一度婚約破棄を言われてしまったが、まだあの件は承認していない。
つまり、まだ婚約状態は続いているのだ。
「一度は捨てようとした俺を許してくれるのか?」
「いえ、許さないわよ。だから罰として私のそばでずっといてもらわないと」
「嬉しい罰だな」
訓練場だというのに遠慮なく抱き合ったままだ。
いつの間にか横目でジロリと睨みつけてくるハルト団長と目があってしまう。
「おまえらなぁ……!!」
「いえ、団長!! これはですね! ヒマリに回復薬代わりになってもらっていた次第であります!! ヒマリのそばにいれば私の力は無限大。騎士としてこれからも──」
「ならば明日からの練習は今までの五倍だ」
「そんな!!」
「大丈夫だ。あの日護衛五人を相手に勝ったのだ。その気になれば俺より強いことがわかったからそれくらいできるだろう?」
「あれはヒマリを助けたいがために……」
「ほう、ではこれからは人助けは全員ヒマリだと思って行動すれば常に五倍の力が出るということだ」
団長はかなり意地悪を言って笑っている。
レンは真面目だから完全に間に受けていて死にそうな顔をしていた。
私はそれを見て笑顔になっている。
「ヒマリ、助けてほしい」
「五倍の練習が終わったらまた膝枕でもなんでもしてあげる」
「団長!! そういうことならやってやりますよ!」
「それでこそ騎士だ」
なんだかんだひと騒ぎあったけれど、この調子なら、レンとは無事に結婚できそうだ。
たとえ似たような事件があったとしても、私はレンと離れたりするようなことはないと断言できる。
だって、私の愛する人はあなただけなのだから。
ーーーーーーーーーー
【後書き】
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今作は完全に趣味に走りました(笑)
何があっても一途に思い続けた結果、ハッピーエンドを迎えるという展開、一度は描いてみたかったのです。
お付き合いくださり、ありがとうございます。
最後に新作のお知らせです。
『妹が奪った婚約者が嫌だと言われ、私が婚約したら幸せが待っていました~家出のために魔法学を勉強していた結果、凄い魔法が使えるようになっていた~』
こちらも是非よろしくお願いいたします。
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