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実家に帰ってから三日が経過したところでレミファとソラシさんが戻ってきました。
「愛人が家の前でうろついているので、泳がせております。どうされますか?」
これは予想外の報告でした。
まさか自ら自爆するような行動をしてくるなんて思わなかったからです。
「では急いで準備して家に帰ります。ここでしっかりと証拠を掴み離婚に持っていきます」
「すでに家中のあらゆる場所に映像を記録できる道具を設置済みですが」
「流石です。ならば慌てることはありませんね。二人が慌てている様を見にいきましょうか……」
これから離婚だというのに、私には余裕がありました。
散々酷い目に遭いましたからね。すでに旦那様のことを想っていないのでしょう……。
最後くらい旦那様に楽しませてもらいたいですね。
♢
「「ただいま戻りました」」
「旦那様、予定よりも早く帰りました」
おや、返事がありませんね。
ですが、旦那様の部屋の方から微かに物音がします。
今、会いに行きますね。
足音を立てないように旦那様の部屋へ向かいます。
やはりクミンさんと一緒のようです。
小声ですが会話をしていますね。
面白そうなので、私はすぐに扉を開けずに聞いてみることにします。
「──逃げ出すしかない! もしも見つかってしまえば処刑になってしまう可能性もあるんだぞ」
「嘘……でしょ!? たかが不倫じゃないの」
『たかが不倫』ですか……。やはりクミンさんの思考回路は常識では考えられないものだと判断できます。
「確かに一般市民同士ならそこまでにはならない。しかし、私は貴族だ……貴族が不倫行為をした場合はそうなってしまうらしいのだ」
おや、旦那様も少しは勉強なされたようですね。だったらこのような行動をとらないで欲しいと思いますが。
「そ……そんな……」
「とにかく隠れろ! すぐに来るぞ!」
クローゼットを開ける音が聞こえてきました。
どうやらクミンさんをクローゼットの中に放り込んだようですね。
さて、それでは行動を開始と致しましょうか。
私は、その場で小さな足音を立て、クレッシェンドになるように徐々に足音を大きくしていきました。
「こちらにいましたか。旦那様、ただいま実家より戻りました」
「う……うむ、ず……随分と早い帰宅だな」
扉を開けると、普段の部屋の匂いではなく、汗臭い臭いがしました。
気にせずに話を続けましょうか。
--------------------------
【後書き】
沢山の方に読んでいただけて嬉しいです。ありがとうございます。
新作のお知らせです。
新作『婚約相手は私を愛してくれてはいますが病弱の幼馴染を大事にするので、私も婚約者のことを改めて考えてみることにします 』
こちらも宜しくお願い致します。
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「流石です。ならば慌てることはありませんね。二人が慌てている様を見にいきましょうか……」
これから離婚だというのに、私には余裕がありました。
散々酷い目に遭いましたからね。すでに旦那様のことを想っていないのでしょう……。
最後くらい旦那様に楽しませてもらいたいですね。
♢
「「ただいま戻りました」」
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おや、旦那様も少しは勉強なされたようですね。だったらこのような行動をとらないで欲しいと思いますが。
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クローゼットを開ける音が聞こえてきました。
どうやらクミンさんをクローゼットの中に放り込んだようですね。
さて、それでは行動を開始と致しましょうか。
私は、その場で小さな足音を立て、クレッシェンドになるように徐々に足音を大きくしていきました。
「こちらにいましたか。旦那様、ただいま実家より戻りました」
「う……うむ、ず……随分と早い帰宅だな」
扉を開けると、普段の部屋の匂いではなく、汗臭い臭いがしました。
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