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56 誤解

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「なんでそんなことするの?」
「……当然のことかと思いますが」

 いやいや、どこまで変態なんだよ。
 長い間パンドラと付き合ってきたけど、これは流石に引く。

「お願いだから、私の脱いだ下着を見て興奮するのはやめて欲しいんだけど」
「……は? 流石にそんなことはしませんが」
「え……!?」
「……確かにシェリル様は体の関係も有りかとは思います。ですが、布切れに興味は湧きませんね。どちらかといえば本体がいいです」

 いや、そこまで説明求めていないし身体の関係だってもちたくない。
 あれ……でもだとすると何か私勘違いしていたのだろうか。

「下着見て興奮って……」
「……偶然シェリル様の下着に小さな猫がべったりとくっついていまして。マタタビと勘違いしたんでしょうか。とても可愛かったので観察していたんです」
 変態なのはパンドラじゃなくて猫の方だったということか。

 私は勘違いしていただけのようで、この後必死に謝罪しました……。

「……別に変態なのは事実ですし認識もあるのでお気になさらず」
「ほんっとうにごめんなさい!!」
「……そこまで仰るのならば、今度は下着にデザインを作って欲しいですね」
「はい!?」

 意味がわからなかった。
 下着なんて、真っ白い布地で重要箇所が隠れればいいものだし、普段見せるものではない。

「……下着にもバラエティ豊かなデザインが欲しいなと思っていましたから」
「意味がわからないんだけど」
「……ですが、身体に身に付けるものです。見えない部分からおしゃれをしたら良いんじゃないかと」

 パンドラがやけに喰いついてくる。

「分かったわよ……。ならばパンドラ好みになるような下着を数枚だけね」
「……色も黒が良いです。それから、何かリボンみたいな物がついていると可愛さが増しますね」

 下着のデザインなど前代未聞である。
 市場に出ているのは男女共通で真っ白い生地一択なのだから。
 おまけに黒がいいときた。

 これは流石に異例なので、こっそりと仕立屋で作ってもらうことにして、市場には当然出さない方向でいく。

 そのつもりだった……。
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