【完結】婚約者にウンザリしていたら、幼馴染が婚約者を奪ってくれた

よどら文鳥

文字の大きさ
上 下
24 / 87

【ミーナ視点】18 舞踏会での出来事2-C

しおりを挟む
「ライアンさんったら顔色がよろしくないわねー」

 オズマと手を繋ぎながら、ライアンのところへ挨拶しに行った。
 もちろんバカにするためよ。

 今までオズマとライアンは婚約同士で私の立ち入る隙がなかった。
 オズマのことを愛していたのは私。
 でも結婚が決まっていたなんて許せない。
 ずっとライアンのことは幼馴染という立場を利用して仲良いふりをしながら復讐の機会を伺っていたの。
 ついにその時がきたのよ!!

「心配かけてごめんなさい。大したことじゃないので」
 この期に及んでシラを切るつもりかしら。
 ならば先手を打って情報は得ていることくらい言ってしまいましょうか。

「ふふ、もうすぐ今年度の婚約発表の時間だからでしょう?」
「それもあるかもしれない」

そうよね。だって……。

「オズマと私が結婚しちゃったから、ライアンに婚約者なんて早々できないものね。でも、応援はしているから頑張るのよ!」

応援しているのは本心よ。
この後のステージで散々バカにされるのだから。
出来るだけ抵抗して反論しなさい。
そうすればそれだけ更にヤジが飛ぶんだからね。

「あぁ。俺が婚約解消の原因でもあるからこんなことを言うのもどうかとは思うが、ライアンならきっといい相手が見つかるはずだ。幼馴染として応援はさせてもらう」

オズマまで言ってくれちゃって……。
おかしくて笑いそうだ。

 でも、ライアンは怒っていないようね。
 今までだったらすぐに反論してきていたはずだけど……。

「ありがとう二人とも。まだ内密にしてほしいんだけど、実は良い発表もあるから心配しないで」

「……ほう」
「あら」

 それしか言えなかったの。
 そんなにライアンって顔が酷い男好きだったっけ……。
 あまりにも発言がおかしすぎて、笑いを堪えるのに必死だった。
 一応今は声に出して笑わないでおいてあげる。幼馴染だし。

「幼馴染同士だろう? ライアンの新たな婚約者決まったんだろ? 先に紹介してくれてもいいじゃないか」
「私も見てみたいわ。別に見せられないくらい酷い顔とかってわけじゃないでしょう?」

 ライアンは言い淀んでいるみたい。
 顔がダメなことは認識しているようね……。

「いや、もしかしたらミーナは気絶するかもしれないな……」
そうよね。あまりにも酷すぎて吐き気がしたら困るし。

「そんなに酷い顔なの?」
「逆。私の好みかな」

 ライアンってブス専だったのね。
だからオズマとの婚約も平気で解消したってことね。
オズマは良い男だし、ライアンには全く合わなかったのでしょう。
ほんの少しだけ、私が抱えていた重荷と恨みが解消された。
ざまぁしてやった気分だわ。
私は勝利の笑みを堪えるのに必死になってしまった……。

「んーーー、婚約に関しては当たっているから、発表まで待っていて」
「もったいぶらせやがって」
「しょうがないわね。後で盛大に祝ってあげるわよ」
「うん、ありがとう。でも発表のとき、本当に気をつけてね。顔を直視しない方がいいかもしれない」
「わかったわよ」

ライアンのブス専もわかったことで、婚約発表の時間がきたようね。

「それでは今年度の新たな婚約成立した者達の紹介を始めましょう。なお、婚約と入籍が同時の組は、後ほどの紹介になりますので」

 ライアンは上位貴族の人間どもがバカにされるんでしょうね。
 この光景を見たいがために今回の舞踏会に参加したようなもの。
 さぁみなさん、今回は盛大にバカにしてあげてくださいねー!

「最後の組は、皆様驚かれるかもしれないので心の準備をお願いいたします。まずは正妻になるライアン様、ステージの上へお越しください」
「はい……」
「おいおい、そんなに驚くって、あの司会者も婚約相手をバカにしてんのか?」

オズマったら何をバカなことを言っているのかしら。
こんなことも分からないなんて……。

「とんでもないお顔を見てみんなでライアンを笑ってあげようって考えているのよきっと」
「だが、司会者は今まで男爵家どころか准男爵にすらバカにするような行為は一度も……」
「見ていればわかるでしょう。あー楽しみで仕方がない。今日はこの光景を見にきたようなものだからね」
「まぁそうだが……」

 何を躊躇っているのかしら。
 まさか、ライアンに今も気でもあるというの!?
 お金もたっぷり手に入ったんだから私のことをもっと見なさいよ!
 ほら、ライアンがステージに上がったら早速ヤジばかりじゃないの!

「おいおい、ライアンって婚約破綻したばかりの家柄だろう。もう婚約か」
「よっぽどライアンさんは飢えていたのね。きっと誰でもいいから婚約したかったのよきっと」
「お相手がまだ出てきていないが、なぜこんなにタメを作るんだ? そんなにやばいやつなのか? まさか一般人とか」
「ありえる。皆の者、盛大に笑う準備をしておけ」

 そうそう、これでライアンも少しは今までのことを悔い改めると良いわよ。

「さて、ライアン様のお相手はなんと! サバス=トリコロエル侯爵王子殿下です!!」
「「「「「「「「「「な!?」」」」」」」」」」

 なんですって!?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな
恋愛
 伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。  そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。  その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。  そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。  ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。  堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・

不遇な王妃は国王の愛を望まない

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。 ※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり(苦手な方はご注意下さい)。ハピエン🩷 ※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲

釣り合わないと言われても、婚約者と別れる予定はありません

しろねこ。
恋愛
幼馴染と婚約を結んでいるラズリーは、学園に入学してから他の令嬢達によく絡まれていた。 曰く、婚約者と釣り合っていない、身分不相応だと。 ラズリーの婚約者であるファルク=トワレ伯爵令息は、第二王子の側近で、将来護衛騎士予定の有望株だ。背も高く、見目も良いと言う事で注目を浴びている。 対してラズリー=コランダム子爵令嬢は薬草学を専攻していて、外に出る事も少なく地味な見た目で華々しさもない。 そんな二人を周囲は好奇の目で見ており、時にはラズリーから婚約者を奪おうとするものも出てくる。 おっとり令嬢ラズリーはそんな周囲の圧力に屈することはない。 「釣り合わない? そうですか。でも彼は私が良いって言ってますし」 時に優しく、時に豪胆なラズリー、平穏な日々はいつ来るやら。 ハッピーエンド、両思い、ご都合主義なストーリーです。 ゆっくり更新予定です(*´ω`*) 小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて

おもち。
恋愛
「——君を愛してる」 そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった—— 幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。 あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは…… 『最初から愛されていなかった』 その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。 私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。  『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』  『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』 でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。 必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。 私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……? ※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。 ※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。 ※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。 ※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。

【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。

やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。 落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。 毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。 様子がおかしい青年に気づく。 ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。 ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 最終話まで予約投稿済です。 次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。 ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。 楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。

お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】 私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。 その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。 ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない 自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。 そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが―― ※ 他サイトでも投稿中   途中まで鬱展開続きます(注意)

処理中です...