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「うーん……」
「どうされましたか?」
「どうも身体がずっと怠い日が続いているんですよね……」
おそらく精神的な問題なんだと思う。
ブルクシア様に手を握られた少しあとくらいからか。
身体の調子が悪い気がするのだ。
レオルド様には手を握られてしまったことを深く謝罪したのだが、相手が真実を知らないのだから仕方がないと、許してくれた。
されてしまった行為も気にしないでおこうと思っていたのだが、身体の怠さがあってどうしても引きずってしまっている。
「今日の謁見はやめておきましょうか?」
「いえ。動けないような怠さではないのです。ただ……、なんとなくほんの少しだけ怠いという感覚が続いているというか……」
「うーん。私は医師ではありませんからね。王宮に行くついでに、陛下にお願いして王宮直属主治医に診てもらうとか」
「さすがにそこまでしていただくわけにはいきませんよ」
「でも、怠いなら診てもらったほうが良いと思います」
レオルド様は私のことを本気で心配してくれている。
このまま心配させたままでは悪いし、素直にそうしてもらおうかと思う。
もちろん、かなりの出費になってしまうとは思うが、自分でなんとかしたい。
幸い、学費が全額免除になったからそのお金で支払うことができる。
「ところで、やはりその判定用紙を商品化させるのですね」
「えぇ。何回か試した結果、不備はありませんでしたし。これを使えば、今後ソフィーナのような不遇を受ける者を減らせるんじゃないかと思いましてね」
「レオルド様の発明は、国を救ってくれそうですね」
「よしてください。そこまでのことはしていませんからね」
本当だったらここで微笑んでいる。
だが、どうしても体調が気になってしまい、心の底から笑うことができなかった。
精神的に病んでしまったのかな私……。
♢
いつもどおり、応接室でセバル侯爵様と新商品の販売許可の対談をしている。
そのあとで国王陛下と謁見が待っているため大忙しだ。
セバル侯爵様は、判定用紙の説明と、実際の実験を何回か行い、大変驚かれていた。
「これはまたレオルド君はとんでもない物を作ってきたな……」
「市販というよりも、これは魔法医療関連に販売になるかと思いますが、どうでしょうか?」
「たしかに。需要としては一部の者にしか該当しないだろう。医療限定で販売し、検査として使うのが望ましいかもしれない。これに関しては、もうしばらく時間をもらいたい。王宮の魔導士や主治医にも見せることになるが構わないか?」
「もちろんです」
判定用紙の商品かも前向きに進んでいるようで良かった。
今日は、ボーッとしながら話を聞いていて、なかなか頭に入ってこないのが残念だ。
「今日のソフィーナ嬢はどうした? 体調が悪そうだが」
「いえ……。少々心に傷を負ってしまっただけのようで……」
セバル侯爵様にまで心配をかけさせてしまって本当に申しわけない気持ちでいっぱいだ。
しばらくセバル侯爵様は私のことを見ながら心配そうな表情をしていた。
「少し待っていろ」
「あ……」
そう言って、応接室を出てしまった。
数分後、セバル様の他に二人の男性を連れて戻ってきた。
「王宮直属の魔導士と主治医だ。ソフィーナ嬢は色々と規格外なところもあるから、念のために魔法のなにか病気かもしれないから診てもらったほうがいい」
「申しわけございません」
徐々に怠さも増しているため、ここは甘えることにした。
二人に同時に診てもらう。
念のため、私は怠くなってしまった原因も話した。
一応、ブルクシア様の名前は伏せつつで。
だが、私が説明すると、魔導士は顔を青ざめながら慌てて私の握られた手をじっくりと観察してきた。
なななな……なにかマズいことでも……⁉︎
私もレオルド様も、さらにセバル侯爵様まで心配していた。
「もしかしたら、魔力を半永久的に奪い取る呪いをかけられた可能性があるかもしれませんよ!」
「「「「え⁉︎」」」」
いったいどう言うことなのかわけがわからず、慌ててしまった。
「どうされましたか?」
「どうも身体がずっと怠い日が続いているんですよね……」
おそらく精神的な問題なんだと思う。
ブルクシア様に手を握られた少しあとくらいからか。
身体の調子が悪い気がするのだ。
レオルド様には手を握られてしまったことを深く謝罪したのだが、相手が真実を知らないのだから仕方がないと、許してくれた。
されてしまった行為も気にしないでおこうと思っていたのだが、身体の怠さがあってどうしても引きずってしまっている。
「今日の謁見はやめておきましょうか?」
「いえ。動けないような怠さではないのです。ただ……、なんとなくほんの少しだけ怠いという感覚が続いているというか……」
「うーん。私は医師ではありませんからね。王宮に行くついでに、陛下にお願いして王宮直属主治医に診てもらうとか」
「さすがにそこまでしていただくわけにはいきませんよ」
「でも、怠いなら診てもらったほうが良いと思います」
レオルド様は私のことを本気で心配してくれている。
このまま心配させたままでは悪いし、素直にそうしてもらおうかと思う。
もちろん、かなりの出費になってしまうとは思うが、自分でなんとかしたい。
幸い、学費が全額免除になったからそのお金で支払うことができる。
「ところで、やはりその判定用紙を商品化させるのですね」
「えぇ。何回か試した結果、不備はありませんでしたし。これを使えば、今後ソフィーナのような不遇を受ける者を減らせるんじゃないかと思いましてね」
「レオルド様の発明は、国を救ってくれそうですね」
「よしてください。そこまでのことはしていませんからね」
本当だったらここで微笑んでいる。
だが、どうしても体調が気になってしまい、心の底から笑うことができなかった。
精神的に病んでしまったのかな私……。
♢
いつもどおり、応接室でセバル侯爵様と新商品の販売許可の対談をしている。
そのあとで国王陛下と謁見が待っているため大忙しだ。
セバル侯爵様は、判定用紙の説明と、実際の実験を何回か行い、大変驚かれていた。
「これはまたレオルド君はとんでもない物を作ってきたな……」
「市販というよりも、これは魔法医療関連に販売になるかと思いますが、どうでしょうか?」
「たしかに。需要としては一部の者にしか該当しないだろう。医療限定で販売し、検査として使うのが望ましいかもしれない。これに関しては、もうしばらく時間をもらいたい。王宮の魔導士や主治医にも見せることになるが構わないか?」
「もちろんです」
判定用紙の商品かも前向きに進んでいるようで良かった。
今日は、ボーッとしながら話を聞いていて、なかなか頭に入ってこないのが残念だ。
「今日のソフィーナ嬢はどうした? 体調が悪そうだが」
「いえ……。少々心に傷を負ってしまっただけのようで……」
セバル侯爵様にまで心配をかけさせてしまって本当に申しわけない気持ちでいっぱいだ。
しばらくセバル侯爵様は私のことを見ながら心配そうな表情をしていた。
「少し待っていろ」
「あ……」
そう言って、応接室を出てしまった。
数分後、セバル様の他に二人の男性を連れて戻ってきた。
「王宮直属の魔導士と主治医だ。ソフィーナ嬢は色々と規格外なところもあるから、念のために魔法のなにか病気かもしれないから診てもらったほうがいい」
「申しわけございません」
徐々に怠さも増しているため、ここは甘えることにした。
二人に同時に診てもらう。
念のため、私は怠くなってしまった原因も話した。
一応、ブルクシア様の名前は伏せつつで。
だが、私が説明すると、魔導士は顔を青ざめながら慌てて私の握られた手をじっくりと観察してきた。
なななな……なにかマズいことでも……⁉︎
私もレオルド様も、さらにセバル侯爵様まで心配していた。
「もしかしたら、魔力を半永久的に奪い取る呪いをかけられた可能性があるかもしれませんよ!」
「「「「え⁉︎」」」」
いったいどう言うことなのかわけがわからず、慌ててしまった。
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