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30 コレクション部屋へ行った

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「やはりそうでしたか。感謝しても足りないくらいです。……王宮の仕立屋から契約を推奨していただいた件も……?」
「そうだ。シェリルさんの悩んでいる話を聞いていてもたってもいられなくてな。大至急、あのときの問題が解決できるように対策を遂行したのだよ」

 ガルカとの離婚問題で私の取引に支障が出る件も、全てはロック殿下のおかげだったのか。しかし、それだけではないはずだ。

「ありがとうございます。ロック殿下のおかげで私はどれだけ救われたことか……」
「別に礼を言われるほどのことではない。ポップスのときからずっと言っていたが、礼を言うのはむしろ私の方だ。本当に今着ているデザイン気に入っているのだよ」

「光栄です。あの、少しコレクションを見ても良いですか?」
「勿論だ」

 私の興味は色々なデザインに向けられ、ロック殿下を放置してしまうことになるかもしれないが、あとで謝罪しておくことにする。

 多種多様な服が飾られているこの部屋は私にとっても居心地が良く、まるで宝の山を見ているようだった。

 ジャンルごとに分けられ、手に入れた順に飾られている。
 私がデザインした服だけは私専用のジャンルに区分されていて、しかも全て入手していることがとても嬉しい。

 暫く拝見させていただいたのだが、『未区分』というジャンルの最近手に入れたであろう服を見た瞬間、私は驚いてしまった。

「ロック殿下! これは!?」
「あぁ、それはつい先日仕方なく買ったものだよ」

 苦笑いをしながら私に説明をした。

 この服には見覚えがある。
 離婚したガルカの幼馴染であるレムが描いたデザインの服なのだから……。

 レムの服は『未区分』というジャンルの中でも特に目立って浮いていた。

「ちなみに未区分というのは、私は絶対に着ることはないだろうが、服に変わりはない。これもコレクションだから買ったというものだよ」
「この服のデザインした人……私の知り合いで」

「知っている。レムと名乗っていたな。しかも横にはシェリルさんの元旦那が一緒にいたので流石に驚いた」
「そうでしたか」

「何度も驚いてばかりですまないが、全くもってこのデザインにも驚いた。今まで見てきた中で一番ひどい。ついつい三着も買ってしまったよ」

 そんなに酷いと思うなら何故そんなに勝ってしまうのだろうかと不思議だっただった。

「着られるんですか?」
「囚人に着せようかと思っている。これで歩かせたら面白いかと思って」

 私はどうやら間違っていたようです。
 レムさん、良かったですね。
 あなたのデザインした服も、ちゃんと需要はありましたよ。

 心の中でレムさんにそう伝えておいた。


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【後書き】

読んでいただきありがとうございます。
本日投稿した新作のお知らせです。

新作『婚約相手は私を愛してくれてはいますが病弱の幼馴染を大事にするので、私も婚約者のことを改めて考えてみることにします 』

こちらも宜しくお願い致します。
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