【完結】私より優先している相手が仮病だと、いい加減に気がついたらどうですか?〜病弱を訴えている婚約者の義妹は超が付くほど健康ですよ〜

よどら文鳥

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「「ジュリエル、十五歳の誕生日おめでとう!」」
「お父様、義兄様、ありがとうございます!」

「だが、俺は嬉しくはないな……明日、お前は家を出てってしまうんだもんな」

 私は生まれた時から婚約者が決まっていた。
 十五になったら、婚約者のハーベスト=ドルチャ様の家で住むことになっている。
 花嫁修行として一年間お世話になってから、十六で正式に結婚することまで決まっているのだ。

 だから、今日は家族での最後の食事会。

「お父様も義兄様も今までお世話になりました。今までここで過ごした経験がきっと役に立つと思ってます」

 お父様は伯爵の中でも優秀な功績を残している。
 義兄様のことも病気関連に詳しく、私が風邪をひいた時には義兄様の治療で治してくれた。
 二人とも尊敬しているからこそ、私だって離れるのは寂しいとは思っている。

「ところでライトよ、明日からは私と二人で暮らすことになる。お前も十分にその道で活躍できるのだろう? 婚約者を見つけてはどうだ?」
「俺はまだまだですよ。病死してしまった亡き母のためにも、俺は難病や怪我を治す知識をもっと磨いていきたいと思っていますので、結婚はまだ……それに俺には好きな人がいますので」

 それは初耳だった。
 義兄様にも春が訪れることを願いたい。

 いや、義兄様には縁談の話が何度もあったのだから心配する必要はないだろう。

 私は明日の支度を整えて、長い間育ったディラウ家で最後の夜を過ごした。

 ♢

「本日からお世話になりますジュリエル=ディラウです。これからよろしくお願い致します」
「この日を待っていたよジュリエル。俺は君のような可愛らしい女性と結婚できるなんて幸せ者だよ」

 まだ数回しか会ったこともないし、会っても数分程度だけだった。

 だから目の前にいるハーベスト様のことはまだよく分かっていない。
 高身長で顔も整っているので、貴族界の女性からはかなり人気があるのは確かだろうが。

 これから毎日一緒に過ごすとなると、緊張してしまう。
 きっとハーベスト様との生活はドキドキして、充実で、幸せな日々を送れるだろうと、最初は思っていた。
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