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6話 レイチェルは人助けに励む

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「ひゃ! 大丈夫ですか!?」

 うつ伏せになって人が倒れていた。
 急いで家に入り、生きているか確認する。

 腕に触れてみると脈は動いていた。
 顔を見てみると、二十代くらいの男性。
 彫刻のような顔立ちで一瞬どきりとさせられてしまったが、今はそれどころではない。
 なんとか助けなければ。

 ひとまず、こんな堅そうな地面で倒れたままでは身体も痛そうだ。
 すぐにザッソウに助けを求めに外へでた。

「お願い。みんなの力でベッドを作って欲しいの」
『ザッソウベッドですねぇ。またレイチェル様のお身体のお役に……』
「今回は私じゃないの。中で人が倒れていたから、せめてふかふかのザッソウベッドで……」
『人助けですね。おまかせください』

 ついさっき大量増殖したザッソウたちが集まって、あっという間にふかふかベッドのような形に整えてくれた。

 私は全力で男性を引きずってなんとかザッソウベッドに乗せた。
 念のためにザッソウでバケツのようなものを作って、水を汲んできた。

 男性の元へ戻ったとき、彼はゆっくりとまぶたを開いたのだった。

「大丈夫ですか!?」
「き……きみは?」
「レイチェルと申します。それよりも水です。飲めますか?」
「う、うむ……」

 男性はゆっくりと起き上がり、それに合わせてザッソウたちが男性の姿勢に合わせてフィットするような椅子に変形した。
 ザッソウバケツを受け取ると、ものすごい勢いで水をガブガブと飲みはじめる。
 この状況をみて、私は驚いたまま男性を眺めていた。

「生き返った気分だ……。ありがとう」
「良かった……。倒れていたのでびっくりしました」

 ようやく落ち着きを取り戻した男性は、私のことを見たあと、ザッソウバケツやザッソウベッドを見てから徐々に驚いていった。

「キミはもしや聖女なのか……?」
「そうです。訳あって王都から追放されてここへ来まして」
「この草もキミが指示したのか?」
「はい」

 このお方は聖女のことをご存知のようだ。
 それに、さっきまで荒野だった場所にどうしているのかも気になる。

「あの……、あなたはいったい?」
「あぁ、失礼した。俺はアルジェントと申す。このあたりを管理している辺境伯だ」

 辺境伯様だったのか。

 アルジェント辺境伯様が私のほうを見ながらニコリと微笑んだ。
 私の心臓の鼓動が激しくなってしまっていた。
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