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9 ドラゴンと対峙
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「こんなところで小型ドラゴンタイプに遭遇するとは想定外ですね」
近くに村があるのにモンスターがいるとは……。
しかも人を好んで食べるタイプの肉食系の小型ドラゴンタイプだ。
小型と言っても四メートルほどの身長があるので、一般人が戦って勝てる相手ではない。
「シャーリー殿よ、危険だから下がっていたまえ」
「は!? サイバー団長は何を言っているのですか?」
どうも最近の団長はおかしい。
馬車に乗ってからか。
今までだったら一緒に行くぞと言って戦うんだが……。
「シャーリー殿が怪我をしてはたまったものではないからな。俺が倒す」
「いえ、さすがにこいつ相手に団長一人では危険かと……」
『ギャーーーゴオオオ!!』
揉めている間に私の方へと牙を向けてきた。
どうやらこの小型ドラゴンは雄らしい。
人間の性別を見分けて食べる習性があるのだ。
久しぶりに剣を抜いてドラゴンに向かう。
「よせシャーリー!」
ん、今私のことを名前だけで呼んだような気がした。
お構いなくいつも通りに難なくバッサリと敵の弱点を見抜いて急所に剣を刺す。
『ゴギャアアアアアッ!!』
さすが小型ドラゴンだ。
一撃で倒せなかったので、何度も切り刻んで討伐した。
「サイバー団長、一体どうしたというのですか? 最近のサイバー団長はおかしいですよ……」
「怪我はないか!? 大丈夫か!?」
「いえ、あまりからかわないでいただけますか? 私がこの程度のモンスターを相手にやられるとでも?」
「い、いや、すまん……」
妙に私のことを心配しすぎているような気がする。
今までこんなことなかったので、流石に不思議だ。
「せめて、モンスターの肉や骨は俺が始末しておこう……」
「ありがとうございます、助かります」
騎士は討伐と同時に、素材になる部位を回収する作業も行う。
正直言って私はこの類が一番苦手だ。
逆に団長はこの作業が一番優れている。
私と団長でコンビを組んだら良い騎士団チームになれるんだけどな。
「さきほどはすまなかった……。わかってはいるんだが、シャーリー殿が怪我をしてしまったらどうしようかと……」
「いつも訓練でだってそれなりに怪我はしますし、他の者だって怪我は当たり前なんですけれど……」
「そ、それはわかっている。本来騎士団全員でかからないと倒せないような小型ドラゴンも一人で討伐できる実力を持っていることだって重々承知している。だが……今の俺はただただ心配になってしまっているんだ。許せ」
深々と頭を下げてきた。
団長らしくもない。
「一体なぜ!?」
「いや……それは……」
「なぜですか!?」
流石に何日も一緒にいるので、心配なのだ。
変な毒キノコでも食べて気がおかしくなってしまったんじゃないだろうか。
「怒らないか?」
「言わないと怒ります」
「わかった……コイツを片付けてから話す」
「わかりました」
そんなにかしこまるような悩みでも抱えているのだろうか。
汚れた剣を磨きながら団長の作業が終えるのをゆっくりと待っていた。
近くに村があるのにモンスターがいるとは……。
しかも人を好んで食べるタイプの肉食系の小型ドラゴンタイプだ。
小型と言っても四メートルほどの身長があるので、一般人が戦って勝てる相手ではない。
「シャーリー殿よ、危険だから下がっていたまえ」
「は!? サイバー団長は何を言っているのですか?」
どうも最近の団長はおかしい。
馬車に乗ってからか。
今までだったら一緒に行くぞと言って戦うんだが……。
「シャーリー殿が怪我をしてはたまったものではないからな。俺が倒す」
「いえ、さすがにこいつ相手に団長一人では危険かと……」
『ギャーーーゴオオオ!!』
揉めている間に私の方へと牙を向けてきた。
どうやらこの小型ドラゴンは雄らしい。
人間の性別を見分けて食べる習性があるのだ。
久しぶりに剣を抜いてドラゴンに向かう。
「よせシャーリー!」
ん、今私のことを名前だけで呼んだような気がした。
お構いなくいつも通りに難なくバッサリと敵の弱点を見抜いて急所に剣を刺す。
『ゴギャアアアアアッ!!』
さすが小型ドラゴンだ。
一撃で倒せなかったので、何度も切り刻んで討伐した。
「サイバー団長、一体どうしたというのですか? 最近のサイバー団長はおかしいですよ……」
「怪我はないか!? 大丈夫か!?」
「いえ、あまりからかわないでいただけますか? 私がこの程度のモンスターを相手にやられるとでも?」
「い、いや、すまん……」
妙に私のことを心配しすぎているような気がする。
今までこんなことなかったので、流石に不思議だ。
「せめて、モンスターの肉や骨は俺が始末しておこう……」
「ありがとうございます、助かります」
騎士は討伐と同時に、素材になる部位を回収する作業も行う。
正直言って私はこの類が一番苦手だ。
逆に団長はこの作業が一番優れている。
私と団長でコンビを組んだら良い騎士団チームになれるんだけどな。
「さきほどはすまなかった……。わかってはいるんだが、シャーリー殿が怪我をしてしまったらどうしようかと……」
「いつも訓練でだってそれなりに怪我はしますし、他の者だって怪我は当たり前なんですけれど……」
「そ、それはわかっている。本来騎士団全員でかからないと倒せないような小型ドラゴンも一人で討伐できる実力を持っていることだって重々承知している。だが……今の俺はただただ心配になってしまっているんだ。許せ」
深々と頭を下げてきた。
団長らしくもない。
「一体なぜ!?」
「いや……それは……」
「なぜですか!?」
流石に何日も一緒にいるので、心配なのだ。
変な毒キノコでも食べて気がおかしくなってしまったんじゃないだろうか。
「怒らないか?」
「言わないと怒ります」
「わかった……コイツを片付けてから話す」
「わかりました」
そんなにかしこまるような悩みでも抱えているのだろうか。
汚れた剣を磨きながら団長の作業が終えるのをゆっくりと待っていた。
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