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27 王宮主催のパーティー

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 さすがは王宮主催のパーティーだ。
 皆が気品高そうな格好、仕草をしていて庶民の私など立ち入る隙がなさそうだ。

 とは言っても、テーブルに出ているシャンパンや料理を堪能する。
 こういうところは庶民の特権だ。
 特に話す相手もいないし、少しくらいなら良いだろう。

「あら、シェリル様ではなくて!?」
「こ……公爵夫人様!?」

「先日の結婚式でのドレス素敵でしたわよ。いつ販売されるのかと楽しみにしていますのよ」
「あ……申し訳ございません。あのドレスは一着だけ……」
 と言いかけていたのだが、ふと考えてみた。

 私としては、旦那との特別な思い出を作るためにドレスは世界で一着の自分だけのものという思惑があった。
 だが、離婚した今となっては、別にそのこだわりもないのだ。

「わかりました。あのドレスは色々とこだわって作ったものですが、評判も良かったので販売することにします」

「まぁ。それは楽しみね! ちょっとちょっとー!! みんな聞きなさい! シェリル様の式で着ていたウェディングドレスを販売することになったわよ!」

「なんですって!?」
「おぉ、あの素晴らしいデザインが世に出回ることになるとは……」
「私もあんなドレスを着てみたいですわぁ」

 公爵夫人様の一声によって、私の周りに沢山の人だかりが出来てしまった。
 折角普段食べないような豪華なご馳走を堪能していたのに。

「ま……まだ確定したわけではないんですが……」

「いついつ!? いつ販売されるの?」
「あーわたくしったら先日式をあげたばかりなのに……もう一度式をあげちゃおうかしら」
「販売日当日に買いに行きますわね」

 もはやこれはダメだ。断ることは不可能だろう。まぁあのドレスも今となっては黒歴史になってしまったのだし、みんなが喜んでくれるのなら世に出してもいいのだが。

 人だかりが途絶えない。私を取り囲んでいる貴族の方達。これは予想外だった。

「シェリル様、何かお取りしますか?」
「ワインとシャンパンでしたらどちらを希望されますか?」
「新婚生活は順調ですか?」

 一斉に私に色々と喋りかけてくるが、生憎私の口は一個しかないのでいっぺんにお答えできません。
 ただ、質問された一言によって思い出したことがあった。
 まだ離婚したことは報告していなかったのだ。

 つまり、ここにいる全員が私はまだ既婚者だと認識しているのである。
 特にそれによってマイナスなことはないが、ガルカという名前だけはもう出さないでほしい限りだ。


 しばらく貴族の方々と会話をしていたが、遠くの方から聴き慣れた声が聞こえてきた。
「ほう……、そこにいたのか、シェリルさん」

 人だかりが多くて良くは見えないが、この口調と声はポップスさんだ。
 って……あれ、なんでポップスさんがこのパーティーにいるのだろう。

 声のする方へ振り返ると、円陣を描くような人だかりだったのが急変。
 一本の通路になっているではないか。

 その先には……。

「久しぶりだな」

 え……?
 この人、誰?
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