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21 舞踏会での出来事5〜ワイルド家の処罰〜
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「さて、今回は残念な発表もあります。この件は陛下より直接報告していただきます」
ちょうど舞踏会最後にやる公開処刑らしい。
いい発表の後に悪い発表、そして全てを解決させてからダンスパーティーが始まるというのがこの国の舞踏会の流れである。
悪い発表で陛下が自らステージに立つというのは滅多にない。
よほど問題があったときくらいなのだから。
「皆の者、顔をあげよ。……さて、今回貴族家の中で不正を行い脱税、及び民衆から不正に金品を巻き上げる行為をしていた者がいる。ワインド男爵!」
ふとワインド男爵の方を見てみると、脂汗がものすごく流れているような状態だった。
悪い知らせの発表があるものは、舞踏会には絶対に参加するよう命じられるので本人も何が起こるのかわかってはいる。
一方、ミーナの方を向いてみると、なぜかニヤけていた。
おいおい……自分の家族が大変な状況になるというのに、どうしてそんなに余裕の表情をしていられるんだよ。
「この度、ワインド本家の行っている対象の店は全てお取り潰し、及び所持している資産を全て剥奪という処罰を行う。更に年俸は十年間の間ゼロとする。次不正を行った場合は爵位を返還の上、王都からの追放とする。一からやり直すかは本人の意思に任せる」
「仰せのままに……」
ワインド男爵がステージの上にたち、そこで陛下に対して土下座の体制をとっていた。
これだけで処罰が済んだのだから随分と猶予をいただけたのだ。
きっと、ワインド男爵ならなんとか起死回生を図ろうと努力していくことだろう……。
気になるのはミーナだ。
本家の資産が全てなくなってしまう状況になれば一番困るのはミーナだ。
彼女は家のお金をあてにして生きてきたのだから。
横にいるオズマもまるで他人事のような状態だ。
二人ともどうしてこんなに落ち着いていて平然としているのだろうか、気になってしまう。
「ライアンも気になるか?」
「気がついていたのです? ミーナとは幼馴染ですから、彼女の性格はそれなりには理解しているつもりですので……」
「そうか。不正が公に出てまともな両親になってもらえる希望からあのような顔をしているのか、それとも何かあるのか」
サバス様が首を傾げながらミーナの方を見ていた。
まさかとは思うが、ミーナがまた余計なことをやらかしてしまったのではないのだろうかと、そんな心配をしてしまった。
ちょうど舞踏会最後にやる公開処刑らしい。
いい発表の後に悪い発表、そして全てを解決させてからダンスパーティーが始まるというのがこの国の舞踏会の流れである。
悪い発表で陛下が自らステージに立つというのは滅多にない。
よほど問題があったときくらいなのだから。
「皆の者、顔をあげよ。……さて、今回貴族家の中で不正を行い脱税、及び民衆から不正に金品を巻き上げる行為をしていた者がいる。ワインド男爵!」
ふとワインド男爵の方を見てみると、脂汗がものすごく流れているような状態だった。
悪い知らせの発表があるものは、舞踏会には絶対に参加するよう命じられるので本人も何が起こるのかわかってはいる。
一方、ミーナの方を向いてみると、なぜかニヤけていた。
おいおい……自分の家族が大変な状況になるというのに、どうしてそんなに余裕の表情をしていられるんだよ。
「この度、ワインド本家の行っている対象の店は全てお取り潰し、及び所持している資産を全て剥奪という処罰を行う。更に年俸は十年間の間ゼロとする。次不正を行った場合は爵位を返還の上、王都からの追放とする。一からやり直すかは本人の意思に任せる」
「仰せのままに……」
ワインド男爵がステージの上にたち、そこで陛下に対して土下座の体制をとっていた。
これだけで処罰が済んだのだから随分と猶予をいただけたのだ。
きっと、ワインド男爵ならなんとか起死回生を図ろうと努力していくことだろう……。
気になるのはミーナだ。
本家の資産が全てなくなってしまう状況になれば一番困るのはミーナだ。
彼女は家のお金をあてにして生きてきたのだから。
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二人ともどうしてこんなに落ち着いていて平然としているのだろうか、気になってしまう。
「ライアンも気になるか?」
「気がついていたのです? ミーナとは幼馴染ですから、彼女の性格はそれなりには理解しているつもりですので……」
「そうか。不正が公に出てまともな両親になってもらえる希望からあのような顔をしているのか、それとも何かあるのか」
サバス様が首を傾げながらミーナの方を見ていた。
まさかとは思うが、ミーナがまた余計なことをやらかしてしまったのではないのだろうかと、そんな心配をしてしまった。
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