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謁見する部屋は国王陛下専用の部屋だった。
警備の人がドアを開け、入るとほんの少しだけ暖かい。
エアコンが効いているからなのだろうが、それにしては故障しているのではないかと疑ってしまうほど効きが悪い。
「来てくれたか。感謝する」
レオルド様がすぐに片ヒザを地面に付け、私も真似て同じような体勢をとる。
やらかしてしまったな。
一般常識や貴族に関する勉強をもっともっとしておかないと。
「エアコンは素晴らしいな。おかげで就寝中に凍え死にすることはないだろう」
「陛下に気に入っていただけてなによりでございます」
「うむ。だが、最近調子が悪くなってしまっている。王宮の魔導師に魔力を加えてもらったのだが……」
「申しわけございません。エアコンに直接魔力を流す仕様にしていたためです」
「謝ることはない。ところで、これは治すことはできるのかね?」
「現在新しく改良したエアコンを作っている最中でございます。それまでの間は……ソフィーナ、また魔力を補充してもらえますか?」
エアコンに手を触れ、魔力を少しづつ流していく。
一気に流すと壊れてしまう可能性があるそうで、時間をかける。
エアコンの風の動きが速くなっていき、熱風も出るようになった。
どうやら治ったらしい。
「助かる。二人ともまだ子どもなのに大したものだ」
国王陛下は感心しながら直ったエアコンを見る。
こほんと咳払いをして、再び私たちに視線を向けてきた。
「さて、キミたちを呼んだ本題に入ろう。レオルド=ミルフィーヌ並びにソフィーナ双方に男爵の爵位を授けることにした」
「え⁉︎ 男爵ですか?」
レオルド様が男爵になることは理解できる。
冷蔵庫やエアコンを作ってしまうのだから、国に大いに貢献していくと思う。
だが、私はなぜ?
「なぜ驚く? レオルドは素晴らしい道具を開発している。そして商品化も検討されている状態になった。ま、爵位を授与して当然だな」
「ありがたき幸せ。今後も様々な道具を作っていく次第であります」
「うむ。期待しておる。ソフィーナよ。そなたは優れた魔力を持っておるだろう?」
多分としか言いようがなかった。
エアコンの魔力や魔石に注いだ魔力量を見て、レオルド様が驚いていたからそこそこの魔力があるのだとは思う。
だが、魔法の発動は一度もやったことがない。
家での魔法を禁じられていたからだ。
「なぜ戸惑っておる? まぁ良い。どのみち、ソフィーナも間も無く学園に入学するのだろう? 魔法学科で受けると思うが」
「はい。そのつもりです」
「間違いなくソフィーナは主席で合格するであろう。その際、ひいきになるかもしれんが、爵位があったほうがなにかと国や学園にとっても都合が良いのだ。それに、魔力を通して今後の活躍も期待しておる。そういう意味も含めて男爵を授ける」
私はまだ学園に受かっていないしなにか国に貢献したわけではないのに良いのだろうか。
とはいえ、男爵を叙爵されたほうがなにかと便利な気がする。
ここはありがたくご好意に甘えることにした。
「ありがとうございます。まだ世間を知らない無知ですが、これから勉強して貴族として恥じないよう心がけたいと思います」
「うむ。二人とも今後の活躍に期待しておるぞ。男爵を授ける儀式は、のちに開く。それまでは爵位の話は他言せぬように」
レオルド様のおかげで、私はいきなり男爵になってしまうのか。
儀式までは絶対に喋らないように気をつけよう。
そして、あっという間に儀式の日がやってきた。
警備の人がドアを開け、入るとほんの少しだけ暖かい。
エアコンが効いているからなのだろうが、それにしては故障しているのではないかと疑ってしまうほど効きが悪い。
「来てくれたか。感謝する」
レオルド様がすぐに片ヒザを地面に付け、私も真似て同じような体勢をとる。
やらかしてしまったな。
一般常識や貴族に関する勉強をもっともっとしておかないと。
「エアコンは素晴らしいな。おかげで就寝中に凍え死にすることはないだろう」
「陛下に気に入っていただけてなによりでございます」
「うむ。だが、最近調子が悪くなってしまっている。王宮の魔導師に魔力を加えてもらったのだが……」
「申しわけございません。エアコンに直接魔力を流す仕様にしていたためです」
「謝ることはない。ところで、これは治すことはできるのかね?」
「現在新しく改良したエアコンを作っている最中でございます。それまでの間は……ソフィーナ、また魔力を補充してもらえますか?」
エアコンに手を触れ、魔力を少しづつ流していく。
一気に流すと壊れてしまう可能性があるそうで、時間をかける。
エアコンの風の動きが速くなっていき、熱風も出るようになった。
どうやら治ったらしい。
「助かる。二人ともまだ子どもなのに大したものだ」
国王陛下は感心しながら直ったエアコンを見る。
こほんと咳払いをして、再び私たちに視線を向けてきた。
「さて、キミたちを呼んだ本題に入ろう。レオルド=ミルフィーヌ並びにソフィーナ双方に男爵の爵位を授けることにした」
「え⁉︎ 男爵ですか?」
レオルド様が男爵になることは理解できる。
冷蔵庫やエアコンを作ってしまうのだから、国に大いに貢献していくと思う。
だが、私はなぜ?
「なぜ驚く? レオルドは素晴らしい道具を開発している。そして商品化も検討されている状態になった。ま、爵位を授与して当然だな」
「ありがたき幸せ。今後も様々な道具を作っていく次第であります」
「うむ。期待しておる。ソフィーナよ。そなたは優れた魔力を持っておるだろう?」
多分としか言いようがなかった。
エアコンの魔力や魔石に注いだ魔力量を見て、レオルド様が驚いていたからそこそこの魔力があるのだとは思う。
だが、魔法の発動は一度もやったことがない。
家での魔法を禁じられていたからだ。
「なぜ戸惑っておる? まぁ良い。どのみち、ソフィーナも間も無く学園に入学するのだろう? 魔法学科で受けると思うが」
「はい。そのつもりです」
「間違いなくソフィーナは主席で合格するであろう。その際、ひいきになるかもしれんが、爵位があったほうがなにかと国や学園にとっても都合が良いのだ。それに、魔力を通して今後の活躍も期待しておる。そういう意味も含めて男爵を授ける」
私はまだ学園に受かっていないしなにか国に貢献したわけではないのに良いのだろうか。
とはいえ、男爵を叙爵されたほうがなにかと便利な気がする。
ここはありがたくご好意に甘えることにした。
「ありがとうございます。まだ世間を知らない無知ですが、これから勉強して貴族として恥じないよう心がけたいと思います」
「うむ。二人とも今後の活躍に期待しておるぞ。男爵を授ける儀式は、のちに開く。それまでは爵位の話は他言せぬように」
レオルド様のおかげで、私はいきなり男爵になってしまうのか。
儀式までは絶対に喋らないように気をつけよう。
そして、あっという間に儀式の日がやってきた。
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