13 / 50
13
しおりを挟む
前回来た王宮の応接室にて。
完成した冷蔵庫を持っていき、商品化への営業である。
「素晴らしい。これなら魔石も冷蔵庫も商品化として進めることができる」
王都商会会長のセバル=グリフォム侯爵様が冷蔵庫に触れながら笑顔でそう言ってきた。
ついにレオルド様の夢の第一歩が達成できたのだ。
私も嬉しくなる。あまりにも嬉しくて、うっすらと涙が出てしまった。
「レオルド様、商品化おめでとうございます!」
「ありがとうございます! ソフィーナのおかげここまでこれました」
「ふふ……」
まぁ今回は否定しないでおく。
冷蔵庫は一人では持ち運べないくらい重いし、二人で協力してここまで運んできた。
まだまだ寒い季節とはいえ、王宮に到着したころには二人で汗だくだった。
とはいえ、物置小屋で監禁生活だったし体力も筋力もほとんどなく、ほぼレオルド様に負担をかけさせてしまうような持ち方になってしまったことは申しわけなかったが……。
「魔石並びに冷蔵庫に関しては、今後商品開発班と打ち合わせをしてもらうことになる。先に取り分に関してだけここで決めておく」
「当初セバル様がおっしゃっていた、イチキュウであれば嬉しいのですが」
「残念だがレオルド君。それは無理がある」
「そうですか……」
レオルド様が言っていたイチキュウとは、今後売り上げ利益の一割がレオルド様のものになると言っていたっけ。
今後レオルド様は新しい物を作っていくそうで、作り方を教えて販売等は全て商品開発班に丸投げし、アイディア料と販売特許をもらうそうだ。
だが、セバル様は苦笑いをしながら断ってきた。
なにかダメだったのだろうか。
「最低でもニハチでないと割りに合わない」
「はい!?」
「魔石も冷蔵庫も、今までに存在したことのないような革命的な物だ。以前王宮で買い取ったエアコンも陛下が大変気に入られている。もしもレオルド君が商品化するような物を完成させたらニハチ以上で契約するようにと命令も受けているのだよ」
「良いのですか? ニハチと言えば、常に製作にも加担するのでは?」
「今後の新商品開発の必要経費だと思えば良い」
レオルド様が、まるで夢のようだと言ったような笑みを浮かべていた。
「はい! ありがとうございます! 今まで以上に新しい物を作り、人々の役に立てそうな物を作りたいと思います!」
「ところでだ。レオルド君たちはこのあと時間はあるのか?」
レオルド様が真っ先に私に確認をしてきた。
私が毎日することはすでに終わっているし、あとはレオルド様に合わせられる。
大丈夫だと伝えると、すぐにレオルド様も時間があることを伝えた。
「では、二人とも陛下と謁見をしてもらう」
「「はい?」」
私とレオルド様の驚いた声がかぶる。
レオルド様はわかる。
だが、私まで謁見するのはなぜだろう。
「それから、ソフィーナ嬢にはエアコンの効きが悪くなってきているから魔力の補充を依頼したいそうだから、そちらも可能ならばお願いしたい」
「は、はい。私は問題ありませんが」
「すまんな。王宮に在中している魔導師でも、エアコンを起動させる魔力を使わせようとしたら、魔力が枯渇するまでの力が必要らしくてな」
そういえば王宮に渡していたエアコンって、まだ循環がうまくされていない魔石を使っているんだったっけ。
あれ、これって冷蔵庫と同じように新しく作った魔石でエアコンに取り付けたら……。
なんて思ってみたけれど、魔石にも作り方によって色々と種類があるそうだし、そううまくはいかないか。
ところで、魔力の補充なら理解できるのだけれど、やはり私まで謁見する理由がわからない。
頭の中がハテナ状態のまま、国王陛下がいる部屋へ向かった。
完成した冷蔵庫を持っていき、商品化への営業である。
「素晴らしい。これなら魔石も冷蔵庫も商品化として進めることができる」
王都商会会長のセバル=グリフォム侯爵様が冷蔵庫に触れながら笑顔でそう言ってきた。
ついにレオルド様の夢の第一歩が達成できたのだ。
私も嬉しくなる。あまりにも嬉しくて、うっすらと涙が出てしまった。
「レオルド様、商品化おめでとうございます!」
「ありがとうございます! ソフィーナのおかげここまでこれました」
「ふふ……」
まぁ今回は否定しないでおく。
冷蔵庫は一人では持ち運べないくらい重いし、二人で協力してここまで運んできた。
まだまだ寒い季節とはいえ、王宮に到着したころには二人で汗だくだった。
とはいえ、物置小屋で監禁生活だったし体力も筋力もほとんどなく、ほぼレオルド様に負担をかけさせてしまうような持ち方になってしまったことは申しわけなかったが……。
「魔石並びに冷蔵庫に関しては、今後商品開発班と打ち合わせをしてもらうことになる。先に取り分に関してだけここで決めておく」
「当初セバル様がおっしゃっていた、イチキュウであれば嬉しいのですが」
「残念だがレオルド君。それは無理がある」
「そうですか……」
レオルド様が言っていたイチキュウとは、今後売り上げ利益の一割がレオルド様のものになると言っていたっけ。
今後レオルド様は新しい物を作っていくそうで、作り方を教えて販売等は全て商品開発班に丸投げし、アイディア料と販売特許をもらうそうだ。
だが、セバル様は苦笑いをしながら断ってきた。
なにかダメだったのだろうか。
「最低でもニハチでないと割りに合わない」
「はい!?」
「魔石も冷蔵庫も、今までに存在したことのないような革命的な物だ。以前王宮で買い取ったエアコンも陛下が大変気に入られている。もしもレオルド君が商品化するような物を完成させたらニハチ以上で契約するようにと命令も受けているのだよ」
「良いのですか? ニハチと言えば、常に製作にも加担するのでは?」
「今後の新商品開発の必要経費だと思えば良い」
レオルド様が、まるで夢のようだと言ったような笑みを浮かべていた。
「はい! ありがとうございます! 今まで以上に新しい物を作り、人々の役に立てそうな物を作りたいと思います!」
「ところでだ。レオルド君たちはこのあと時間はあるのか?」
レオルド様が真っ先に私に確認をしてきた。
私が毎日することはすでに終わっているし、あとはレオルド様に合わせられる。
大丈夫だと伝えると、すぐにレオルド様も時間があることを伝えた。
「では、二人とも陛下と謁見をしてもらう」
「「はい?」」
私とレオルド様の驚いた声がかぶる。
レオルド様はわかる。
だが、私まで謁見するのはなぜだろう。
「それから、ソフィーナ嬢にはエアコンの効きが悪くなってきているから魔力の補充を依頼したいそうだから、そちらも可能ならばお願いしたい」
「は、はい。私は問題ありませんが」
「すまんな。王宮に在中している魔導師でも、エアコンを起動させる魔力を使わせようとしたら、魔力が枯渇するまでの力が必要らしくてな」
そういえば王宮に渡していたエアコンって、まだ循環がうまくされていない魔石を使っているんだったっけ。
あれ、これって冷蔵庫と同じように新しく作った魔石でエアコンに取り付けたら……。
なんて思ってみたけれど、魔石にも作り方によって色々と種類があるそうだし、そううまくはいかないか。
ところで、魔力の補充なら理解できるのだけれど、やはり私まで謁見する理由がわからない。
頭の中がハテナ状態のまま、国王陛下がいる部屋へ向かった。
50
お気に入りに追加
2,010
あなたにおすすめの小説

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。

見知らぬ子息に婚約破棄してくれと言われ、腹の立つ言葉を投げつけられましたが、どうやら必要ない我慢をしてしまうようです
珠宮さくら
恋愛
両親のいいとこ取りをした出来の良い兄を持ったジェンシーナ・ペデルセン。そんな兄に似ずとも、母親の家系に似ていれば、それだけでもだいぶ恵まれたことになったのだが、残念ながらジェンシーナは似ることができなかった。
だからといって家族は、それでジェンシーナを蔑ろにすることはなかったが、比べたがる人はどこにでもいるようだ。
それだけでなく、ジェンシーナは何気に厄介な人間に巻き込まれてしまうが、我慢する必要もないことに気づくのが、いつも遅いようで……。

逆行令嬢の反撃~これから妹達に陥れられると知っているので、安全な自分の部屋に籠りつつ逆行前のお返しを行います~
柚木ゆず
恋愛
妹ソフィ―、継母アンナ、婚約者シリルの3人に陥れられ、極刑を宣告されてしまった子爵家令嬢・セリア。
そんな彼女は執行前夜泣き疲れて眠り、次の日起きると――そこは、牢屋ではなく自分の部屋。セリアは3人の罠にはまってしまうその日に、戻っていたのでした。
こんな人達の思い通りにはさせないし、許せない。
逆行して3人の本心と企みを知っているセリアは、反撃を決意。そうとは知らない妹たち3人は、セリアに翻弄されてゆくことになるのでした――。
※体調不良の影響で現在感想欄は閉じさせていただいております。
※こちらは3年前に投稿させていただいたお話の改稿版(文章をすべて書き直し、ストーリーの一部を変更したもの)となっております。
1月29日追加。後日ざまぁの部分にストーリーを追加させていただきます。

私を運命の相手とプロポーズしておきながら、可哀そうな幼馴染の方が大切なのですね! 幼馴染と幸せにお過ごしください
迷い人
恋愛
王国の特殊爵位『フラワーズ』を頂いたその日。
アシャール王国でも美貌と名高いディディエ・オラール様から婚姻の申し込みを受けた。
断るに断れない状況での婚姻の申し込み。
仕事の邪魔はしないと言う約束のもと、私はその婚姻の申し出を承諾する。
優しい人。
貞節と名高い人。
一目惚れだと、運命の相手だと、彼は言った。
細やかな気遣いと、距離を保った愛情表現。
私も愛しております。
そう告げようとした日、彼は私にこうつげたのです。
「子を事故で亡くした幼馴染が、心をすり減らして戻ってきたんだ。 私はしばらく彼女についていてあげたい」
そう言って私の物を、つぎつぎ幼馴染に与えていく。
優しかったアナタは幻ですか?
どうぞ、幼馴染とお幸せに、請求書はそちらに回しておきます。

【完結】幼い頃からの婚約を破棄されて退学の危機に瀕している。
桧山 紗綺
恋愛
子爵家の長男として生まれた主人公は幼い頃から家を出て、いずれ婿入りする男爵家で育てられた。婚約者とも穏やかで良好な関係を築いている。
それが綻んだのは学園へ入学して二年目のこと。
「婚約を破棄するわ」
ある日突然婚約者から婚約の解消を告げられる。婚約者の隣には別の男子生徒。
しかもすでに双方の親の間で話は済み婚約は解消されていると。
理解が追いつく前に婚約者は立ち去っていった。
一つ年下の婚約者とは学園に入学してから手紙のやり取りのみで、それでも休暇には帰って一緒に過ごした。
婚約者も入学してきた今年は去年の反省から友人付き合いを抑え自分を優先してほしいと言った婚約者と二人で過ごす時間を多く取るようにしていたのに。
それが段々減ってきたかと思えばそういうことかと乾いた笑いが落ちる。
恋のような熱烈な想いはなくとも、将来共に歩む相手、長い時間共に暮らした家族として大切に思っていたのに……。
そう思っていたのは自分だけで、『いらない』の一言で切り捨てられる存在だったのだ。
いずれ男爵家を継ぐからと男爵が学費を出して通わせてもらっていた学園。
来期からはそうでないと気づき青褪める。
婚約解消に伴う慰謝料で残り一年通えないか、両親に援助を得られないかと相談するが幼い頃から離れて育った主人公に家族は冷淡で――。
絶望する主人公を救ったのは学園で得た友人だった。
◇◇
幼い頃からの婚約者やその家から捨てられ、さらに実家の家族からも疎まれていたことを知り絶望する主人公が、友人やその家族に助けられて前に進んだり、贋金事件を追ったり可愛らしいヒロインとの切ない恋に身を焦がしたりするお話です。
基本は男性主人公の視点でお話が進みます。
◇◇
第16回恋愛小説大賞にエントリーしてました。
呼んでくださる方、応援してくださる方、感想なども皆様ありがとうございます。とても励まされます!
本編完結しました!
皆様のおかげです、ありがとうございます!
ようやく番外編の更新をはじめました。お待たせしました!
◆番外編も更新終わりました、見てくださった皆様ありがとうございます!!

私は『選んだ』
ルーシャオ
恋愛
フィオレ侯爵家次女セラフィーヌは、いつも姉マルグレーテに『選ばさせられていた』。好きなお菓子も、ペットの犬も、ドレスもアクセサリも先に選ぶよう仕向けられ、そして当然のように姉に取られる。姉はそれを「先にいいものを選んで私に持ってきてくれている」と理解し、フィオレ侯爵も咎めることはない。
『選ばされて』姉に譲るセラフィーヌは、結婚相手までも同じように取られてしまう。姉はバルフォリア公爵家へ嫁ぐのに、セラフィーヌは貴族ですらない資産家のクレイトン卿の元へ嫁がされることに。
セラフィーヌはすっかり諦め、クレイトン卿が継承するという子爵領へ先に向かうよう家を追い出されるが、辿り着いた子爵領はすっかり自由で豊かな土地で——?

前世の旦那様、貴方とだけは結婚しません。
真咲
恋愛
全21話。他サイトでも掲載しています。
一度目の人生、愛した夫には他に想い人がいた。
侯爵令嬢リリア・エンダロインは幼い頃両親同士の取り決めで、幼馴染の公爵家の嫡男であるエスター・カンザスと婚約した。彼は学園時代のクラスメイトに恋をしていたけれど、リリアを優先し、リリアだけを大切にしてくれた。
二度目の人生。
リリアは、再びリリア・エンダロインとして生まれ変わっていた。
「次は、私がエスターを幸せにする」
自分が彼に幸せにしてもらったように。そのために、何がなんでも、エスターとだけは結婚しないと決めた。

【完結】虐げられていた侯爵令嬢が幸せになるお話
彩伊
恋愛
歴史ある侯爵家のアルラーナ家、生まれてくる子供は皆決まって金髪碧眼。
しかし彼女は燃えるような紅眼の持ち主だったために、アルラーナ家の人間とは認められず、疎まれた。
彼女は敷地内の端にある寂れた塔に幽閉され、意地悪な義母そして義妹が幸せに暮らしているのをみているだけ。
............そんな彼女の生活を一変させたのは、王家からの”あるパーティー”への招待状。
招待状の主は義妹が恋い焦がれているこの国の”第3皇子”だった。
送り先を間違えたのだと、彼女はその招待状を義妹に渡してしまうが、実際に第3皇子が彼女を迎えにきて.........。
そして、このパーティーで彼女の紅眼には大きな秘密があることが明らかにされる。
『これは虐げられていた侯爵令嬢が”愛”を知り、幸せになるまでのお話。』
一日一話
14話完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる