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【オズマ視点4】後半

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「よく考えたけど、元々家にはそれしか財産はなかった。差し押さえになったら、そもそも残りはどこだって聞かれてもどーでもよくなっちゃうと思わない?」

「……そうかもしれんな」
「でしょう? どうせ奪われてしまうお金を必死に探すなんてありえないじゃない。だから、このお金は、私たちへの結婚祝いってことにして」
「ネコババする気か?」
「どう思う?」

 甘い誘惑だ。
 俺も今後のことがあるからな。
 必死になって考えてみた。

 言われてみればわざわざ報告しなくてもいいのかもしれない。

 元々ワインド家は差し押さえを喰らう。
 金貨で百枚取られても五十枚とられても最終的にはゼロ枚になる運命。
 むしろ、俺たちが幸せに暮らしていた方が喜ぶかも知れない。

 そうだ!

 親は子供の幸せを願うのが当たり前なんだ。

「いいと思う」
「決まりね。じゃあこの金貨や宝石は全部結婚祝いということでいただいてしまいましょう」
「だが、気を付けろ。いきなり大胆に使えば国の奴らに目をつけられてしまうだろうから、慎重に使うのだ」
「わかってるってー」

 ミーナの発言がどうも胡散臭い。
 俺も少しは対策を立てておいた方がよさそうだ。

「そういえばね、家に帰ったときお父様から舞踏会のこと聞いたんだけど……」
「随分と笑みを浮かべているな。何か良いことでもあるのか?」
「ライアンが早速婚約者を連れてくるんだって」

 少しだけ嫉妬心が出てしまった。
 別れたとは言っても、まだライアンとそういった行為はしていなかった。
 それが他の男がやらかすと考えたらあまり良い気分ではない。

「相手は誰だ?」
「そこまでは。でもね、ちょっと前にライアンが男と歩いているって情報があったのよ」
「ほう。詳細は知っているのか?」

 ライアンのことが気になってしまう。
 まぁライアンだったら大物と婚約できるような魅力は持っていないから俺よりも格下だとは思うが。

「それがねー、とんでもなくひっどい外見だったそうよ」
「ほう!!」

 内心、大喜びだ。
 そうかそうか、そんなレベルの低い男相手でも良いから無理したというわけか。
 これで一安心した。

「明日舞踏会だし、きっと連れてくると思うのよ。婚約発表なんてしたら笑ってしまいそうで……」
「あぁ、だが大笑いは我慢しろよ。こちらの印象が悪くなってしまうからな」

 舞踏会が楽しみで仕方がない。
 ライアンと話す機会があったら思いっきりバカにしてやるか。
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