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42 ガルカ視点その1 賭博で挽回

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「おい……最近の噂知っているか?」
「今それどころじゃないのよ……倉庫のテナント料が払えないから手当たり次第お金の融資を探しているんだけど」

 服が初日に一人の男が三着買って以来、一着しか売れていない。
 やっと買ってもらった相手はファッションコレクターと言っていた。どんな服でも買うんだとか。
 つまりそいつが宣伝してレムの作った服もいずれ広まるのだろう。

 とはいえ、予想よりも売れ筋が悪く、家賃の支払いに間に合わずに困っているのだ。

「いつも借りているところはどうした? 誰でも借りれる会社があっただろう?」
「そこすら申請が通らなくなっちゃったのよ……」
「バカな! あり得ん! 誰にでも融資する会社だ。例外として、余程のクズ人間だけには貸し出さないという場所だぞ!?」

 俺たちは善良な民間人だからクズではないことは当然だ。貸してくれないわけがないだろう。
 まいったな……家賃の滞納は非常にまずい。

「残り残高はいくらだ?」
「一萬紙幣が五枚だけ……」

 つまりこの金がなくなった時点で飲み食いもできなくなるわけだ……。

「こうなったら!」
「何するつもりなの?」

「賭博場へ行き、百倍にしてくるしかないだろう」
「え、でももしも負けたら破産でしょう……」

 金は使うためにあるものだ。
 それに俺には絶対の自信がある。
 レムは心配そうな顔をしているので、彼女の肩にそっと手をあてた。

「以前はシェリルに止められてたから封印していたんだがな。俺は前回賭博場へ行ったとき、十萬持っていってそれを十倍にした実績があるんだ」
「凄い! でも、今回は百倍でしょう?」

「甘い甘い。十倍も百倍も似たようなものだろう。シェリルは勝った時点でやめておいてと言ってきたが、あいつは元がバカだからな。勝ったからこそ継続して更に勝たなければいけないというものを判っちゃいなかった」

「勝てるならやるべきよ! ならこれも持って行って。もしもの時のために取っておいた私の全財産よ」

 さすがはレムだ。
 レムの所有していた非常時の資金まで俺に渡してくれたぞ。
 これで軍資金は前回同様の十萬だ。

 これなら勝ったも同然だな。

 正装に着替えて、すぐに賭博場へ向かった。




「バカな……」

 俺は一文無しになり、借金の山だけが残った。
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