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46 アリアのコンサート編1
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アリアのコンサート開演当日朝。
この日をどれだけ楽しみにしていたことか……。
私はアリアの大ファンだ。
サバス様の母親で、本名はダリア。
アリアは変装した姿であって、本来の容姿であるダリア様になると、世の男性は見ただけで鼻血が出てしまうほどに美しい。
本人に頼めば、今日のコンサートチケットも入手できたかもしれない。
だが! それではダメだ。
ファンとして、自分だけが裏ルートを使って貰うなど、そんなことをしてたまるか。
誰かに譲ってもらうか、自分で購入して手に入れたかった。
陛下からいただいたチケットは握手券付きのプラチナチケット。
コンサートの後にアリアと握手ができるなんて、夢のようなチケットである。
チケットをカードバインダーに入れて汚れないようにして、鞄に入れていることを確認してから家を出た。
念のために、チケットのダミーも数枚入れてある。
チケットを盗まれたらたまったものじゃないからな。
既に馬車の中でサバス様を待たせてしまっている。
「おはようございます。遅くなってしまい申し訳ございません」
「構わぬ」
ついに私は、サバス様の顔を見て挨拶ができるようになった。
究極のイケメン顔を眺めても、気絶したり鼻血を出すこともなくなったのだ。
だがここ最近、サバス様が私の顔を見てくれようとしない。
今までお顔を見ることができなかったので、今までもそうだったのかと思っていた。
あまり深くは気にしないで馬車に乗り込む。
「サバス様はコンサート見なくてよろしいのですか?」
「あぁ。母上の活躍は影から応援しているが、人の集まる場所に私がこのまま行けばなぜか毎回事件になってしまうからな。遠慮している」
「そうですね……」
サバス様が変装もしないでコンサートに入れば、気絶してしまう女子が続出してしまい騒ぎになってしまうかもしれない。
変装する魔道具を使ってダサスになれば問題ないと思うが……。
サバス様本人は自身の容姿が凶器になるほど美しいことに気がついていない。
せめてその理由さえわかっていれば変装魔道具でどこへでも気軽に行けるようになるんだけど。
「それに、母上のコンサートは常に満席なのだろう? ファンでもない私が席を埋めるよりも、ライアンのようなファンが席を埋めた方が良いだろう」
なんて優しいんだ……。
一緒に見れたら楽しいかもしれないと思っていたが、サバス様の意向を尊重したい。
私だけで楽しんでこよう。
もしかしたら知り合いが見に行っている可能性もあるけれど。
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サバス様の母親で、本名はダリア。
アリアは変装した姿であって、本来の容姿であるダリア様になると、世の男性は見ただけで鼻血が出てしまうほどに美しい。
本人に頼めば、今日のコンサートチケットも入手できたかもしれない。
だが! それではダメだ。
ファンとして、自分だけが裏ルートを使って貰うなど、そんなことをしてたまるか。
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「おはようございます。遅くなってしまい申し訳ございません」
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だがここ最近、サバス様が私の顔を見てくれようとしない。
今までお顔を見ることができなかったので、今までもそうだったのかと思っていた。
あまり深くは気にしないで馬車に乗り込む。
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「あぁ。母上の活躍は影から応援しているが、人の集まる場所に私がこのまま行けばなぜか毎回事件になってしまうからな。遠慮している」
「そうですね……」
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サバス様本人は自身の容姿が凶器になるほど美しいことに気がついていない。
せめてその理由さえわかっていれば変装魔道具でどこへでも気軽に行けるようになるんだけど。
「それに、母上のコンサートは常に満席なのだろう? ファンでもない私が席を埋めるよりも、ライアンのようなファンが席を埋めた方が良いだろう」
なんて優しいんだ……。
一緒に見れたら楽しいかもしれないと思っていたが、サバス様の意向を尊重したい。
私だけで楽しんでこよう。
もしかしたら知り合いが見に行っている可能性もあるけれど。
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