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8 【ザグレーム視点】偽物だと!?
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「何かの間違いでしょう! 偽物のわけがない!」
「ほう、ではこの金魂を真っ二つに折ってもよろしいかな? もしも本物ならば責任を持って買い取らせてもらう」
「好きにしてどうぞ。絶対本物だから後悔するだろうけど」
男は力尽くで膝を使って見事に真っ二つにした。
恐ろしい力だ。
だが、それよりも俺は壊れた金魂に目を向けた。
金魂ならば全てが金でできているはずだが、この金魂、中身がただの鉛だ……。
「これで明確だな。よって詐欺の現行犯でお前たちを捕まえる」
「シャーラ逃げるぞ!」
「え……!?」
兎にも角にも逃げるのが先決だ。
これは何かの間違いなのだから一旦この場を離れるべきだ。
♢
なぜか難なく逃げることに成功した。
あの筋肉マッチョは力は凄まじいがスピードは鈍足だったようだな。
所詮俺たちには勝てなかったということだ。
「なぜあの金魂が偽物なのだ……あれはメアリーナの私物だぞ……」
こんなことがあってたまるものか。
流石にあのメアリーナが偽物の金塊を持っていたなど信じられないのだ。
「ねぇ……ザグレームさまぁ、私ずっと疑問だったんですけどね……」
「なんだ?」
シャーラの発言は鋭く、何度も的確なアドバイスで助かってきたのだ。
今回もきっと俺には想像もできなかったような発想があるものなんだと期待をしている。
「メアリーナって確か元冒険者なんですよね?」
「そうだ。しかも一流だったそうだ」
「でも今はひっそりと身を引いていますよね?」
「あぁ、絶賛引きこもりニート中だ」
今回は随分と前置きが長い。シャーラが再び何か考えているようで、俺は返答を待った。
「ひょっとしたら、今までに稼いできたお金は既に使い果たしてたんじゃないですか?」
「は!?」
「だから偽物の金塊を作って、少しずつ闇ルートで売り捌いていたのかと」
何をおかしなことを言うのだろうか。俺は首を傾げてしまった。
「だってずっと疑問だったんですけど、金庫の部屋に百万円しかなかったなんておかしいと思ってたんですよ」
言われてみれば確かにそうだ。俺はそのままシャーラの話を真剣に聞いた。
--------------------------
【後書き】
二日連続で新作のお知らせです。
新作『魔力注入で感情がおかしくなった王子から御用済だと婚約破棄されましたので、他国と協力して世界を救います』
ハイファン要素が強めの恋愛になります。
こちらも宜しくお願い致します。
「ほう、ではこの金魂を真っ二つに折ってもよろしいかな? もしも本物ならば責任を持って買い取らせてもらう」
「好きにしてどうぞ。絶対本物だから後悔するだろうけど」
男は力尽くで膝を使って見事に真っ二つにした。
恐ろしい力だ。
だが、それよりも俺は壊れた金魂に目を向けた。
金魂ならば全てが金でできているはずだが、この金魂、中身がただの鉛だ……。
「これで明確だな。よって詐欺の現行犯でお前たちを捕まえる」
「シャーラ逃げるぞ!」
「え……!?」
兎にも角にも逃げるのが先決だ。
これは何かの間違いなのだから一旦この場を離れるべきだ。
♢
なぜか難なく逃げることに成功した。
あの筋肉マッチョは力は凄まじいがスピードは鈍足だったようだな。
所詮俺たちには勝てなかったということだ。
「なぜあの金魂が偽物なのだ……あれはメアリーナの私物だぞ……」
こんなことがあってたまるものか。
流石にあのメアリーナが偽物の金塊を持っていたなど信じられないのだ。
「ねぇ……ザグレームさまぁ、私ずっと疑問だったんですけどね……」
「なんだ?」
シャーラの発言は鋭く、何度も的確なアドバイスで助かってきたのだ。
今回もきっと俺には想像もできなかったような発想があるものなんだと期待をしている。
「メアリーナって確か元冒険者なんですよね?」
「そうだ。しかも一流だったそうだ」
「でも今はひっそりと身を引いていますよね?」
「あぁ、絶賛引きこもりニート中だ」
今回は随分と前置きが長い。シャーラが再び何か考えているようで、俺は返答を待った。
「ひょっとしたら、今までに稼いできたお金は既に使い果たしてたんじゃないですか?」
「は!?」
「だから偽物の金塊を作って、少しずつ闇ルートで売り捌いていたのかと」
何をおかしなことを言うのだろうか。俺は首を傾げてしまった。
「だってずっと疑問だったんですけど、金庫の部屋に百万円しかなかったなんておかしいと思ってたんですよ」
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