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55 パンドラの疑惑

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 ロック様と結婚してからは幸せしかない。
 結婚式はもう少し先で、先に正式な入籍だけ済ませている。
 そして、いつのまにか私はロック殿下のことをロック様と呼ぶようになっていた。

 立場上私は王妃になってしまったのだが、特に何かするわけでもないのだ。
 王家や上位貴族の集まるパーティーにはこれまでも何度か参加していたし、思ったよりも何も変わらなかった。

 そして、今私はいつものように新作をデザイン中である。
 元々住んでいた家で。

「シェリル様。そろそろティータイムの時間です」
「もうそんな時間!? すぐに切り上げて向かうわね」

 ハット、ライド、ハイタム、ロウタムの四人もこの家で引き続き使用人をしてもらっているし、警備や護衛もいる。
 ここは私の職場として残しているのだ。

 本当ならば、全員連れて王宮で使用人をしてもらおうかと提案したのだが、使用人の四人は恐れ多かったらしい。
 確かに新米使用人なのにいきなり王宮でとなったら荷が重いだろう。

 だからこそ、ここは残すことにした。
 それにみんなとお茶をするのも楽しいし、これも私の日課なのだから。

「王妃になられても私たちと変わらず接していただいてくれるのは本当に感謝しています」
「いやいや……別に何か変わったわけでもないでしょ? それにみんな私の友達だから」

「シェリル様に死ぬまでついていく所存です」
「それは大袈裟ね……」
「いえ、私も同じくです!」

 ティータイムなのに私のことを上げなくても良いんだよ?
 もっと普通の話がしたいのだ。

「でも最初の頃と比べると、みんな使用人の腕上がっているわよね」

「パンドラさんに色々教わりましたから!」
「あの方の技術を見習えて良かったと思ってます」
「時々暴走してましたけどねー」
「特に、新品の下着を洗濯してたときの顔が印象的でしたね……」

 最後に言ったライドの話だけは引く。
 やはりパンドラは根っからの変態だったのか。
 今は王宮で一緒に生活しているから、引き続き気をつけよう……。

 ♢

 デザインも描きおわり、いつものように仕立屋へ渡してから王宮の自室へ帰る。
 仕事の環境としてはとても便利になった。

「……お帰りなさいませシェリル様。本日は洗濯がまだ終わっていませんので、このあと行う予定です」
 さっき変な話を聞いたばかりなので、恐る恐る問いつめることにした。
 流石に私が使用した下着で興奮されてはたまったものではない。

「ねぇパンドラ、あなた以前に洗濯中に下着見て興奮していたとか……」
「……知っていたのですか」

 あっさり白状してきた。
 流石に大問題だ。
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