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離婚裁判も終わり、平凡な日常が戻りました。
レミファさんとソラシさんの発言によって裁判はより有利に進みました。
今までの発言や行動を、全て映像として残してくれたからです。特に、レミファさんに対する行為が決め手となりました。
その内容が、あまりにも酷すぎ、裁判長ですらため息を吐くほどでした。
おかげで、クローゼットに閉じ込めて様子を伺っていた件も罰にはなりませんでした。
後に確認したところ、レミファさんは裁判に有利になるように、敢えて元旦那様に口説かれるように誘導していたのだとか。
全く……この二人には敵いません。
さて、裁判に負けた二人はどうなったかと言いますと……。
元旦那様のカルダモンさんは、先ずは親族揃って爵位剥奪の上、全財産を差し押さえられ、それは慰謝料として私とレミファさんの元に入ってきました。
カルダモンさんの支払う慰謝料はそれでも足りないため、国の最も厳しい強制労働を無期限に毎日余儀なくされることになります。
ご両親たちはどこか遠くの地へ引っ越し、細々と生活を送っているのだとか。
教育が全くできなかったことによって、このような事態になってしまった責任があるのだそうです。
クミンさんは慰謝料の支払いのために、国が運営する牢獄付きの蜜館へ送られました。
最初は暴れて逃げようともしていたそうですが、簡単に警備兵に取り押さえられたそうです。今後は性欲にまみれた不特定多数の男たちの餌食になることでしょう。
どちらも極刑や処刑は免れましたが、ある意味死ぬよりも大変な仕打ちになってしまったのではないでしょうか。
私だったら、蜜館で毎日辱めで惨めな思いをさせられるくらいならすぐにでも消えてしまいたいと思うかもしれません。元旦那様の処罰だとしても、永久に苦しい思いをして強制肉体労働をさせられるくらいなら早く楽になりたいと思ってしまうでしょう。
さて、全てが片付いたので、私はお父様の元へ挨拶に伺いました。
「ルフナよ、早速だが縁談の話がたくさんきている」
「え!? まだ離婚して数日しか経っていませんよ?」
「それだけルフナが人気ということだろう。まだ気持ちの整理はついていないだろうが……そろそろ子孫を残す準備も始めないといけない年頃なわけだしな……」
いえ、お父様。気持ちの整理はもう終わっていますから。
カルダモンさんのことを冷めたときから覚悟していましたので。
「縁談の件ですが、私が選んでもよろしいですか? さすがに二度も同じことは繰り返したくないので、慎重に選びたいです」
「あぁ、多少の口出しはするかもしれんが、ルフナの好きにしてくれて構わない」
私は縁談の申し込みをしてこられた方の顔が写った絵写真と履歴書を順番に拝見します。
数枚目の縁談に考えもしなかった知り合いがいたので驚いてしまいました。
「レミファさん!?」
彼女はちょっと前まで一緒に住んでいたのですが、……女性から縁談を申し込まれたのは初めてです。
改めてしっかりと見てみると、更に驚きました。
「性別……男!? レミファさん、あんなに可愛いのに男だったんですか!?」
「別に可愛い男がいたっておかしくはないだろう? レミファのこと知らなかったのか?」
当然です。同世代でありながら、私が小さい頃から色々と教えてくれたので、お姉様というイメージで定着しているのですから。
でも納得です。着替えのときには必ず部屋を出て行ったり、風呂は一緒に入らなかったことも辻褄が合います。
カルダモンさんは必死になってレミファさんを口説きセクハラをした結果、それが理由で更に重い罰になりました。
女性だと思い込んで口説いて自滅してしまったのですね……。
あの可愛さならば好きになってしまっても無理もありませんが。
「レミファさん……お姉さまとしてしか見れませんからね……」
「だが、レミファだったら絶対に信頼のできる相手だということは間違いないだろう?」
どうしたらいいでしょうか。
お父様は間違いなくレミファさんを推奨しているようにしか見えませんし。
♢
そして、あれから十年が経ちましたが、私は二人の女の子と、旦那様に恵まれて幸せな日々を送っています。
旦那様のことは、周りからは仲のいい姉妹という目で見られることが多いですが、そんなことは関係ありません。
しっかり旦那様の子供を授かったわけですからね。
--------------------------
【後書き】
最後まで読んでいただきありがとうございました。
途中のおまけ回は、最後まで描き終えた後に追加した内容でした。一番気合を入れていた気がします(笑)
これからも色々な作品を描き続けたいと思いますので、宜しくお願い致します。
最後に、最新作のお知らせです。
新作『夫が愛人と一緒に夜逃げしたので、王子と協力して徹底的に逃げ道を塞ぎます』
お付き合いいただきありがとうございました。
レミファさんとソラシさんの発言によって裁判はより有利に進みました。
今までの発言や行動を、全て映像として残してくれたからです。特に、レミファさんに対する行為が決め手となりました。
その内容が、あまりにも酷すぎ、裁判長ですらため息を吐くほどでした。
おかげで、クローゼットに閉じ込めて様子を伺っていた件も罰にはなりませんでした。
後に確認したところ、レミファさんは裁判に有利になるように、敢えて元旦那様に口説かれるように誘導していたのだとか。
全く……この二人には敵いません。
さて、裁判に負けた二人はどうなったかと言いますと……。
元旦那様のカルダモンさんは、先ずは親族揃って爵位剥奪の上、全財産を差し押さえられ、それは慰謝料として私とレミファさんの元に入ってきました。
カルダモンさんの支払う慰謝料はそれでも足りないため、国の最も厳しい強制労働を無期限に毎日余儀なくされることになります。
ご両親たちはどこか遠くの地へ引っ越し、細々と生活を送っているのだとか。
教育が全くできなかったことによって、このような事態になってしまった責任があるのだそうです。
クミンさんは慰謝料の支払いのために、国が運営する牢獄付きの蜜館へ送られました。
最初は暴れて逃げようともしていたそうですが、簡単に警備兵に取り押さえられたそうです。今後は性欲にまみれた不特定多数の男たちの餌食になることでしょう。
どちらも極刑や処刑は免れましたが、ある意味死ぬよりも大変な仕打ちになってしまったのではないでしょうか。
私だったら、蜜館で毎日辱めで惨めな思いをさせられるくらいならすぐにでも消えてしまいたいと思うかもしれません。元旦那様の処罰だとしても、永久に苦しい思いをして強制肉体労働をさせられるくらいなら早く楽になりたいと思ってしまうでしょう。
さて、全てが片付いたので、私はお父様の元へ挨拶に伺いました。
「ルフナよ、早速だが縁談の話がたくさんきている」
「え!? まだ離婚して数日しか経っていませんよ?」
「それだけルフナが人気ということだろう。まだ気持ちの整理はついていないだろうが……そろそろ子孫を残す準備も始めないといけない年頃なわけだしな……」
いえ、お父様。気持ちの整理はもう終わっていますから。
カルダモンさんのことを冷めたときから覚悟していましたので。
「縁談の件ですが、私が選んでもよろしいですか? さすがに二度も同じことは繰り返したくないので、慎重に選びたいです」
「あぁ、多少の口出しはするかもしれんが、ルフナの好きにしてくれて構わない」
私は縁談の申し込みをしてこられた方の顔が写った絵写真と履歴書を順番に拝見します。
数枚目の縁談に考えもしなかった知り合いがいたので驚いてしまいました。
「レミファさん!?」
彼女はちょっと前まで一緒に住んでいたのですが、……女性から縁談を申し込まれたのは初めてです。
改めてしっかりと見てみると、更に驚きました。
「性別……男!? レミファさん、あんなに可愛いのに男だったんですか!?」
「別に可愛い男がいたっておかしくはないだろう? レミファのこと知らなかったのか?」
当然です。同世代でありながら、私が小さい頃から色々と教えてくれたので、お姉様というイメージで定着しているのですから。
でも納得です。着替えのときには必ず部屋を出て行ったり、風呂は一緒に入らなかったことも辻褄が合います。
カルダモンさんは必死になってレミファさんを口説きセクハラをした結果、それが理由で更に重い罰になりました。
女性だと思い込んで口説いて自滅してしまったのですね……。
あの可愛さならば好きになってしまっても無理もありませんが。
「レミファさん……お姉さまとしてしか見れませんからね……」
「だが、レミファだったら絶対に信頼のできる相手だということは間違いないだろう?」
どうしたらいいでしょうか。
お父様は間違いなくレミファさんを推奨しているようにしか見えませんし。
♢
そして、あれから十年が経ちましたが、私は二人の女の子と、旦那様に恵まれて幸せな日々を送っています。
旦那様のことは、周りからは仲のいい姉妹という目で見られることが多いですが、そんなことは関係ありません。
しっかり旦那様の子供を授かったわけですからね。
--------------------------
【後書き】
最後まで読んでいただきありがとうございました。
途中のおまけ回は、最後まで描き終えた後に追加した内容でした。一番気合を入れていた気がします(笑)
これからも色々な作品を描き続けたいと思いますので、宜しくお願い致します。
最後に、最新作のお知らせです。
新作『夫が愛人と一緒に夜逃げしたので、王子と協力して徹底的に逃げ道を塞ぎます』
お付き合いいただきありがとうございました。
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