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33 お泊まりすることになった
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「母上、戻られていたのですね。ライアンも待っててくれたのか」
「ただいま。サバスちゃんの婚約者とお茶していたのよ。とっても良い子なのよ」
「ライアンは侯爵家に迎え入れるのにふさわしいかと」
サバス様が帰ってくると、早速美人美男が並んだ。
よく考えたら、アリアってサバス様のお母様なんだよね……。
どう見たってどんなに年齢を上に見ても二十代後半にしか見えないんだよな……。
「折角だから、今日は泊まっていったらいかが?」
「え!? お泊まりですか!?」
「あら、だっていずれここに来るんでしょう? 一日くらいお泊まりしたっていいじゃない」
いきなりなんという展開なんだ……。
サバス様と長い時間一緒にいられるから嬉しいことは間違いないんだけど。
泊まりとなると、他に心配することもある。
「ふむ、ならばライアン殿のご家族には私が伝えにいってこよう」
「侯爵殿下にそのような御足労をかけるわけには……」
「かまわぬ。家を往復する分、サバスと一緒にいればよかろう。仮に帰ってくるように言われたらすまないが……」
いや、おそらくはお父様とお母様は乗り気だろうな。
サバス様と会っているときに何度か遅くなってしまったことがある。
そのときにも何も言われなかったし。
むしろ、泊まるとなったら「じゃあ私たちも」とか言い出しそうだ。
「ありがとうございます」
「礼には及ばぬ。折角なので、ソルト殿とも話をしたかったからな。では失礼する」
ダイル侯爵が立ち上がりテラスから出ていった。
「今日はライアンが泊まっていくのか」
「は……はい。よろしくお願いいたしましゅ」
突然こんなことになってしまって……どうしたらいいの!?
侯爵家にいるってだけでも緊張するし、美男美女が目の前にいたら更に緊張。
更にさらに、一晩一緒ってこと!?
もしかしてもしかすると、一晩寝かせてくれなかったりするのかな。
私は無事に明日の朝を迎えられるのだろうか。
幸せすぎて死んでないことを願う。
「じゃ、私は失礼するのよ。若いお二人であとは好きに過ごすといいのよ」
「母上!」
「ふふっ。サバスちゃんもしっかりとライアンちゃんをエスコートするのよ?」
アエルもテラスから去ってしまった。
サバス様と二人きりになる。
「母上のことは今まで黙っててすまない」
「いえ、事情は知りましたし。まさか私の憧れの歌手だったとは思いませんでしたけど」
「そう言ってくれて私も嬉しい。ひとまず私の部屋に来るか?」
「はっ、はいっ!!」
これはもしかしたら結婚する前に、私の女の子としての経験が増えてしまうのでは?
サバス様の部屋に行くってそういうことだよな……。
覚悟を決めてサバス様の後をついていった。
「ただいま。サバスちゃんの婚約者とお茶していたのよ。とっても良い子なのよ」
「ライアンは侯爵家に迎え入れるのにふさわしいかと」
サバス様が帰ってくると、早速美人美男が並んだ。
よく考えたら、アリアってサバス様のお母様なんだよね……。
どう見たってどんなに年齢を上に見ても二十代後半にしか見えないんだよな……。
「折角だから、今日は泊まっていったらいかが?」
「え!? お泊まりですか!?」
「あら、だっていずれここに来るんでしょう? 一日くらいお泊まりしたっていいじゃない」
いきなりなんという展開なんだ……。
サバス様と長い時間一緒にいられるから嬉しいことは間違いないんだけど。
泊まりとなると、他に心配することもある。
「ふむ、ならばライアン殿のご家族には私が伝えにいってこよう」
「侯爵殿下にそのような御足労をかけるわけには……」
「かまわぬ。家を往復する分、サバスと一緒にいればよかろう。仮に帰ってくるように言われたらすまないが……」
いや、おそらくはお父様とお母様は乗り気だろうな。
サバス様と会っているときに何度か遅くなってしまったことがある。
そのときにも何も言われなかったし。
むしろ、泊まるとなったら「じゃあ私たちも」とか言い出しそうだ。
「ありがとうございます」
「礼には及ばぬ。折角なので、ソルト殿とも話をしたかったからな。では失礼する」
ダイル侯爵が立ち上がりテラスから出ていった。
「今日はライアンが泊まっていくのか」
「は……はい。よろしくお願いいたしましゅ」
突然こんなことになってしまって……どうしたらいいの!?
侯爵家にいるってだけでも緊張するし、美男美女が目の前にいたら更に緊張。
更にさらに、一晩一緒ってこと!?
もしかしてもしかすると、一晩寝かせてくれなかったりするのかな。
私は無事に明日の朝を迎えられるのだろうか。
幸せすぎて死んでないことを願う。
「じゃ、私は失礼するのよ。若いお二人であとは好きに過ごすといいのよ」
「母上!」
「ふふっ。サバスちゃんもしっかりとライアンちゃんをエスコートするのよ?」
アエルもテラスから去ってしまった。
サバス様と二人きりになる。
「母上のことは今まで黙っててすまない」
「いえ、事情は知りましたし。まさか私の憧れの歌手だったとは思いませんでしたけど」
「そう言ってくれて私も嬉しい。ひとまず私の部屋に来るか?」
「はっ、はいっ!!」
これはもしかしたら結婚する前に、私の女の子としての経験が増えてしまうのでは?
サバス様の部屋に行くってそういうことだよな……。
覚悟を決めてサバス様の後をついていった。
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