【完結】旦那様は、妻の私よりも平民の愛人を大事にしたいようです

よどら文鳥

文字の大きさ
上 下
21 / 21

19

しおりを挟む
 離婚裁判も終わり、平凡な日常が戻りました。

 レミファさんとソラシさんの発言によって裁判はより有利に進みました。
 今までの発言や行動を、全て映像として残してくれたからです。特に、レミファさんに対する行為が決め手となりました。

 その内容が、あまりにも酷すぎ、裁判長ですらため息を吐くほどでした。
 おかげで、クローゼットに閉じ込めて様子を伺っていた件も罰にはなりませんでした。

 後に確認したところ、レミファさんは裁判に有利になるように、敢えて元旦那様に口説かれるように誘導していたのだとか。
 全く……この二人には敵いません。


 さて、裁判に負けた二人はどうなったかと言いますと……。

 元旦那様のカルダモンさんは、先ずは親族揃って爵位剥奪の上、全財産を差し押さえられ、それは慰謝料として私とレミファさんの元に入ってきました。

 カルダモンさんの支払う慰謝料はそれでも足りないため、国の最も厳しい強制労働を無期限に毎日余儀なくされることになります。
 ご両親たちはどこか遠くの地へ引っ越し、細々と生活を送っているのだとか。
 教育が全くできなかったことによって、このような事態になってしまった責任があるのだそうです。

 クミンさんは慰謝料の支払いのために、国が運営する牢獄付きの蜜館へ送られました。
 最初は暴れて逃げようともしていたそうですが、簡単に警備兵に取り押さえられたそうです。今後は性欲にまみれた不特定多数の男たちの餌食になることでしょう。

 どちらも極刑や処刑は免れましたが、ある意味死ぬよりも大変な仕打ちになってしまったのではないでしょうか。

 私だったら、蜜館で毎日辱めで惨めな思いをさせられるくらいならすぐにでも消えてしまいたいと思うかもしれません。元旦那様の処罰だとしても、永久に苦しい思いをして強制肉体労働をさせられるくらいなら早く楽になりたいと思ってしまうでしょう。


 さて、全てが片付いたので、私はお父様の元へ挨拶に伺いました。

「ルフナよ、早速だが縁談の話がたくさんきている」
「え!? まだ離婚して数日しか経っていませんよ?」

「それだけルフナが人気ということだろう。まだ気持ちの整理はついていないだろうが……そろそろ子孫を残す準備も始めないといけない年頃なわけだしな……」

 いえ、お父様。気持ちの整理はもう終わっていますから。
 カルダモンさんのことを冷めたときから覚悟していましたので。

「縁談の件ですが、私が選んでもよろしいですか? さすがに二度も同じことは繰り返したくないので、慎重に選びたいです」
「あぁ、多少の口出しはするかもしれんが、ルフナの好きにしてくれて構わない」

 私は縁談の申し込みをしてこられた方の顔が写った絵写真と履歴書を順番に拝見します。
 数枚目の縁談に考えもしなかった知り合いがいたので驚いてしまいました。

「レミファさん!?」

 彼女はちょっと前まで一緒に住んでいたのですが、……女性から縁談を申し込まれたのは初めてです。
 改めてしっかりと見てみると、更に驚きました。

「性別……男!? レミファさん、あんなに可愛いのに男だったんですか!?」
「別に可愛い男がいたっておかしくはないだろう? レミファのこと知らなかったのか?」

 当然です。同世代でありながら、私が小さい頃から色々と教えてくれたので、お姉様というイメージで定着しているのですから。
 でも納得です。着替えのときには必ず部屋を出て行ったり、風呂は一緒に入らなかったことも辻褄が合います。

 カルダモンさんは必死になってレミファさんを口説きセクハラをした結果、それが理由で更に重い罰になりました。

 女性だと思い込んで口説いて自滅してしまったのですね……。

 あの可愛さならば好きになってしまっても無理もありませんが。

「レミファさん……お姉さまとしてしか見れませんからね……」
「だが、レミファだったら絶対に信頼のできる相手だということは間違いないだろう?」

 どうしたらいいでしょうか。
 お父様は間違いなくレミファさんを推奨しているようにしか見えませんし。

 ♢

 そして、あれから十年が経ちましたが、私は二人の女の子と、旦那様に恵まれて幸せな日々を送っています。
 旦那様のことは、周りからは仲のいい姉妹という目で見られることが多いですが、そんなことは関係ありません。

 しっかり旦那様の子供を授かったわけですからね。



--------------------------

【後書き】

最後まで読んでいただきありがとうございました。
途中のおまけ回は、最後まで描き終えた後に追加した内容でした。一番気合を入れていた気がします(笑)

これからも色々な作品を描き続けたいと思いますので、宜しくお願い致します。


最後に、最新作のお知らせです。

新作『夫が愛人と一緒に夜逃げしたので、王子と協力して徹底的に逃げ道を塞ぎます』

お付き合いいただきありがとうございました。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

側近という名の愛人はいりません。というか、そんな婚約者もいりません。

gacchi
恋愛
十歳の時にお見合いで婚約することになった侯爵家のディアナとエラルド。一人娘のディアナのところにエラルドが婿入りする予定となっていたが、エラルドは領主になるための勉強は嫌だと逃げ出してしまった。仕方なく、ディアナが女侯爵となることに。五年後、学園で久しぶりに再会したエラルドは、幼馴染の令嬢三人を連れていた。あまりの距離の近さに友人らしい付き合い方をお願いするが、一向に直す気配はない。卒業する学年になって、いい加減にしてほしいと注意したディアナに、エラルドは令嬢三人を連れて婿入りする気だと言った。

お姉様。ずっと隠していたことをお伝えしますね ~私は不幸ではなく幸せですよ~

柚木ゆず
恋愛
 今日は私が、ラファオール伯爵家に嫁ぐ日。ついにハーオット子爵邸を出られる時が訪れましたので、これまで隠していたことをお伝えします。  お姉様たちは私を苦しめるために、私が苦手にしていたクロード様と政略結婚をさせましたよね?  ですがそれは大きな間違いで、私はずっとクロード様のことが――

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

【完結】妹が旦那様とキスしていたのを見たのが十日前

地鶏
恋愛
私、アリシア・ブルームは順風満帆な人生を送っていた。 あの日、私の婚約者であるライア様と私の妹が濃厚なキスを交わすあの場面をみるまでは……。 私の気持ちを裏切り、弄んだ二人を、私は許さない。 アリシア・ブルームの復讐が始まる。

私は『選んだ』

ルーシャオ
恋愛
フィオレ侯爵家次女セラフィーヌは、いつも姉マルグレーテに『選ばさせられていた』。好きなお菓子も、ペットの犬も、ドレスもアクセサリも先に選ぶよう仕向けられ、そして当然のように姉に取られる。姉はそれを「先にいいものを選んで私に持ってきてくれている」と理解し、フィオレ侯爵も咎めることはない。 『選ばされて』姉に譲るセラフィーヌは、結婚相手までも同じように取られてしまう。姉はバルフォリア公爵家へ嫁ぐのに、セラフィーヌは貴族ですらない資産家のクレイトン卿の元へ嫁がされることに。 セラフィーヌはすっかり諦め、クレイトン卿が継承するという子爵領へ先に向かうよう家を追い出されるが、辿り着いた子爵領はすっかり自由で豊かな土地で——?

婚約を解消してくれないと、毒を飲んで死ぬ? どうぞご自由に

柚木ゆず
恋愛
 ※7月25日、本編完結いたしました。後日、補完編と番外編の投稿を予定しております。  伯爵令嬢ソフィアの幼馴染である、ソフィアの婚約者イーサンと伯爵令嬢アヴリーヌ。二人はソフィアに内緒で恋仲となっており、最愛の人と結婚できるように今の関係を解消したいと考えていました。  ですがこの婚約は少々特殊な意味を持つものとなっており、解消するにはソフィアの協力が必要不可欠。ソフィアが関係の解消を快諾し、幼馴染三人で両家の当主に訴えなければ実現できないものでした。  そしてそんなソフィアは『家の都合』を優先するため、素直に力を貸してくれはしないと考えていました。  そこで二人は毒を用意し、一緒になれないなら飲んで死ぬとソフィアに宣言。大切な幼馴染が死ぬのは嫌だから、必ず言うことを聞く――。と二人はほくそ笑んでいましたが、そんなイーサンとアヴリーヌに返ってきたのは予想外の言葉でした。 「そう。どうぞご自由に」

妹から私の旦那様と結ばれたと手紙が来ましたが、人違いだったようです

今川幸乃
恋愛
ハワード公爵家の長女クララは半年ほど前にガイラー公爵家の長男アドルフと結婚した。 が、優しく穏やかな性格で領主としての才能もあるアドルフは女性から大人気でクララの妹レイチェルも彼と結ばれたクララをしきりにうらやんでいた。 アドルフが領地に次期当主としての勉強をしに帰ったとき、突然クララにレイチェルから「アドルフと結ばれた」と手紙が来る。 だが、レイチェルは知らなかった。 ガイラー公爵家には冷酷非道で女癖が悪く勘当された、アドルフと瓜二つの長男がいたことを。 ※短め。

いつまでも甘くないから

朝山みどり
恋愛
エリザベスは王宮で働く文官だ。ある日侯爵位を持つ上司から甥を紹介される。 結婚を前提として紹介であることは明白だった。 しかし、指輪を注文しようと街を歩いている時に友人と出会った。お茶を一緒に誘う友人、自慢しちゃえと思い了承したエリザベス。 この日から彼の様子が変わった。真相に気づいたエリザベスは穏やかに微笑んで二人を祝福する。 目を輝かせて喜んだ二人だったが、エリザベスの次の言葉を聞いた時・・・ 二人は正反対の反応をした。

処理中です...