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47 異常な部屋

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「シェリルよ、私のファッション部屋に加えて新たな部屋を作ったのだ。是非来てほしい」

「わかりました。では仕立屋との打ち合わせが終わり次第すぐに向かいます。今日はパンドラが護衛として外で待機していますが、同行させても構いませんか?」
「無論構わない」

 乙女心としては、ダメだと言ってほしいところではあるが、ロック殿下は心優しいお方だ。
 しかもパンドラとロック殿下は幼馴染のようなものだと聞いているし、私としては嫌と言うわけではない。
 今日は三人で楽しむことにする。


「……はい、もちろん同行します。シェリル様達の愛し合う光景を独占して鑑賞できると考えただけで鼻血が出そうです」
 パンドラは護衛としては失格かもしれない。

「まだ結婚していないんだし、そんなことにならないから!」
「……むしろなってほしいです。そこに私が混じればサン──」
「はいはい! もう王宮へ向かいましょ!」

 妄想が膨らむし、私まで想像しただけで心臓が大変なことになりそうだった。

 ♢

「待っていたぞ。新しい部屋はこの奥にある。その格好では問題があるから、二人とも、これを着てくれたまえ」

 用意されたのは先日のイベントで限定販売した極寒用の服だった。
 尚、限定販売は完売してしまっていたので、これはロック殿下の為に、特別に追加で製造したものである。

「……そうですか。焦らして沢山脱がせるために着せるのですね」
「パンドラ! それは絶対違うと思う!」

 彼女の思考はハレンチへと進むばかりなのでなんとかしてほしい。

「でもなんでこんな厚着を?」
「もちろん移動する部屋のためだ」

 よくわからないまま、私たちは言われたとおりに、今着ている服の上に厚着を着こなした。
 はっきり言って暑い。暑すぎるのだ。
 何もしなくても汗がどんどん出てくる。

「自分で作っといて失礼ですけど、こんな厚着じゃこの辺では需要はないわね」
「……これはキツい。胸が締め付けられてます」

 そうか……極寒対策として、なるべく体に密着するように作ってあるからな……。女性用のこの服ではパンドラのような巨大な胸のサイズには厳しかったかもしれない。


「では案内する」

「「なっ!?」」

 四重扉の先には王宮とは思えないような空気の部屋だった。



「ロック殿下! なんなんですかこれは!?」
「……寒い。凍える」

「うむ。極寒用の服が手に入ったから、需要性を満喫できるように新たに寒くなる部屋を作ってみたのだ」

 無茶苦茶だ。
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