【完結】婚約者にウンザリしていたら、幼馴染が婚約者を奪ってくれた

よどら文鳥

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14 侯爵様に挨拶した2

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 残った使用人がテーブルに沢山の料理や飲み物を用意してくださっている。
 いや、こんなに食べれないんだけど……。
 さすがにこの歓迎は大袈裟では?

「心配するな。余っても使用人がしっかりと食べてくれる」
「そうですか……。私のためにこんなにしてくださるなんて」
「それだけ父上の目にも叶ったのだ。謙虚になる必要もあるまい」

 正直なところホッとしている。
 いくらサバス様が心配無用と言ってくれていても、実際に侯爵様と挨拶してみるまでは不安だったのだ。
 もしも結婚など認めぬとか言われたらどうしようかと心配で、あまり寝れていなかったのだから。

「侯爵家の方々は皆優しいのですね……」
「ふ……表向きには威厳があるからな。ある程度芝居が必要なのだ。だがライアンとは今後家族になる。本来のトリコロエル家で接しても問題はあるまい」
「知りませんでした。正直、侯爵様はもっと怖いお方だと思っていましたので」
「そうでなくては困るのだ。表向きにはな」

 そう言いながら、私にグラスを渡してきた。
 本来は私がサバス様にやらなければいけないのに……。
 いや違うか、毒味役に渡さなければいけない?

 あれ、どうしたらいいんだっけ。

「挙動不審になる必要もない。王族のテーブルマナーなど一緒にいれば時期に覚える」
「はい……」

 料理に夢中でテーブルマナーの方は全くもってダメなのだ。
 そのことを一瞬で見抜いてしいまうサバス様も凄いが。

「ところで、ワインド男爵家のことだが……」
「なんでしょうか?」
「あの家の娘はライアンの幼馴染なのだろう? 不正に対しての処罰をヒイキすることはできないだろうが……」

 私のことを心配してくださっているようだ。
 そりゃ親の不祥事で幼馴染であるミーナが大変な目になりそうな状況だけどね……。

「ミーナはオズマ=フレイヤ準男爵と婚約していますからね。いや、もう結婚しているのか……。お金に執着が激しい彼女ですが、オズマとうまくやっていけるのでは?」
「ライアンを捨てたあいつか……。いや、おかげで私は幸せを手に入れたのだから礼を言うべきか、いや、それではあまりにも嫌味が」

 サバス様が珍しく小声で独り言をブツブツ言っている。
 一瞬顔を見てしまったが、真剣な表情になっているサバス様も神々しい。

「ミーナとやらも一文なしになるだろう。直接話したことなどないが、聞いている話だとうまくやっていけるとは思えんが」
「まぁそこは彼女次第ということで」

 今後はあまり関わり合いをもたないほうが良いかも知れない。
 こちらにまでタカられたらたまったもんじゃないからな。

 彼女たちは今後本当に大丈夫なのだろうか。
 なんだかんだで心配になってきてしまったのだ。
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