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52 防犯対策

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「……ロック殿下。シェリル様の家に警備が欲しい」
「ふむ。確かに防犯面では弱いとは思っていた。それに昨日報酬を受け取って金まみれになったと聞いている。このままではシェリルの身も危ないかもしれん……」

 パンドラが特に心配をしてくれて、急遽王宮まで足を運んだ。
 私はというと、危機管理があまりなかった。
 だから、言われなければ動かなかっただろう。

「……シェリル様は私が守れる。むしろ他の護衛がつくと独占できないからやめてほしい」
「まぁパンドラが護衛ならば問題はないだろう。油断はしないで欲しいが」

 まるでパンドラが物凄く強いという言い方のように聞こえる。
 私は首を傾げていた。

「そうか、シェリルはパンドラの力を知らないのか。使用人として主人を守るために護身術、格闘術も達人のレベルまで鍛えているのだよ。刃物程度で脅されても動じずに対処できるだろう」
「え!? パンドラそんなに強いの!?」
「……あまり言わないで欲しいです。普段から隠しておけば敵は油断しかしないので。だからこそ毎日このメイド服を着て弱い女と見せかけているので」

 知らなかった。まさかメイド服にそんな秘密があったとは。まぁパンドラのメイド姿は可愛いから良いんだけど。

「パンドラすまない。余計なことを言ってしまったな」
「……別に良い。シェリル様には機会があれば言うつもりだった。ですがシェリル様、ご安心ください。例え力があってもそれを利用してシェリル様の魅力的な身体をどうこうする気持ちはなんとか自重していますので」

 いや、それやったらつまみ出すから。多分彼女に勝てないけど。

「ともかくシェリルの身は安全としても、問題は家か。よし、私の直属の護衛と警備を数名配属させよう」
「え? 良いのですか?」
「何を言っているのだ? 既にシェリルは私の婚約者だ。国を使ってでもシェリルやその周囲を守る義務があるのだよ」

 あぁ……何回聞いてても胸が苦しい……。
 ロック殿下にそういうことを言われるとドキドキしてしまう。
 しかし、肝心なことを忘れていた。

「……今後、精神安定剤が必要かもしれませんね」
 いや、いらん。

 ともかく、これで家の警備は万全になったはずだ。
 もしも夜中に泥棒が入ってこようとも、ほぼ確実に仕留めることはできるだろう。

 だが、護衛と警備を配置してもらって良かったと思えたのはすぐのことだった。
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