28 / 61
イデアの過保護
しおりを挟む
「……その格好ではダメ。ルビーちゃんの背に乗るのであれば、スカートの中に見えても良いパンツを履かなければ下から丸見え」
私の保護者同然になっているイデア 。
彼女の徹底っぷりは凄まじいものがある。
今日はカルム様とお出かけデートをするので、普段着ないような服を選んだのだが、真っ先にイデアに止められてしまった。
「私のなんか誰も見ないと思うけど」
「……いえ、自分で気づいていないだけ。リリアは可愛い! リリアの下着を見ようとするものは私が絶対に許さない! とにかく、その服がいいならこれも履くこと!」
「は……はい」
言われたとおりにスカートの中に黒の短パンも着用した。
確かに膝上二十センチの水色ワンピースでルビーに乗るのは、少々危険だったかもしれない。
「……あぁ、これは鼻血モノ。カルム様もこれならイチコロ」
「可愛いから選んだんだけど……」
「……良い! かわいい!! 余計なライバルが増えないことを祈る」
言っている意味はわかるのだが、イデアは言い過ぎだろう。
エウレス皇国では全くと言って良いほど男運も無ければ恋愛をしたことすらない。
ラファエルとの婚約も政略的なものだったし、本人には悪いが好きになったわけではなかった。
「……リリア、出かける前に一つだけ良い?」
足元と胸元にやたら目線を向けているイデアが、ようやく私の顔を見てきた。
「魔力は自然に回復していく。でも、体内に蓄えている魔力を全て使い切ると数日間は寝たきりになるから気をつけて。まぁリリアの魔力なら問題ないとは思う。でも念のため」
「わかったわ、ありがとう」
余程心配してくれているのだろう。
聖なる力も使いすぎると似たようなことになるから、調整はできると思うのでおそらくは大丈夫だとは思うが。
イデアにお礼を言ってから、カルム様との待ち合わせている王宮の出入口まで、歩いて向かった。
♢
「リリア!! そ……その格好は……!?」
カルム様が相当動揺しているようだ。
確かに王族貴族が着るような服ではなく、どちらかというと一般庶民の女の子が好んで着そうなワンピースである。
私は元々聖女ではあっても一般庶民だし、今回は私の好みで選んだのだが……。
「申し訳ございません。あまり馴染みがありませんでしたよね……。着替えてきた方がよろしいですか?」
「むしろ良い! とても可愛い!!」
「へ!?」
絶賛しながら、私の両手を強く握ってきたのだ。
気絶してしまいそうなくらい嬉しかった。
カルム様も顔を赤らめながら、私の顔をじっと見てきている。
「ル、ルビーに乗りますが、下は見えても平気なものを着用していますので」
「ならばひと安心だ……。リリアの下着を見ようとするものは絶対に許さんからな!!」
そのセリフ、さっきイデアから聞いたばかりだ。
私は苦笑いをしながら、肩に乗っかっているルビーを巨大化させた。
「確か、辺境地の『ビレーヌ』へ行く予定でしたね」
「あぁ。デインゲル王国から物資を仕入れる際に必ず寄る村なのだよ。辺境伯からの手紙が前回の報告でなかったのでな……。何も無ければ良いのだが」
「そ、そうですね。すぐに向かった方が良さそうですね」
ルビーが高速で飛行を始めた。
カルム様は知らないかもしれないが、そういうセリフを言ったときは、大抵何かあるものなのだ。
あまり妙なフラグを作らないで欲しい……などとはとても言えなかった。
私の保護者同然になっているイデア 。
彼女の徹底っぷりは凄まじいものがある。
今日はカルム様とお出かけデートをするので、普段着ないような服を選んだのだが、真っ先にイデアに止められてしまった。
「私のなんか誰も見ないと思うけど」
「……いえ、自分で気づいていないだけ。リリアは可愛い! リリアの下着を見ようとするものは私が絶対に許さない! とにかく、その服がいいならこれも履くこと!」
「は……はい」
言われたとおりにスカートの中に黒の短パンも着用した。
確かに膝上二十センチの水色ワンピースでルビーに乗るのは、少々危険だったかもしれない。
「……あぁ、これは鼻血モノ。カルム様もこれならイチコロ」
「可愛いから選んだんだけど……」
「……良い! かわいい!! 余計なライバルが増えないことを祈る」
言っている意味はわかるのだが、イデアは言い過ぎだろう。
エウレス皇国では全くと言って良いほど男運も無ければ恋愛をしたことすらない。
ラファエルとの婚約も政略的なものだったし、本人には悪いが好きになったわけではなかった。
「……リリア、出かける前に一つだけ良い?」
足元と胸元にやたら目線を向けているイデアが、ようやく私の顔を見てきた。
「魔力は自然に回復していく。でも、体内に蓄えている魔力を全て使い切ると数日間は寝たきりになるから気をつけて。まぁリリアの魔力なら問題ないとは思う。でも念のため」
「わかったわ、ありがとう」
余程心配してくれているのだろう。
聖なる力も使いすぎると似たようなことになるから、調整はできると思うのでおそらくは大丈夫だとは思うが。
イデアにお礼を言ってから、カルム様との待ち合わせている王宮の出入口まで、歩いて向かった。
♢
「リリア!! そ……その格好は……!?」
カルム様が相当動揺しているようだ。
確かに王族貴族が着るような服ではなく、どちらかというと一般庶民の女の子が好んで着そうなワンピースである。
私は元々聖女ではあっても一般庶民だし、今回は私の好みで選んだのだが……。
「申し訳ございません。あまり馴染みがありませんでしたよね……。着替えてきた方がよろしいですか?」
「むしろ良い! とても可愛い!!」
「へ!?」
絶賛しながら、私の両手を強く握ってきたのだ。
気絶してしまいそうなくらい嬉しかった。
カルム様も顔を赤らめながら、私の顔をじっと見てきている。
「ル、ルビーに乗りますが、下は見えても平気なものを着用していますので」
「ならばひと安心だ……。リリアの下着を見ようとするものは絶対に許さんからな!!」
そのセリフ、さっきイデアから聞いたばかりだ。
私は苦笑いをしながら、肩に乗っかっているルビーを巨大化させた。
「確か、辺境地の『ビレーヌ』へ行く予定でしたね」
「あぁ。デインゲル王国から物資を仕入れる際に必ず寄る村なのだよ。辺境伯からの手紙が前回の報告でなかったのでな……。何も無ければ良いのだが」
「そ、そうですね。すぐに向かった方が良さそうですね」
ルビーが高速で飛行を始めた。
カルム様は知らないかもしれないが、そういうセリフを言ったときは、大抵何かあるものなのだ。
あまり妙なフラグを作らないで欲しい……などとはとても言えなかった。
1
お気に入りに追加
3,830
あなたにおすすめの小説

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
この野菜は悪役令嬢がつくりました!
真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。
花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。
だけどレティシアの力には秘密があって……?
せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……!
レティシアの力を巡って動き出す陰謀……?
色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい!
毎日2〜3回更新予定
だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!

私は聖女(ヒロイン)のおまけ
音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女
100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女
しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。

聖女召喚に巻き込まれた挙句、ハズレの方と蔑まれていた私が隣国の過保護な王子に溺愛されている件
バナナマヨネーズ
恋愛
聖女召喚に巻き込まれた志乃は、召喚に巻き込まれたハズレの方と言われ、酷い扱いを受けることになる。
そんな中、隣国の第三王子であるジークリンデが志乃を保護することに。
志乃を保護したジークリンデは、地面が泥濘んでいると言っては、志乃を抱き上げ、用意した食事が熱ければ火傷をしないようにと息を吹きかけて冷ましてくれるほど過保護だった。
そんな過保護すぎるジークリンデの行動に志乃は戸惑うばかり。
「私は子供じゃないからそんなことしなくてもいいから!」
「いや、シノはこんなに小さいじゃないか。だから、俺は君を命を懸けて守るから」
「お…重い……」
「ん?ああ、ごめんな。その荷物は俺が持とう」
「これくらい大丈夫だし、重いってそういうことじゃ……。はぁ……」
過保護にされたくない志乃と過保護にしたいジークリンデ。
二人は共に過ごすうちに知ることになる。その人がお互いの運命の人なのだと。
全31話
【完】聖女じゃないと言われたので、大好きな人と一緒に旅に出ます!
えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
ミレニア王国にある名もなき村の貧しい少女のミリアは酒浸りの両親の代わりに家族や妹の世話を懸命にしていたが、その妹や周囲の子ども達からは蔑まれていた。
ミリアが八歳になり聖女の素質があるかどうかの儀式を受けると聖女見習いに選ばれた。娼館へ売り払おうとする母親から逃れマルクト神殿で聖女見習いとして修業することになり、更に聖女見習いから聖女候補者として王都の大神殿へと推薦された。しかし、王都の大神殿の聖女候補者は貴族令嬢ばかりで、平民のミリアは虐げられることに。
その頃、大神殿へ行商人見習いとしてやってきたテオと知り合い、見習いの新人同士励まし合い仲良くなっていく。
十五歳になるとミリアは次期聖女に選ばれヘンリー王太子と婚約することになった。しかし、ヘンリー王太子は平民のミリアを気に入らず婚約破棄をする機会を伺っていた。
そして、十八歳を迎えたミリアは王太子に婚約破棄と国外追放の命を受けて、全ての柵から解放される。
「これで私は自由だ。今度こそゆっくり眠って美味しいもの食べよう」
テオとずっと一緒にいろんな国に行ってみたいね。
21.11.7~8、ホットランキング・小説・恋愛部門で一位となりました! 皆様のおかげです。ありがとうございました。
※「小説家になろう」さまにも掲載しております。
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
可愛いだけの無能な妹に聖女の座を譲ろうと思います
あーもんど
恋愛
お馬鹿でワガママだけど、可愛いから何もかも許される妹とブスだけど、実力のある聖女の姉。
この双子はまさに正反対。本当に双子なのか?と疑うほど。
そんなある日、妹のルーシーが姉に強請った。
「ねぇ、お姉様─────────私に聖女の座をちょうだい?」
姉のノーラから、家族からの愛も婚約者も奪ったと言うのにルーシーは『まだ足りない』と言う。
姉のノーラは決心した。
聖女の座を妹に譲り、この国を去ろうと····。
────────本物の聖女を失った国は愚者と踊る。
これはそんなお話。
※hot&人気&恋愛ランキング1位ありがとうございます(2020/04/30)
※本編完結済み。時間がある時に番外編や後日談を更新したいと思っています。
冤罪を受けたため、隣国へ亡命します
しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」
呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。
「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」
突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。
友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。
冤罪を晴らすため、奮闘していく。
同名主人公にて様々な話を書いています。
立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。
サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。
変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。
ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます!
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

聖女じゃないと追い出されたので、敵対国で錬金術師として生きていきます!
ぽっちゃりおっさん
恋愛
『お前は聖女ではない』と家族共々追い出された私達一家。
ほうほうの体で追い出され、逃げるようにして敵対していた国家に辿り着いた。
そこで私は重要な事に気が付いた。
私は聖女ではなく、錬金術師であった。
悔しさにまみれた、私は敵対国で力をつけ、私を追い出した国家に復讐を誓う!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる