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24 パンドラが我が家にやってきた

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「使用人のパンドラさんはとても優秀な方です。きっと主人様のお役に立てるかと」
「ごめんなさい驚いてしまって。あの子なら問題ないわ。すぐ連れてきて良いわよ」

 パンドラとは何度か会ったことはあるけれど、あの子なら全く問題はないだろう。
 それに解雇された原因は私のような気もするし……。

 ♢

「……パンドラです。この度は面接を受けさせていただき、ありがとうございます」
 ミニスカートのメイド服を着た可愛らしい女の子だ。誰が見ても可愛いと思う。

「面接じゃないわよ。今日からよろしくお願いします」
「……良いのですか?」

「もちろんよ。みんなと同じように住み込みでも構わないわ」
「……住み込みで」
「じゃあ、あとは荷物を運び入れなきゃね」
「……大丈夫です。荷物はこれだけですから」

 パンドラが持っているのは小さなリュックサックだけだ。
 そういえば服装もメイド服のままだし、少し汚れている気もする。

「あの……パンドラ? 荷物これだけって、解雇されてもあなたの私物は沢山あったはずでしょう?」
「……これが全てです。殆ど前主人様に没収されたので」
「え!?」

 私は大声で驚いてしまった。
 ザッカムさんは悪い人間だとは思えない。たとえ仕事がなくなったとしても、今回は国からの保証金が入っているはずだし、家がいきなりお取り潰しになるわけがないはずだ。

「……詳細は保守義務のため控えさせていただきたいですが、私は平気ですので」
「わかったわ。じゃあ早速任務を行ってもらうわよ」
「……はい」
「まずはお風呂に入って身体を綺麗にしてきてください。ライド、ハット。あなた達二人はパンドラのサイズに合いそうな私服を、私の実家から何着か買ってきて頂戴」
「「承知いたしました」」

「……良いのですか」
 パンドラが不思議そうな顔をしてくる。
 この子、今まであっていたときは常に無表情だった気がしたけど、こんな顔もできるのか。

「まずは身嗜みからよ。良い仕事をするには良い環境と服装、それから心のケアも大事よ。これからよろしくね」
 私が微笑むと、お返しされるように微笑んでくれた。

「……感激」

 何があったかは聞かないでおくけれど、パンドラなら仲良くやっていけそうだ。
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