これが私の兄です

よどら文鳥

文字の大きさ
上 下
4 / 28
婚約破棄編

4【マクツィア視点】不倫は許せない

しおりを挟む
「まさか婚約破棄するとは……誠か?」
「はい。あの女は不倫したのだから当然です」
「そうか」

 リーレルとの件を父上に伝えている最中。
 信じがたい事実だ……。

 私はリーレルに一目惚れをした。
 幸い婚約者は決まっていなかったようで、こちらから縁談を何度も願い出てようやく手に入れた。
 リーレルの兄は気に食わない。
 しかし、それ以外はなにも問題がなかった。
 それだけリーレルは魅力的な女だ。

 だが!!

 あの女は不倫をしていた。
 相手は帽子をかぶっていたため顔はよく見えなかったが、背丈と服装から男だと確信した。
 リーレルと仲良く二人で歩いていたんだ。
 あろうことか男はリーレルの身体にまで触れていた。

『たとえ挨拶でも舞踏会でも手の甲へのキスはさせるな、男とのダンスは全て断れ』

 リーレルには何度も言い聞かせてきたことだ。

 今までの彼女は私の指示に従ってきたのに、何故なんだ……。
 考えれば考えるほど許せなくなり、感情的になってしまったが婚約破棄を宣言した。

 あの女はアッサリとその事実を認めた。
 私の気も知れず、あまりにも簡単に。
 慰謝料だけで済むと思うな……!

 この気持ちを全て父上に報告した。

「お前は人の話を最後まで聞かぬ癖がある。リーレル男爵令嬢は不倫をしたことを認めたのだな?」
「はい!! 間違いなく!」

 不倫行為について尋ねたときに、リーレルは「あの人は……」と言っていた。
 つまり事実を認めたようなもの。

 それ以上聞く必要もないし、聞けば私の感情が爆発してしまい、あの女に何をしだすかわからない。
 誰の手にも触れさせたくないほど、私はリーレルのことを愛していたのだから。

「ならば私が直々に手続きを済ませておく。だが、あんな金も持っていなさそうな男爵家から慰謝料をもぎ取るつもりか?」
「当たり前です。場合によってはお取り潰しでも構いません。不倫していたことを国全体に広め、誰もあの女に近寄ることのないようにしたいのです。当然不倫していた男は極刑でしょう」

 私はリーレルのことを恨んでいる。
 もしもこの先リーレルに婚約者ができたら、私はその男を決して許すことなどないだろう。
 場合によっては男を国から追放させたい。
 リーレルに誰も近寄ることができないような罰を与えなければ気が済まないのだ。

「なるほど……。今回は私も協力してやろう。お前の選んだ相手だから今まで文句は言わなかったが、あの家にいるレオンという者だけは気に食わない!」
「父上もでしたか! 私もレオン男爵は嫌いでした。何故あんな男が他の者から人気が高いのか全く理解できません」
「まぁよい。それも今回の件で全ては終わる。レオン男爵も道連れにしてしまえばよいのだから。婚約破棄とはそういうものだ」 

 恨んでいる女と、気に食わない男を同時に罰を与えられる状況がこちらにはある。
 不倫したことをすぐに後悔させてやろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

要らない、と申しましたが? 〜私を悪役令嬢にしたいならお好きにどうぞ?〜

あげは
恋愛
アリストラ国、侯爵令嬢。 フィオラ・ドロッセルが私の名前です。 王立学園に在籍する、十六歳でございます。 このお話についてですが、悪役令嬢なるものがいないこの時代、私の周りの方々は、どうやら私をそのポジションに据えたいらしいのです。 我が婚約者のクズ男といい、ピンクの小娘といい…、あの元クズインといい、本当に勘弁していただけるかしら? と言うか、陛下!どう言う事ですの! ーーーーー ※結末は決めてますが、執筆中です。 ※誤字脱字あるかと。 ※話し言葉多め等、フランクに書いてます。 読みにくい場合は申し訳ないです。 ※なるべく書き上げたいですが、、、(~_~;) 以上、許せましたらご覧ください笑

婚約破棄ですか?それは死ぬ覚悟あっての話ですか?

R.K.
恋愛
 結婚式まで数日という日──  それは、突然に起こった。 「婚約を破棄する」  急にそんなことを言われても困る。  そういった意味を込めて私は、 「それは、死ぬ覚悟があってのことなのかしら?」  相手を試すようにそう言った。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆  この作品は登場人物の名前は出てきません。  短編の中の短編です。

【完結】貶められた緑の聖女の妹~姉はクズ王子に捨てられたので王族はお断りです~

魯恒凛
恋愛
薬師である『緑の聖女』と呼ばれたエリスは、王子に見初められ強引に連れていかれたものの、学園でも王宮でもつらく当たられていた。それなのに聖魔法を持つ侯爵令嬢が現れた途端、都合よく冤罪を着せられた上、クズ王子に純潔まで奪われてしまう。 辺境に戻されたものの、心が壊れてしまったエリス。そこへ、聖女の侍女にしたいと連絡してきたクズ王子。 後見人である領主一家に相談しようとした妹のカルナだったが…… 「エリスもカルナと一緒なら大丈夫ではないでしょうか……。カルナは14歳になったばかりであの美貌だし、コンラッド殿下はきっと気に入るはずです。ケアードのためだと言えば、あの子もエリスのようにその身を捧げてくれるでしょう」 偶然耳にした領主一家の本音。幼い頃から育ててもらったけど、もう頼れない。 カルナは姉を連れ、国を出ることを決意する。

婚約破棄されて追放された私、今は隣国で充実な生活送っていますわよ? それがなにか?

鶯埜 餡
恋愛
 バドス王国の侯爵令嬢アメリアは無実の罪で王太子との婚約破棄、そして国外追放された。  今ですか?  めちゃくちゃ充実してますけど、なにか?

妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~

岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。 本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。 別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい! そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。

円満婚約破棄をしたらゆるい王妃様生活を送ることになりました

ごろごろみかん。
恋愛
死霊を祓うことのできる霊媒師・ミシェラは皇太子から婚約破棄を告げられた。だけどそれは皇太子の優しさだと知っているミシェラは彼に恩返しの手紙を送る。 そのまま新興国の王妃となったミシェラは夫となった皇帝が優しい人で安心する。しかもゆるい王妃様ライフを送ってもいいと言う。 破格の条件だとにこにこするミシェラはとてつもないポジティブ思考の持ち主だった。 勘違いものです ゆるゆる更新で気が向いた時に更新します

我慢してきた令嬢は、はっちゃける事にしたようです。

和威
恋愛
侯爵令嬢ミリア(15)はギルベルト伯爵(24)と結婚しました。ただ、この伯爵……別館に愛人囲ってて私に構ってる暇は無いそうです。本館で好きに過ごして良いらしいので、はっちゃけようかな?って感じの話です。1話1500~2000字程です。お気に入り登録5000人突破です!有り難うございまーす!2度見しました(笑)

<完結> 知らないことはお伝え出来ません

五十嵐
恋愛
主人公エミーリアの婚約破棄にまつわるあれこれ。

処理中です...