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25 使いの者が家にやってきた
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「……シェリル様、王宮から使いの者と名乗る方がお見えです」
新しいデザインを描いている最中にパンドラから報告を受けた。
デザイン担当の人かな。私はすぐに準備して出向いた。
「お待たせして申し訳ございません」
王宮直属の顔見知りだったので、すぐに頭を下げる。
「お顔を上げてください。此度はロック殿下からの招待状をお渡しに来ました」
「ロック殿下……?」
ロック殿下といえば国王陛下の第一王子で、次期国王陛下になられるお方だ。
私とガルカの結婚式にもお父様経由で出席されていたのだが、直接お話はできなかった。
私との直接的な関わりはないはずだが……。
「どのような招待状でしょうか……ここで開封しても?」
「もちろんです」
封を開けると王宮で開かれるパーティーへの招待状だった。
一瞬手が震えてしまった。
「このパーティーとはまさか、王族と貴族しか参加が許されないという……」
「仰るとおりです。今回はロック殿下の推薦で、ゲストとしてのご招待です。是非ともシェリル様に参加していただきたいとのことです」
何度も言うが、推薦されるほどの繋がりはない。
ともあれ、第一王子殿下の推薦を断るわけにはいかない。
「承知致しました。喜んで参加させていただきます」
「良い返事が聞けて光栄です。それではパーティー当日には馬車で迎えます。本日のところは、これにて失礼いたします」
使いの者はそのまま馬車に乗って帰って行った。
♢
「大変よ。ロック殿下からパーティーに招待されたわ……」
すぐに使用人達に伝えた。
今までも貴族交流のパーティーには何度かゲストで参加させてもらったことはあるが、王族からの招待は経験したことがない。
状況が見えず、珍しくパニックになっているのだ。
「シェリル様、一旦落ち着きましょう、いえ、無理ですよね、私たちも驚きです」
「そもそも、シェリル様ならば招待されてもおかしくありませんよ」
「もしかして主人様は王子にプロポーズされるのでは?」
「きゃー! それもありえますねぇ」
「……王太子と結婚したら、私たち解雇?」
使用人達までもが大騒ぎだ。
パンドラだけマイナス思考だったのは今は聞かなかったことにする。
「ちょっと気が早すぎるわよ。だって私は殿下とお話すらしたことが──」
「……どこかで話したことあるのでは?」
過去を振り返ってよく考えてみたのだが……。
「多分ない……でも、きっと知らない間に私のデザインした服を購入していただいていたとかなら考えられ……ないわね。そもそも王族のデザインは販売したことがなかったもの……」
販売はしたことがないが、趣味でポップスさんにだけはデザインしたことはある。
そう考えると、殿下との共通点がないので謎は深まるばかりだ。お父様経由ならば、先にお父様から連絡を貰うはずだし。
ともあれ、貴族のパーティーに出席させていただくので、しっかりと準備を今のうちにしておこうと思う。
髪も少し切ってもらった方がいいかしら……。
どのドレスを着ていけばいいのかしら……。
ダメだ。やらなければいけないことが多すぎる。
こういう時になると、私一人だと色々と考えてしまい上手くいかない。
使用人達のアドバイスも受けて、パーティーへ向けての準備をなんとか進めていった。
早いもので、ついにパーティー当日を迎えた。
新しいデザインを描いている最中にパンドラから報告を受けた。
デザイン担当の人かな。私はすぐに準備して出向いた。
「お待たせして申し訳ございません」
王宮直属の顔見知りだったので、すぐに頭を下げる。
「お顔を上げてください。此度はロック殿下からの招待状をお渡しに来ました」
「ロック殿下……?」
ロック殿下といえば国王陛下の第一王子で、次期国王陛下になられるお方だ。
私とガルカの結婚式にもお父様経由で出席されていたのだが、直接お話はできなかった。
私との直接的な関わりはないはずだが……。
「どのような招待状でしょうか……ここで開封しても?」
「もちろんです」
封を開けると王宮で開かれるパーティーへの招待状だった。
一瞬手が震えてしまった。
「このパーティーとはまさか、王族と貴族しか参加が許されないという……」
「仰るとおりです。今回はロック殿下の推薦で、ゲストとしてのご招待です。是非ともシェリル様に参加していただきたいとのことです」
何度も言うが、推薦されるほどの繋がりはない。
ともあれ、第一王子殿下の推薦を断るわけにはいかない。
「承知致しました。喜んで参加させていただきます」
「良い返事が聞けて光栄です。それではパーティー当日には馬車で迎えます。本日のところは、これにて失礼いたします」
使いの者はそのまま馬車に乗って帰って行った。
♢
「大変よ。ロック殿下からパーティーに招待されたわ……」
すぐに使用人達に伝えた。
今までも貴族交流のパーティーには何度かゲストで参加させてもらったことはあるが、王族からの招待は経験したことがない。
状況が見えず、珍しくパニックになっているのだ。
「シェリル様、一旦落ち着きましょう、いえ、無理ですよね、私たちも驚きです」
「そもそも、シェリル様ならば招待されてもおかしくありませんよ」
「もしかして主人様は王子にプロポーズされるのでは?」
「きゃー! それもありえますねぇ」
「……王太子と結婚したら、私たち解雇?」
使用人達までもが大騒ぎだ。
パンドラだけマイナス思考だったのは今は聞かなかったことにする。
「ちょっと気が早すぎるわよ。だって私は殿下とお話すらしたことが──」
「……どこかで話したことあるのでは?」
過去を振り返ってよく考えてみたのだが……。
「多分ない……でも、きっと知らない間に私のデザインした服を購入していただいていたとかなら考えられ……ないわね。そもそも王族のデザインは販売したことがなかったもの……」
販売はしたことがないが、趣味でポップスさんにだけはデザインしたことはある。
そう考えると、殿下との共通点がないので謎は深まるばかりだ。お父様経由ならば、先にお父様から連絡を貰うはずだし。
ともあれ、貴族のパーティーに出席させていただくので、しっかりと準備を今のうちにしておこうと思う。
髪も少し切ってもらった方がいいかしら……。
どのドレスを着ていけばいいのかしら……。
ダメだ。やらなければいけないことが多すぎる。
こういう時になると、私一人だと色々と考えてしまい上手くいかない。
使用人達のアドバイスも受けて、パーティーへ向けての準備をなんとか進めていった。
早いもので、ついにパーティー当日を迎えた。
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