【完結】私より優先している相手が仮病だと、いい加減に気がついたらどうですか?〜病弱を訴えている婚約者の義妹は超が付くほど健康ですよ〜

よどら文鳥

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「ジュリエル! なんでそういうことをすぐに報告しなかったのだ!」
「え……義兄様たちに言ってしまったらドルチャ家としても問題が出てしまうかと」

「一人で問題を抱える方がダメだろう! それに何も言わずに結婚をして、その後にあの女が仮病だと発覚したらジュリエルもただでは済まなかったのだぞ」
「申し訳ございません……」

 義兄様の言葉が突き刺さる。

 私の力のなさを痛感した。
 シャロンさんが貴族としての嗜みに反かないように動こうとしたが、誰一人私の発言など聞かず、それどころか逆恨みで復讐されてしまったのだから。

「だがジュリエルよ、お前はよく頑張った……あとは我々に任せなさい」

 お父様が急ににこりと笑った。

「フォルス公爵様、無論話を聞いただけで決断は出来兼ねると承知の上ですが、本当に娘がこのような境遇になっていたことが証明されればお力をお借りできますか?」

「本来ならば政略結婚を決めた君にも責任はあるんだがね。だが! 今回の件を誰が想定できただろうか。それにジュリエル嬢を命の危険にまで追い詰めた者達を私が放っておくと思うか?」

 公爵様が私に視線を向けてニヤリとした。
 この後、公爵様がとんでもない提案をしてくるのだった。


 ♢


「急に留守にしてしまい申し訳ございませんでした」

 公爵様と対談をした翌日、私達は男爵家に帰った。

「ジュリエル! どこに行っていたのだ。それにその男は誰だ?」
「おやおや、俺のことをお忘れかハーベスト殿。ジュリエルの義理の兄ライト=ディラウだが」

 ハーベスト様は、すぐにだらしない態度を改め、背筋を伸ばし規律の体制をとった。

「あ! し……失礼致しました! この度はどうしてご一緒に?」
「実はな、道端でジュリエルが倒れていたのだよ。偶然発見して暫くディラウ家で看病していたのだが……重度の高熱だったのだ」
「な……」

 ハーベスト様の表情が曇る。
 何も言わさずに義兄様がどんどんと話を進めていった。

「病を治せる俺がそばで看病するようにと、父上とある人に命じられてな、暫くの間こちらで厄介になろうかと思うのだが、ドルチャ男爵殿の許可を得たい」
「か……かしこまりました。どうぞ一旦中へ」

 私の風邪は既に完治している。
 私が一人で男爵家に戻ってしまえば酷い仕打ちを受ける恐れがあると、こうやって義兄様が私の護衛として、更にドルチャ家の捜査として来てくれたのだ。

 流石にお父様の命令では、ここの家の人たちも逆らうことができなかったようだ。
 義兄様に看病されながらという名目で、ドルチャ家の監視が始まった。
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