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3 縁談のお話
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サバス様といえば侯爵家の長男である。
その容姿に惚れ込んでダメ元で縁談を送る者が後を絶たないことでも有名だが、未だに婚約の発表もない。
貴族界ならば知らない人はいないだろう。
お父様が楽しんで焦らしていた理由もうなずける。
「先に言っておくが、俺は何もしていない。むしろ侯爵家の方から仕事中の俺にその話を内密で振ってきたのだからな」
「お母様、私の頬をつねってもらえます? ユメならば早く現実に戻りたいです」
「私もよ。じゃあ、お互いにつねり合いっこしましょうか」
私はお母様の頬を、お母様は私の頬をグーーーーッと引っ張る。
いたたたたた!!!
痛さは本物のようだ。
どうやら現実で間違いないらしい。
「お前ら、ふざけている場合ではないだろう」
「申し訳ございませんが、未だに信じられません。ただでさえ人気のあるサバス様からの縁談ですし、そもそも男爵家が侯爵家に嫁げるなど前代未聞です」
しまった。
つい本当のことを言ってしまって家のことを悪く言ってしまったような気がする。
興奮が止まない状態で口が滑ってしまったのだ。
それでもお父様は笑いながら優しく私の方を叩く。
「確かに前代未聞だな。だが、俺の年収も男爵家の中では前代未聞だろう。それにライアンよ、これはお前自身の努力が身を結んだものだと断言しておこう」
「はい?」
「本人に会えばわかるだろう」
私、サバス様に対して何かした記憶すらないのだが。
それでも自信満々に答えているお父様の表情を見ている限りでは私が何かしていたようだ。
なんだろう。
料理は趣味だし、他に特技と言ったら、貴族令嬢の割にはサバサバしていることくらいか。
そもそもサバス様とお会いしたことも話すらしたことだってないんだけど。
「ともかく、明日婚約解消の手続きを終えた足でそのまま王宮に行ってサバス様と会ってこい」
急すぎる。
まだ心の準備が全くできていない。
「後ろ盾にお父様がいてくれないのですか?」
「そうだな。せめて明日、娘が会いにいくと言っているから時間作っといてくだされとだけ伝えておくか」
いや、そういうことじゃないでしょう。
あぁ、もうダメだ。
ただでさえ婚約解消を言われて浮かれ上がっていたのに、それに上乗せしてサバス様とお話ができるなんて……。
こんな状況じゃ間違いなく興奮して一睡もできない自信がある。
「もう! 絶対寝れないじゃないの! こうなったら朝までゴロゴロして起きているしかない!」
だが、布団に入るとしっかりと寝れていた、すやー、すやー。
気がついたら朝になっていたのだった。
その容姿に惚れ込んでダメ元で縁談を送る者が後を絶たないことでも有名だが、未だに婚約の発表もない。
貴族界ならば知らない人はいないだろう。
お父様が楽しんで焦らしていた理由もうなずける。
「先に言っておくが、俺は何もしていない。むしろ侯爵家の方から仕事中の俺にその話を内密で振ってきたのだからな」
「お母様、私の頬をつねってもらえます? ユメならば早く現実に戻りたいです」
「私もよ。じゃあ、お互いにつねり合いっこしましょうか」
私はお母様の頬を、お母様は私の頬をグーーーーッと引っ張る。
いたたたたた!!!
痛さは本物のようだ。
どうやら現実で間違いないらしい。
「お前ら、ふざけている場合ではないだろう」
「申し訳ございませんが、未だに信じられません。ただでさえ人気のあるサバス様からの縁談ですし、そもそも男爵家が侯爵家に嫁げるなど前代未聞です」
しまった。
つい本当のことを言ってしまって家のことを悪く言ってしまったような気がする。
興奮が止まない状態で口が滑ってしまったのだ。
それでもお父様は笑いながら優しく私の方を叩く。
「確かに前代未聞だな。だが、俺の年収も男爵家の中では前代未聞だろう。それにライアンよ、これはお前自身の努力が身を結んだものだと断言しておこう」
「はい?」
「本人に会えばわかるだろう」
私、サバス様に対して何かした記憶すらないのだが。
それでも自信満々に答えているお父様の表情を見ている限りでは私が何かしていたようだ。
なんだろう。
料理は趣味だし、他に特技と言ったら、貴族令嬢の割にはサバサバしていることくらいか。
そもそもサバス様とお会いしたことも話すらしたことだってないんだけど。
「ともかく、明日婚約解消の手続きを終えた足でそのまま王宮に行ってサバス様と会ってこい」
急すぎる。
まだ心の準備が全くできていない。
「後ろ盾にお父様がいてくれないのですか?」
「そうだな。せめて明日、娘が会いにいくと言っているから時間作っといてくだされとだけ伝えておくか」
いや、そういうことじゃないでしょう。
あぁ、もうダメだ。
ただでさえ婚約解消を言われて浮かれ上がっていたのに、それに上乗せしてサバス様とお話ができるなんて……。
こんな状況じゃ間違いなく興奮して一睡もできない自信がある。
「もう! 絶対寝れないじゃないの! こうなったら朝までゴロゴロして起きているしかない!」
だが、布団に入るとしっかりと寝れていた、すやー、すやー。
気がついたら朝になっていたのだった。
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