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「ちょっと待て。ワシはソフィーナに対し、学園長としてあるまじき行為をしてしまったのじゃよ。なぜ良かったのだ?」
「本来の結果が首席だったんだなぁと思えたら、ホッとしました」
「もっとこう……、怒っても良いくらいなのだが」
「圧力に逆らえない辛さは分かっているつもりです。こうして謝ってくれていますし」
色々と残念なこともあるのは否定できない。
だが、これからの学園生活を楽しむためにも、すでに対策はできていた。
主にレオルド様のおかげではあるが……」
「達観しとる……。ところで、ソフィーナが本当に強大な魔力を持っていることは証明された。今回の件でお詫びとして、入学金、入学試験、これから発生する学費もろもろ全て無償とさせてもらう。要は首席と同等の扱いじゃ」
「良いのですか⁉︎」
「本来は首席だったのだからな。当然のことじゃよ。だが、それだけでは元々の権利を与えるだけだから詫びとしては足りぬ。なにか望むことはあるかね?」
「いえいえ。学費が免除というだけでも大変ありがたいです」
「なんと謙虚な……。本当にすまないのう。ワシが治安保安部隊よりも権力の高いお方と繋がりが持てれば、なんとかこのような事態にならずに済んだかもしれないというのに。いや、そもそもワシも疑ってしまっていたしあまり言いわけがましいことはよそう……」
済んだことだし仕方がないことだ。
ただ、もしも今後義父様が私たちになんらかの行動をしようとしてきた場合に助けてもらえる人がいるならば、そのお方とつながっておきたい。
学園長ならその人の名前は知っていそうだから聞いてみる。
「そのお方のお名前を伺っても?」
「一人しかおらんじゃろう。国王陛下だよ」
「え……?」
「すべての権限を持っておられる。ワシが国王と知り合いであれば相談ができるのじゃがな。さすがにそう上手くはいかぬものだからの」
レオルド様のおかげで、国王陛下と仲良くさせていただいている。
だが、陛下は大変忙しいお方だ。
首席の件については既に悩んでいた問題は解決している。
もしも今後なにかあった場合に相談することにしよう。
「ソフィーナよ。今後の学園生活に期待しておる。じゃが、皆にバレたくなければ、あまり魔力を派手に使わぬようにな」
「はい。気をつけます。表向きにはこのまま次席扱いでいてくだされば」
「うむ……。先生方も聞いてのとおりじゃ。ソフィーナのことは今までどおりに接するように」
「「「「はい」」」」
これでレオルド様の足を少しは引っ張らなくてすみそうだ。
♢
「そうでしたか……。やはりソフィーナは首席だったのですね。ソフィーナが不正なんてするはずないのに……」
レオルド様が、顔を真っ赤にしながら怒っていた。
「学園長から謝罪も受けましたし、学費関連も全額免除にしてくれるそうです」
「それでも私は納得できませんけれどね。どうして許せてしまうのですか?」
私が首席にこだわっていたのは、入学志望当時はお金がほとんどなく、学費がかからないからである。
のちに、レオルド様と一緒に目標ができて、首席を目指すために二人で頑張っているのが楽しかった。
だからこそ、首席で合格ではなかったことがショックだった。
しかし、実際のところは首席だったことが知れた。
待遇も首席同様扱いになったわけだから、十分満足だ。
その旨をレオルド様に話した。
すると、レオルド様は大きくため息をはく。
「ソフィーナは欲が無いというか、人が良いというか……。でも、良かったですね。評価されるべき人から評価されて」
「はいっ! レオルド様が喜んでくれて嬉しいです!」
「いえ、私ではなく学園長や先生方ですからね?」
「でも、やはりレオルド様と一緒だったということのほうが嬉しいですね。レオルド様と目標が達成できていたという事実だったということが」
「はは。では、今日はお祝いしましょう。なにか美味しいものでも食べに行きますか?」
「ありがとうございます! いっぱい食べますよ?」
「もちろんです。しっかりとお祝いしましょう!」
プリドラ学園に入学してからになってしまったが、この日、レオルド様とジュースで乾杯して少し豪華な食事を堪能した。
「本来の結果が首席だったんだなぁと思えたら、ホッとしました」
「もっとこう……、怒っても良いくらいなのだが」
「圧力に逆らえない辛さは分かっているつもりです。こうして謝ってくれていますし」
色々と残念なこともあるのは否定できない。
だが、これからの学園生活を楽しむためにも、すでに対策はできていた。
主にレオルド様のおかげではあるが……」
「達観しとる……。ところで、ソフィーナが本当に強大な魔力を持っていることは証明された。今回の件でお詫びとして、入学金、入学試験、これから発生する学費もろもろ全て無償とさせてもらう。要は首席と同等の扱いじゃ」
「良いのですか⁉︎」
「本来は首席だったのだからな。当然のことじゃよ。だが、それだけでは元々の権利を与えるだけだから詫びとしては足りぬ。なにか望むことはあるかね?」
「いえいえ。学費が免除というだけでも大変ありがたいです」
「なんと謙虚な……。本当にすまないのう。ワシが治安保安部隊よりも権力の高いお方と繋がりが持てれば、なんとかこのような事態にならずに済んだかもしれないというのに。いや、そもそもワシも疑ってしまっていたしあまり言いわけがましいことはよそう……」
済んだことだし仕方がないことだ。
ただ、もしも今後義父様が私たちになんらかの行動をしようとしてきた場合に助けてもらえる人がいるならば、そのお方とつながっておきたい。
学園長ならその人の名前は知っていそうだから聞いてみる。
「そのお方のお名前を伺っても?」
「一人しかおらんじゃろう。国王陛下だよ」
「え……?」
「すべての権限を持っておられる。ワシが国王と知り合いであれば相談ができるのじゃがな。さすがにそう上手くはいかぬものだからの」
レオルド様のおかげで、国王陛下と仲良くさせていただいている。
だが、陛下は大変忙しいお方だ。
首席の件については既に悩んでいた問題は解決している。
もしも今後なにかあった場合に相談することにしよう。
「ソフィーナよ。今後の学園生活に期待しておる。じゃが、皆にバレたくなければ、あまり魔力を派手に使わぬようにな」
「はい。気をつけます。表向きにはこのまま次席扱いでいてくだされば」
「うむ……。先生方も聞いてのとおりじゃ。ソフィーナのことは今までどおりに接するように」
「「「「はい」」」」
これでレオルド様の足を少しは引っ張らなくてすみそうだ。
♢
「そうでしたか……。やはりソフィーナは首席だったのですね。ソフィーナが不正なんてするはずないのに……」
レオルド様が、顔を真っ赤にしながら怒っていた。
「学園長から謝罪も受けましたし、学費関連も全額免除にしてくれるそうです」
「それでも私は納得できませんけれどね。どうして許せてしまうのですか?」
私が首席にこだわっていたのは、入学志望当時はお金がほとんどなく、学費がかからないからである。
のちに、レオルド様と一緒に目標ができて、首席を目指すために二人で頑張っているのが楽しかった。
だからこそ、首席で合格ではなかったことがショックだった。
しかし、実際のところは首席だったことが知れた。
待遇も首席同様扱いになったわけだから、十分満足だ。
その旨をレオルド様に話した。
すると、レオルド様は大きくため息をはく。
「ソフィーナは欲が無いというか、人が良いというか……。でも、良かったですね。評価されるべき人から評価されて」
「はいっ! レオルド様が喜んでくれて嬉しいです!」
「いえ、私ではなく学園長や先生方ですからね?」
「でも、やはりレオルド様と一緒だったということのほうが嬉しいですね。レオルド様と目標が達成できていたという事実だったということが」
「はは。では、今日はお祝いしましょう。なにか美味しいものでも食べに行きますか?」
「ありがとうございます! いっぱい食べますよ?」
「もちろんです。しっかりとお祝いしましょう!」
プリドラ学園に入学してからになってしまったが、この日、レオルド様とジュースで乾杯して少し豪華な食事を堪能した。
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