70 / 87
56 サバス様との危機⁉︎2
しおりを挟む
今日はサバス様に手料理する予定だ。
ここ最近元気がないようだったし、昨日のデートはあらわになっていたから、しっかり栄養のあるものを作って食べていただかないと!
もうすぐ暑い時期になるし、その前に体力つけなきゃ!
サバス様のところへ行く前に、自宅のキッチンで念入りに料理の確認をしていた。
お父様が発明した新作レシピをより正確に作りたい。
「これではダメだ。全体に熱が伝達できていない。しっかりと満遍なくかきまぜる上で具材を崩さずにすることもわすれるな」
「はい! 気をつけます」
「ったく……、おまえはサバス様のことになると真剣だよな」
お父様は呆れているようで大きくため息を吐いている。
「大丈夫だとは思うけどよ、冷められてないだろうな?」
「え!? 冷めるとは……?」
「このところ毎日会いにいってるだろ? サバス様とはいえ、これだけ気持ちが重いと感じてしまったら辛くなっちまうこともあるってことだ」
まさかそんな……と思ってしまい、無意識で混ぜていた手が一瞬止まってしまう。
すぐに手をとめるなと言われたので再び作業にとりかかりながら話を続けた。
「サバス様は……大丈夫だと、おもい……ます」
「悪い。あくまで俺の感覚だ。人間同士の付き合い、片方だけが重すぎるとバランスを崩してしまうってことがよくあるわけだが……。まぁお前たちがそんなことで終わるような関係ではないとは思っている。これだけ俺に料理を教えてほしいなんて言ってくるくらいだから、きっとサバス様の舌は満たされているだろ」
お父様が言っているとおり、今の私はサバス様に対しての気持ちが強すぎるかもしれない。
毎日ずっとずっと一緒にいたいと思うようになっていて、それが行動に現れている。
初めてサバス様とお会いしたときは、それほどがめつくようなこともなかった。
お菓子を作って喜んで食べてくれて、それが嬉しいと思っていた程度だ。
だが、今はそうじゃない。
サバス様のお顔を見れるようになってからは、好きだけでは抑え切れないほどの気持ちになっている。
もしもこの気持ちが私だけだとしたら、お父様の言うとおり辛い思いをさせてしまっているかもしれない。
今日、お会いしたときに少し観察してみようと思う。
だが、仮に重いと思われていたとしたら、この先私はどうやって気持ちをセーブさせればいいのだろうか……。
料理で使う熱の調整は出来たとしても、気持ちの加減調整なんて簡単にはできない。
「手! 何事も一瞬の油断で失敗する。料理とて同じだ」
「すみません。集中します」
とはいったものの、サバス様が私のことをどう思っているのかが不安でそればかり考えてしまっていた。
せっかくお父様に教えてもらっているのに集中できない。
「重症だな……すまん、まさかライアンがここまで思い悩むとは思わなかった」
「いえ、悪いのは私なので。一つのことに囚われてやるべきことに集中できないのは悪いところです。今はこちらに集中します」
「ならばたまには今作ったものを持って行ってみてはどうだ?」
「へ!?」
普段家で試しに作った料理は家のものが食べている。
練習で作ったものをサバス様に食べさせるなどどうなのだろう。
「サバス様のために作るとなれば少しは集中できるだろう?」
「そうかもしれませんが……」
「やれ!」
「は、はい!」
これはサバス様が召し上がるもの……。
これはサバス様が召し上がるもの…………。
これはサバス様が召し上がるもの……………………。
「できました!!」
「ほら、思ったとおりだ」
私ってどうしてこんなにも単純なのだろう……。
サバス様が召し上がると考えながら作っただけで、集中することができた。
果たして家から持って行ったものを食べてくださるだろうか……。
ここ最近元気がないようだったし、昨日のデートはあらわになっていたから、しっかり栄養のあるものを作って食べていただかないと!
もうすぐ暑い時期になるし、その前に体力つけなきゃ!
サバス様のところへ行く前に、自宅のキッチンで念入りに料理の確認をしていた。
お父様が発明した新作レシピをより正確に作りたい。
「これではダメだ。全体に熱が伝達できていない。しっかりと満遍なくかきまぜる上で具材を崩さずにすることもわすれるな」
「はい! 気をつけます」
「ったく……、おまえはサバス様のことになると真剣だよな」
お父様は呆れているようで大きくため息を吐いている。
「大丈夫だとは思うけどよ、冷められてないだろうな?」
「え!? 冷めるとは……?」
「このところ毎日会いにいってるだろ? サバス様とはいえ、これだけ気持ちが重いと感じてしまったら辛くなっちまうこともあるってことだ」
まさかそんな……と思ってしまい、無意識で混ぜていた手が一瞬止まってしまう。
すぐに手をとめるなと言われたので再び作業にとりかかりながら話を続けた。
「サバス様は……大丈夫だと、おもい……ます」
「悪い。あくまで俺の感覚だ。人間同士の付き合い、片方だけが重すぎるとバランスを崩してしまうってことがよくあるわけだが……。まぁお前たちがそんなことで終わるような関係ではないとは思っている。これだけ俺に料理を教えてほしいなんて言ってくるくらいだから、きっとサバス様の舌は満たされているだろ」
お父様が言っているとおり、今の私はサバス様に対しての気持ちが強すぎるかもしれない。
毎日ずっとずっと一緒にいたいと思うようになっていて、それが行動に現れている。
初めてサバス様とお会いしたときは、それほどがめつくようなこともなかった。
お菓子を作って喜んで食べてくれて、それが嬉しいと思っていた程度だ。
だが、今はそうじゃない。
サバス様のお顔を見れるようになってからは、好きだけでは抑え切れないほどの気持ちになっている。
もしもこの気持ちが私だけだとしたら、お父様の言うとおり辛い思いをさせてしまっているかもしれない。
今日、お会いしたときに少し観察してみようと思う。
だが、仮に重いと思われていたとしたら、この先私はどうやって気持ちをセーブさせればいいのだろうか……。
料理で使う熱の調整は出来たとしても、気持ちの加減調整なんて簡単にはできない。
「手! 何事も一瞬の油断で失敗する。料理とて同じだ」
「すみません。集中します」
とはいったものの、サバス様が私のことをどう思っているのかが不安でそればかり考えてしまっていた。
せっかくお父様に教えてもらっているのに集中できない。
「重症だな……すまん、まさかライアンがここまで思い悩むとは思わなかった」
「いえ、悪いのは私なので。一つのことに囚われてやるべきことに集中できないのは悪いところです。今はこちらに集中します」
「ならばたまには今作ったものを持って行ってみてはどうだ?」
「へ!?」
普段家で試しに作った料理は家のものが食べている。
練習で作ったものをサバス様に食べさせるなどどうなのだろう。
「サバス様のために作るとなれば少しは集中できるだろう?」
「そうかもしれませんが……」
「やれ!」
「は、はい!」
これはサバス様が召し上がるもの……。
これはサバス様が召し上がるもの…………。
これはサバス様が召し上がるもの……………………。
「できました!!」
「ほら、思ったとおりだ」
私ってどうしてこんなにも単純なのだろう……。
サバス様が召し上がると考えながら作っただけで、集中することができた。
果たして家から持って行ったものを食べてくださるだろうか……。
11
お気に入りに追加
3,226
あなたにおすすめの小説
完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。
王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。
貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。
だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……
【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる
kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。
いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。
実はこれは二回目人生だ。
回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。
彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。
そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。
その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯
そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。
※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。
※ 設定ゆるゆるです。
【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った
Mimi
恋愛
声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。
わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。
今日まで身近だったふたりは。
今日から一番遠いふたりになった。
*****
伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。
徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。
シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。
お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……
* 無自覚の上から目線
* 幼馴染みという特別感
* 失くしてからの後悔
幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。
中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。
本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。
ご了承下さいませ。
他サイトにも公開中です
侯爵家のお飾り妻をやめたら、王太子様からの溺愛が始まりました。
二位関りをん
恋愛
子爵令嬢メアリーが侯爵家当主ウィルソンに嫁いで、はや1年。その間挨拶くらいしか会話は無く、夜の営みも無かった。
そんな中ウィルソンから子供が出来たと語る男爵令嬢アンナを愛人として迎えたいと言われたメアリーはショックを受ける。しかもアンナはウィルソンにメアリーを陥れる嘘を付き、ウィルソンはそれを信じていたのだった。
ある日、色々あって職業案内所へ訪れたメアリーは秒速で王宮の女官に合格。結婚生活は1年を過ぎ、離婚成立の条件も整っていたため、メアリーは思い切ってウィルソンに離婚届をつきつけた。
そして王宮の女官になったメアリーは、王太子レアードからある提案を受けて……?
※世界観などゆるゆるです。温かい目で見てください
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
婚約者候補を見定めていたら予定外の大物が釣れてしまった…
矢野りと
恋愛
16歳になるエミリア・ダートン子爵令嬢にはまだ婚約者がいない。恋愛結婚に憧れ、政略での婚約を拒んできたからだ。
ある日、理不尽な理由から婚約者を早急に決めるようにと祖父から言われ「三人の婚約者候補から一人選ばなければ修道院行きだぞ」と脅される。
それならばと三人の婚約者候補を自分の目で見定めようと自ら婚約者候補達について調べ始める。
その様子を誰かに見られているとも知らずに…。
*設定はゆるいです。
*この作品は作者の他作品『私の孤独に気づいてくれたのは家族でも婚約者でもなく特待生で平民の彼でした』の登場人物第三王子と婚約者のお話です。そちらも読んで頂くとより楽しめると思います。
冷遇された王妃は自由を望む
空橋彩
恋愛
父を亡くした幼き王子クランに頼まれて王妃として召し上げられたオーラリア。
流行病と戦い、王に、国民に尽くしてきた。
異世界から現れた聖女のおかげで流行病は終息に向かい、王宮に戻ってきてみれば、納得していない者たちから軽んじられ、冷遇された。
夫であるクランは表情があまり変わらず、女性に対してもあまり興味を示さなかった。厳しい所もあり、臣下からは『氷の貴公子』と呼ばれているほどに冷たいところがあった。
そんな彼が聖女を大切にしているようで、オーラリアの待遇がどんどん悪くなっていった。
自分の人生よりも、クランを優先していたオーラリアはある日気づいてしまった。
[もう、彼に私は必要ないんだ]と
数人の信頼できる仲間たちと協力しあい、『離婚』して、自分の人生を取り戻そうとするお話。
貴族設定、病気の治療設定など出てきますが全てフィクションです。私の世界ではこうなのだな、という方向でお楽しみいただけたらと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる