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婚約破棄編
2 お父様へ報告
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「どうしたんだ? さっき子爵の元へ行ったばかりではないか。何か忘れ物でもしたのか?」
「お父様……申し訳ございません! 実は、婚約破棄されてしまいました」
「ほう、詳しく聞こう」
お母様は買い物に出かけている。
お兄様も婚約者とデートだと言っていたので家にいない。
大事なことなので先にお父様だけに報告した。
私が重い口を開き、何度も謝りながら説明する。
お父様はその間、何も喋らずに黙って聞いてくれた。
「なるほど。リーレルに冤罪を着せた上に婚約破棄を命じてきたというわけか……」
「ローラ家に……男爵家としての恥さらしな展開になってしまい申し訳ございません!」
悔しさと申し訳なさで、涙を溢しながら頭を下げた。
だが、お父様は一切怒るような素振りもなく、こう言った。
「良かったじゃないか!」
「え……?」
「そもそもアラーネウス子爵家との縁談など私たちも乗り気ではなかったことは知っているだろう? もしあのまま結婚していたら、一生負い目を背負うことになっていたくらいだ。だが、情けないことに男爵という立場上、断ることができなかった。リーレルにはいつも気苦労をかけてしまって本当にすまない」
お父様の言葉を聞いて、気がつかされた。
私もローラ家の者として泣き寝入りするわけにはいかない。
少しでもこの家が負うであろう傷を軽くするように考えなければ。
「婚約破棄という事実が残ってしまったらローラ家の名に傷が──」
「元々底辺貴族だ。これ以上何か下がるとでも?」
お父様は笑っていた。
「それに婚約破棄は成立せんよ。むしろこちらから婚約解消を堂々と願い出ることが出来るくらいのことをマクツィア子爵は言ったのだから。それよりもリーレルには新たな縁談の準備をしなければな」
「ありがとうございます!」
貴族の子供は、遅くとも十歳になるくらいまでには婚約相手は大抵決まっている。
私は今年で一六歳になるし、相手を見つけるのは、かなり困難を要するはずだ。
次のお相手が見つかったら、一切の出し惜しみをしないで嫁ぐと誓おう。
このタイミングで部屋のドアが開いた。
この容赦ないドアの開け方は間違いなくあれだ。
「父さん、ただいま! あれ、リーレルもいるのか。早い帰りだな」
「レオンか。お前も早い帰りだな」
お兄様が帰宅した。
お父様の言うとおり、デートの割には随分と帰りが早い気もする。
さて、今度はお兄様に報告しなければならない。
お兄様の場合、何を言われるかわからないので、再び気持ちが重くなった。
「お父様……申し訳ございません! 実は、婚約破棄されてしまいました」
「ほう、詳しく聞こう」
お母様は買い物に出かけている。
お兄様も婚約者とデートだと言っていたので家にいない。
大事なことなので先にお父様だけに報告した。
私が重い口を開き、何度も謝りながら説明する。
お父様はその間、何も喋らずに黙って聞いてくれた。
「なるほど。リーレルに冤罪を着せた上に婚約破棄を命じてきたというわけか……」
「ローラ家に……男爵家としての恥さらしな展開になってしまい申し訳ございません!」
悔しさと申し訳なさで、涙を溢しながら頭を下げた。
だが、お父様は一切怒るような素振りもなく、こう言った。
「良かったじゃないか!」
「え……?」
「そもそもアラーネウス子爵家との縁談など私たちも乗り気ではなかったことは知っているだろう? もしあのまま結婚していたら、一生負い目を背負うことになっていたくらいだ。だが、情けないことに男爵という立場上、断ることができなかった。リーレルにはいつも気苦労をかけてしまって本当にすまない」
お父様の言葉を聞いて、気がつかされた。
私もローラ家の者として泣き寝入りするわけにはいかない。
少しでもこの家が負うであろう傷を軽くするように考えなければ。
「婚約破棄という事実が残ってしまったらローラ家の名に傷が──」
「元々底辺貴族だ。これ以上何か下がるとでも?」
お父様は笑っていた。
「それに婚約破棄は成立せんよ。むしろこちらから婚約解消を堂々と願い出ることが出来るくらいのことをマクツィア子爵は言ったのだから。それよりもリーレルには新たな縁談の準備をしなければな」
「ありがとうございます!」
貴族の子供は、遅くとも十歳になるくらいまでには婚約相手は大抵決まっている。
私は今年で一六歳になるし、相手を見つけるのは、かなり困難を要するはずだ。
次のお相手が見つかったら、一切の出し惜しみをしないで嫁ぐと誓おう。
このタイミングで部屋のドアが開いた。
この容赦ないドアの開け方は間違いなくあれだ。
「父さん、ただいま! あれ、リーレルもいるのか。早い帰りだな」
「レオンか。お前も早い帰りだな」
お兄様が帰宅した。
お父様の言うとおり、デートの割には随分と帰りが早い気もする。
さて、今度はお兄様に報告しなければならない。
お兄様の場合、何を言われるかわからないので、再び気持ちが重くなった。
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