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 くすん、くすん……。

 試験は散々だった。
 魔力測定器を壊してしまい、教官からもう帰って良いと言われてしまった。
 レオルド様の試験が終わるのを学園内の片隅で待ち、一緒に帰宅したが、帰り道は終始黙ったまま。
 家に着いてから、色々と終わったなと絶望状態で泣いていた。
 レオルド様が、なにがあったのかと聞いてくることもなく、ただ側に寄り添ってくれていたのがとても優しかった。
 私から、レオルド様に今後のことを話す。

「もう……、一緒に住む資格すらないかもしれません」
「どうしたのですか? 受験でなにかありましたか?」
「高そうな魔力測定器という道具を壊してしまいました……。もう帰って良いと言われてしまったので、試験も離脱です」
「魔力測定器? 試験はともかく、あんなもの壊したくらいで、私と一緒に住めなくなるわけがないでしょう!」
「で、でも、帰って良いって……。試験合格発表日に来ればいいと、途中で試験放棄です。これでは首席どころか受かるわけもないでしょう」

 一緒に頑張ってきたというのに、学園にすら入学ができない。
 それに、問題はそれだけではないのだ。

「壊してしまったものを弁償しなければなりません。一生かけて働いてなんとか返済をしようと思います。なので、一緒にいたらレオルド様に多大なご迷惑をかけて――」
「良かったですよ……。本当に!」
「え? なんでですか?」
「いえ、ソフィーナが落ち込んでもうダメだと思っている理由がなんの問題もないことだったのでひと安心しました。もちろん、これからも一緒にいますよ」
「はい?」

 魔力測定器は、かなりの高額の物であることは間違いない。
 そのうえ、学園にも入学できないことを考えると、私の稼ぎどころはかなり限られてしまう。
 ただごとではないと思うのだが……。

「まず、ソフィーナは勘違いしていると思います。帰って良いと言われたあと、なにか言われませんでしたか? たとえば、合格発表の日に来るようにとか」
「確かに言われました」
「ならば合格でしょう。魔力測定器を壊してしまうほどの逸材を学園が放っておくはずがありませんからね。残りの試験は免除ということだと思いますよ」

 レオルド様がホッとひと安心しながら笑顔を見せてくる。
 つられて私も、レオルド様の言っていることが正解なのかもしれないと思い、希望が出てきた。

「しかし、魔力測定器の弁償に関しては……」
「そもそも、弁償しろと言われましたか?」
「いえ、言われていませんが、壊したものは責任を持って弁償するのが当然のことかと……」
「責任感が強いのですね。ならば、ちょうど私もほぼ同じものを作っていましたからね。それを学園に提供すれば問題ないでしょう」

 レオルド様が、私の抱えていた悩みを一瞬で解決してくれた。

「ありがとうございます。なんとお礼を言っていいのやら……」
「ちょうど明日、冷蔵庫の販売日ですし、良いタイミングなので王宮に魔力測定器を持っていきますか」
「あ……。でもひとつ問題が。学園のその機械は力を注いだ魔力をライトや動力に変えるエネルギーに変換できるんだと言っていましたよ」

 ただ測定する道具ではない。
 だから高いものだと思っていた。
 だが、レオルド様はその一歩先を研究していたらしい。

「長期間魔力を貯めておき、尚且つ必要なときに各エネルギーとして使えるような作りにしていますよ。冷蔵庫の魔力を貯める応用です」
「すごい……」
「エアコンも、ソフィーナの魔力を使ってもすぐに魔力切れで動かなくなっていましたからね。この作った測定器とエアコンを同時に発売できれば、今後色々なものを作れるような気がするんですよ」

 試験勉強の合間にものすごいものを開発していたことに驚いた。
 翌日、レオルド様と一緒に魔力測定器を持って王宮へ向かった。
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