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59 サバス様との危機⁉︎5
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「ほへぇーーー!? サバス様!? 一体……これはっ……」
「心配かけてすまなかった」
心配とかそういうの、今はどうでもいい!
なんでいきなり抱きしめてくれてるのかを知りたい。
こんなこと、初めてなのだ。
私としてはこんな至近距離にサバス様の身体があるし、匂いをクンカクンカしておきたい気持ちがある。
だが今はそれどころではない。
私が大声を発してしまったため、外で待機していたサバス様の護衛たちが部屋のドアを開けてしまった。
護衛たちが、ものすごく気まずい顔をしている。
「すまぬがしばらく二人にさせてくれないか?」
「……承知致しました。失礼ながら避妊具はお持ちですか?」
「そんなもの必要ない」
なんですって!!
まさかサバス様が結婚前にそんなことを……。
私個人としては全然アリだ。
先ほどまでの死にそうな気持ちが吹っ飛び、もうどうにでもなれ精神になっている。
「……ライアンよ、これが私の気持ちだ」
そう言って、唇が触れ合う。
だが、すぐにそれも終わり、真剣な目で私を直視してきた。
すでに脳内が混乱していて、鼻血ブーどころか魂が抜けていってしまいそうな状態だ。
いくら顔を直視できるようになっても、こんなことをされたら耐えられない。
頭から湯気が出そうなほど熱くなっているが、それでもサバス様の言葉だけはしっかりと入ってきた。
「ライアンといたら、緊張しすぎて喋れなくなってしまったのだ……」
「は……はい!?」
サバス様が顔を赤らめている表情なんて激レア中の激レアだ。
しっかりと拝む。
だが、サバス様は私の顔を直視せずにそらしながら話してくる。
「初対面では料理に惹かれていた。だが、一緒に何度もいるうちに私の気持ちがどんどんと激しくなってしまって……勝手ですまない」
「え……ええと」
「ライアンの顔を見るだけで、私の感情が抑えられないほど熱くなってしまう。まだ結婚前だからよからぬことを考えぬようにはしているが……。だがライアンの優しい顔、笑顔、怒った顔も含め、見ただけでこのどうしようもないほど好きな気持ちが……」
「サバス様……そうとは知らずに申し訳ございません、うっ……」
再び泣き出してしまって今度は私の方からサバス様の胸に飛び込む。
それを優しく受け止めてくれ、抱きしめてもらいながらサバス様の甘い声が聞こえてきた。
「私はライアンなしでは生きてはいけぬ存在となってしまった。愛している。だから、もう急に飛び出て行かないでほしい」
「う……うっ……! ありがとう……ございます!」
私の勘違いだったとはいえ、サバス様の本音が聞けて、前よりも幸せな気持ちでいっぱいだ。
こんなに幸せで一杯なら気絶したって構わない。
「これからは私のことを呼び捨てでよんでいただけないだろうか?」
「ひょえぇぇえええ!? ハードルが高いです」
とんでもないことを言い出した。
王族に対して敬語を使うのは当然のことだ。
お父様が異常なだけで、本来は皆敬語を使っている。
それに、サバス様を呼び捨てと考えただけで頭の中がパニックになりそうだ。
「頼む」
サバス様が私の顔を見つめてくる。
たまらず私も一瞬目を逸らしたが、すぐにサバス様の顔を見てこう言った。
もう、どうにでもなれだ。
あとで気絶してもしらない!
「サバス、愛しています」
「ありがとうライアン」
私の勘違いだったとはいえ、まさか相思相愛の関係でいれたなんて……。
考えれば考えるほど、頭の中で興奮状態になってしまい、ふたたび気を失ってしまった。
「ライアン!?」
もう私のことは好きにしてください。
でも起きているときが良い。
すぐに正気に戻ったが、サバスは特に何もしてくることはなく、ただ私が目を覚ますまで抱いてくれていただけだったという。
あぁ……今すぐにでも結婚してしまいたい。
「心配かけてすまなかった」
心配とかそういうの、今はどうでもいい!
なんでいきなり抱きしめてくれてるのかを知りたい。
こんなこと、初めてなのだ。
私としてはこんな至近距離にサバス様の身体があるし、匂いをクンカクンカしておきたい気持ちがある。
だが今はそれどころではない。
私が大声を発してしまったため、外で待機していたサバス様の護衛たちが部屋のドアを開けてしまった。
護衛たちが、ものすごく気まずい顔をしている。
「すまぬがしばらく二人にさせてくれないか?」
「……承知致しました。失礼ながら避妊具はお持ちですか?」
「そんなもの必要ない」
なんですって!!
まさかサバス様が結婚前にそんなことを……。
私個人としては全然アリだ。
先ほどまでの死にそうな気持ちが吹っ飛び、もうどうにでもなれ精神になっている。
「……ライアンよ、これが私の気持ちだ」
そう言って、唇が触れ合う。
だが、すぐにそれも終わり、真剣な目で私を直視してきた。
すでに脳内が混乱していて、鼻血ブーどころか魂が抜けていってしまいそうな状態だ。
いくら顔を直視できるようになっても、こんなことをされたら耐えられない。
頭から湯気が出そうなほど熱くなっているが、それでもサバス様の言葉だけはしっかりと入ってきた。
「ライアンといたら、緊張しすぎて喋れなくなってしまったのだ……」
「は……はい!?」
サバス様が顔を赤らめている表情なんて激レア中の激レアだ。
しっかりと拝む。
だが、サバス様は私の顔を直視せずにそらしながら話してくる。
「初対面では料理に惹かれていた。だが、一緒に何度もいるうちに私の気持ちがどんどんと激しくなってしまって……勝手ですまない」
「え……ええと」
「ライアンの顔を見るだけで、私の感情が抑えられないほど熱くなってしまう。まだ結婚前だからよからぬことを考えぬようにはしているが……。だがライアンの優しい顔、笑顔、怒った顔も含め、見ただけでこのどうしようもないほど好きな気持ちが……」
「サバス様……そうとは知らずに申し訳ございません、うっ……」
再び泣き出してしまって今度は私の方からサバス様の胸に飛び込む。
それを優しく受け止めてくれ、抱きしめてもらいながらサバス様の甘い声が聞こえてきた。
「私はライアンなしでは生きてはいけぬ存在となってしまった。愛している。だから、もう急に飛び出て行かないでほしい」
「う……うっ……! ありがとう……ございます!」
私の勘違いだったとはいえ、サバス様の本音が聞けて、前よりも幸せな気持ちでいっぱいだ。
こんなに幸せで一杯なら気絶したって構わない。
「これからは私のことを呼び捨てでよんでいただけないだろうか?」
「ひょえぇぇえええ!? ハードルが高いです」
とんでもないことを言い出した。
王族に対して敬語を使うのは当然のことだ。
お父様が異常なだけで、本来は皆敬語を使っている。
それに、サバス様を呼び捨てと考えただけで頭の中がパニックになりそうだ。
「頼む」
サバス様が私の顔を見つめてくる。
たまらず私も一瞬目を逸らしたが、すぐにサバス様の顔を見てこう言った。
もう、どうにでもなれだ。
あとで気絶してもしらない!
「サバス、愛しています」
「ありがとうライアン」
私の勘違いだったとはいえ、まさか相思相愛の関係でいれたなんて……。
考えれば考えるほど、頭の中で興奮状態になってしまい、ふたたび気を失ってしまった。
「ライアン!?」
もう私のことは好きにしてください。
でも起きているときが良い。
すぐに正気に戻ったが、サバスは特に何もしてくることはなく、ただ私が目を覚ますまで抱いてくれていただけだったという。
あぁ……今すぐにでも結婚してしまいたい。
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