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イデアの気持ち
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イデアと共に水浴びをしている。
お互いに裸になっているので、こういう時になるとなんでも話したくなってしまうのが水浴びや温浴のいいところでもあるのだ。
「……そろそろ婚約相手が欲しい」
「イデアは可愛いしメイドも完璧だし良い奥さんになるわよ」
「……リリアと結婚したい」
「え? ……ひゃっ!」
そう言いながら私の胸を鷲掴みにしてきた。
すぐにやり返す。
王宮ではもちろんこんなことはしないが、今は裸の付き合いだし良しとしておこう。
うーん、やはりイデアの方がインパクトがある。
「……はしゃぐリリアが可愛い」
「もう、イデアったら! それよりもさっきの話だけれど、好きな人はいないの?」
「……いる。カルム殿下」
「え!?」
イデアは普段の平然とした表情でその名前を口にする。
私は驚きのあまり咄嗟に大きな声を出してしまった。
衝撃的な事実を知り、身体が固まってしまう。
すると、イデアはクスクスと笑いはじめた。
「……冗談。そこまで驚くってことはそういうことね」
驚いた……。
もし本当だったとしたら、私はこの先身を引くべきなのかどうすれば良いのか本気で悩んでいただろう。
「わ、私となんて釣り合うはずないでしょー! あれだけイケメンで、高身長で、優しくて、隠れマッチョで、相手のことを思いやっていて、民衆からも人気があって、目がキラキラしていて、責任感も強くて……」
カルム様の良いところを言い出したらキリがない。
すると、イデアはまたしても意地悪なことを言ってくる。
「私ですら知らない殿下の情報をリリアは知っている。それだけ殿下のことを細かく見ているのね」
「だって……見てしまうんだもの! 意識しちゃうのよ!」
イデアは更に笑っている。
「……最近のリリアは明るくなってて良い感じ」
「え?」
「さっきもそう。前だったら胸揉んだらやり返してなんてこなかった。恋すると人は変わるっていうけれど、リリアはそれ以外にもありそう。今のリリア、元気で明るくて前よりももっと好き」
「カサラス王国へ来てから楽しいことばっかりだからなぁ。私、そんなに変わったのかな」
主にカルム様とイデアの存在が大きいだろう。
初めて友達ができたし、初めて本気で異性を好きになれた。
二人には特に感謝している。
もちろん二人だけがきっかけではない。
カサラス王国は私のことを忌み嫌ったりしてこないのだ。
エウレス皇国で長く育った結果、今までは自然と心を閉ざしていたのかもしれない。
「エウレス皇国で仲が良かった人はいなかったの?」
「いなかったわね……。殆ど王宮に閉じ込められていたようなもんだったし。強いて言えばだけど……エウレス皇国の陛下が当時の私の婚約者の失態で謝罪してくることがしばしばあったくらいかな……」
ウィンド皇帝陛下からも聖女のことでは忌み嫌われていた。
だが、それでも謝るところは謝ってきたりしていたのだ。
嫌っているはずの私に対しても、ラファエルが犯した失態を私になすりつけようとしてきたときは謝ってきたりしていた。
だからと言って仲が良かったわけではない。
「……私はエウレスの陛下は嫌い。昔、交流パーティーのときに一度だけお会いしたことがあるけれど、ダメ息子のことを溺愛している感じだった。叱るところで叱れない親ってイメージ」
「その結果は出ていると思うわ……」
ラファエルの性格に難ありすぎるのも、王族としての教育を疎かにさせていたからだったのかもしれない。
その上で『自分は偉い人間なのだ』と思い込みすぎてあんな男に……。
いやいや、もうラファエルのことを考えるのはやめておこう。
「で、イデアの好きな人は?」
「……村人その三」
「ふざけないの!」
結局イデアは誰が好きなのか教えてくれなかった。
私の意中の相手は、イデアに思いっきりバレてしまっただろう……。
お互いに裸になっているので、こういう時になるとなんでも話したくなってしまうのが水浴びや温浴のいいところでもあるのだ。
「……そろそろ婚約相手が欲しい」
「イデアは可愛いしメイドも完璧だし良い奥さんになるわよ」
「……リリアと結婚したい」
「え? ……ひゃっ!」
そう言いながら私の胸を鷲掴みにしてきた。
すぐにやり返す。
王宮ではもちろんこんなことはしないが、今は裸の付き合いだし良しとしておこう。
うーん、やはりイデアの方がインパクトがある。
「……はしゃぐリリアが可愛い」
「もう、イデアったら! それよりもさっきの話だけれど、好きな人はいないの?」
「……いる。カルム殿下」
「え!?」
イデアは普段の平然とした表情でその名前を口にする。
私は驚きのあまり咄嗟に大きな声を出してしまった。
衝撃的な事実を知り、身体が固まってしまう。
すると、イデアはクスクスと笑いはじめた。
「……冗談。そこまで驚くってことはそういうことね」
驚いた……。
もし本当だったとしたら、私はこの先身を引くべきなのかどうすれば良いのか本気で悩んでいただろう。
「わ、私となんて釣り合うはずないでしょー! あれだけイケメンで、高身長で、優しくて、隠れマッチョで、相手のことを思いやっていて、民衆からも人気があって、目がキラキラしていて、責任感も強くて……」
カルム様の良いところを言い出したらキリがない。
すると、イデアはまたしても意地悪なことを言ってくる。
「私ですら知らない殿下の情報をリリアは知っている。それだけ殿下のことを細かく見ているのね」
「だって……見てしまうんだもの! 意識しちゃうのよ!」
イデアは更に笑っている。
「……最近のリリアは明るくなってて良い感じ」
「え?」
「さっきもそう。前だったら胸揉んだらやり返してなんてこなかった。恋すると人は変わるっていうけれど、リリアはそれ以外にもありそう。今のリリア、元気で明るくて前よりももっと好き」
「カサラス王国へ来てから楽しいことばっかりだからなぁ。私、そんなに変わったのかな」
主にカルム様とイデアの存在が大きいだろう。
初めて友達ができたし、初めて本気で異性を好きになれた。
二人には特に感謝している。
もちろん二人だけがきっかけではない。
カサラス王国は私のことを忌み嫌ったりしてこないのだ。
エウレス皇国で長く育った結果、今までは自然と心を閉ざしていたのかもしれない。
「エウレス皇国で仲が良かった人はいなかったの?」
「いなかったわね……。殆ど王宮に閉じ込められていたようなもんだったし。強いて言えばだけど……エウレス皇国の陛下が当時の私の婚約者の失態で謝罪してくることがしばしばあったくらいかな……」
ウィンド皇帝陛下からも聖女のことでは忌み嫌われていた。
だが、それでも謝るところは謝ってきたりしていたのだ。
嫌っているはずの私に対しても、ラファエルが犯した失態を私になすりつけようとしてきたときは謝ってきたりしていた。
だからと言って仲が良かったわけではない。
「……私はエウレスの陛下は嫌い。昔、交流パーティーのときに一度だけお会いしたことがあるけれど、ダメ息子のことを溺愛している感じだった。叱るところで叱れない親ってイメージ」
「その結果は出ていると思うわ……」
ラファエルの性格に難ありすぎるのも、王族としての教育を疎かにさせていたからだったのかもしれない。
その上で『自分は偉い人間なのだ』と思い込みすぎてあんな男に……。
いやいや、もうラファエルのことを考えるのはやめておこう。
「で、イデアの好きな人は?」
「……村人その三」
「ふざけないの!」
結局イデアは誰が好きなのか教えてくれなかった。
私の意中の相手は、イデアに思いっきりバレてしまっただろう……。
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