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【前書き】
※今回のお話から三話分は、本編に沿ったおまけ回になります。
尚、気持ち悪くなるかもしれない描写が含まれていますので、苦手な方や食前や食事中の読者様はご注意ください。
ーーーーーーーーーー
朝から夕方まではソラシさんがカルダモン様の部屋で勉強を教えています。
更に、夜は誰かしらが階段の真下で常に警備という名目で待機です。
もしも侵入者が二階にいたとしても、逃げ出せる隙は全くありません。
もちろん、私たちはただの警備活動をしているだけですよ。
カルダモン様以外の誰かがクローゼットの中に住み着いているなんて考えるわけありませんよね。
さて、私とレミファさんは一回のリビングでのんびりとティータイムを楽しみながら、防犯のために仕掛けた盗聴器の音声をチェックしています。
『カルダモンさまぁ……外に逃げられるタイミングが全くないじゃないのよ……』
『くそう……せめて避難ハシゴを買っておくか、避難用の滑り台を設置しておけばよかった。流石にこの高さから飛び降りれば大怪我だろう』
我が家には貴族が多数いらっしゃいます。ご案内するためには家の内装も大事ですからね。天井が高いと広い家に見えますもの。
こだわって色々と考えたわけですが、まさかこんなところでも活躍するとは思いませんでした。
「アタシ、このクミンという女が許せないんですけど……。カルダモン様はよくこんな女を好きになったなぁと思ってしまいますけどね。見る目なさすぎですよ」
「ちょっとレミファさんー! それじゃあ私だって該当されちゃいますよ。一応、カルダモン様の妻ですから」
「あ……決してそのようなつもりは! 申し訳ございません」
慌てている姿を見て、つい笑ってしまいました。別に本気で言ったわけじゃないんですけどね。
レミファさんは幼い頃からずっと私の面倒を見てくれていたお姉さまのような存在です。
冗談の通じる相手なんですが、時々なぜかレミファさんにドキドキしてしまうこともあるんですよね。
まぁレミファさんがこれだけ可愛いのだから仕方ありません。
音声を再び聴きましょうか。
『せめてお風呂だけでも入りたい……』
『家から脱出するまで我慢してくれ。だが、私は気にしないからバレないようにヤりたいんだが』
『汚いから今はダメ!』
妻が同じ屋根の下にいるというのによくもまぁ堂々とそんなこと言えますよね。
私が聞いているなんて思っていないでしょうから堂々としているのでしょうけれども。
「ルフナ様、もしもカルダモン様がこれ以上不倫行為をするようならばすぐにでも捕らえますか?」
「もう愛情のかけらもなくなってしまいましたので……。証拠をたくさん掴んで離婚裁判で有利になることだけすれば結構ですよ」
おっと……なにやらゴソゴソと音が聞こえてきます。
これは本当にそうなっちゃうのでしょうか。
流石に聴きたくはないので音声はカットしておきましょうか……。
盗聴器の電源を切ろうとしたそのとき。
『『ぎゃーーーーーーーー!!』』 「「ぎゃーーーーーーーー!!」」
二階の部屋からの悲鳴と、盗聴器からの悲鳴がほぼ同時に聞こえてきました。
クミンさんの声もバレバレですけれどね。ここまで大声を出すなど、何かあったのでしょうか。
『ゴッキーレジェンドが……』
『カルダモンさまぁ! 早く退治して!!』
『無茶いうな! ただでさえ私は虫が大の苦手なのだ! なぜクローゼットの中に……』
「「げ……」」
聞いていた私たちも顔が真っ青になりました。
※今回のお話から三話分は、本編に沿ったおまけ回になります。
尚、気持ち悪くなるかもしれない描写が含まれていますので、苦手な方や食前や食事中の読者様はご注意ください。
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朝から夕方まではソラシさんがカルダモン様の部屋で勉強を教えています。
更に、夜は誰かしらが階段の真下で常に警備という名目で待機です。
もしも侵入者が二階にいたとしても、逃げ出せる隙は全くありません。
もちろん、私たちはただの警備活動をしているだけですよ。
カルダモン様以外の誰かがクローゼットの中に住み着いているなんて考えるわけありませんよね。
さて、私とレミファさんは一回のリビングでのんびりとティータイムを楽しみながら、防犯のために仕掛けた盗聴器の音声をチェックしています。
『カルダモンさまぁ……外に逃げられるタイミングが全くないじゃないのよ……』
『くそう……せめて避難ハシゴを買っておくか、避難用の滑り台を設置しておけばよかった。流石にこの高さから飛び降りれば大怪我だろう』
我が家には貴族が多数いらっしゃいます。ご案内するためには家の内装も大事ですからね。天井が高いと広い家に見えますもの。
こだわって色々と考えたわけですが、まさかこんなところでも活躍するとは思いませんでした。
「アタシ、このクミンという女が許せないんですけど……。カルダモン様はよくこんな女を好きになったなぁと思ってしまいますけどね。見る目なさすぎですよ」
「ちょっとレミファさんー! それじゃあ私だって該当されちゃいますよ。一応、カルダモン様の妻ですから」
「あ……決してそのようなつもりは! 申し訳ございません」
慌てている姿を見て、つい笑ってしまいました。別に本気で言ったわけじゃないんですけどね。
レミファさんは幼い頃からずっと私の面倒を見てくれていたお姉さまのような存在です。
冗談の通じる相手なんですが、時々なぜかレミファさんにドキドキしてしまうこともあるんですよね。
まぁレミファさんがこれだけ可愛いのだから仕方ありません。
音声を再び聴きましょうか。
『せめてお風呂だけでも入りたい……』
『家から脱出するまで我慢してくれ。だが、私は気にしないからバレないようにヤりたいんだが』
『汚いから今はダメ!』
妻が同じ屋根の下にいるというのによくもまぁ堂々とそんなこと言えますよね。
私が聞いているなんて思っていないでしょうから堂々としているのでしょうけれども。
「ルフナ様、もしもカルダモン様がこれ以上不倫行為をするようならばすぐにでも捕らえますか?」
「もう愛情のかけらもなくなってしまいましたので……。証拠をたくさん掴んで離婚裁判で有利になることだけすれば結構ですよ」
おっと……なにやらゴソゴソと音が聞こえてきます。
これは本当にそうなっちゃうのでしょうか。
流石に聴きたくはないので音声はカットしておきましょうか……。
盗聴器の電源を切ろうとしたそのとき。
『『ぎゃーーーーーーーー!!』』 「「ぎゃーーーーーーーー!!」」
二階の部屋からの悲鳴と、盗聴器からの悲鳴がほぼ同時に聞こえてきました。
クミンさんの声もバレバレですけれどね。ここまで大声を出すなど、何かあったのでしょうか。
『ゴッキーレジェンドが……』
『カルダモンさまぁ! 早く退治して!!』
『無茶いうな! ただでさえ私は虫が大の苦手なのだ! なぜクローゼットの中に……』
「「げ……」」
聞いていた私たちも顔が真っ青になりました。
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