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20 離婚の申し込み

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「いやいや、納得できるものか! 何故離婚なのだーーーっ!?」

 私達四人がテーブルに座って話し合っていた最中、立ち上がり叫んだガルカの大声が部屋中に響き渡る。

 離婚の話だから無理もないか。

 使用人のハイタムとハットは見届け人として、そして万が一の時の護衛として同席させている。
 ハイタムもハットも女の子とはいえ、護身術と護衛術も完璧と言っていた。
 これほど心強い二人がいてくれるおかげで、私も怯えることなく話ができるのだ。

「ガルカ様、落ち着きましょう」
「これでは話し合いになりませんよ」
 使用人がガルカの荒ぶった感情を抑えてくれている。

「くっ……どういうことだシェリル。まだ新婚生活が始まって間もないんだぞ」
「時間の問題ではありません。レムさんの件で何か心当たりはありませんか?」

「……さぁな。幼馴染として大事にしていることがシェリルにとって気に食わないのだろ?」
「大事にするのは構いませんが、大事にし過ぎたことは気に入りませんね」

 徐々にガルカの表情が曇っていくように見える。

「何を言っているんだ? 俺がレムに手を出したと言いたいのか?」
「はい」

「いつ!? どこで!? 誰が!? 何で!? どうして!? あぁー!?」

 机をバンバン叩きながら荒れてしまっている。その度にハイタムとハットが仲裁してくれるので本当に助かる。
 二人だけだったら、私の身も危なかったのかもしれない。

『そういう男と離婚の話をするときは必ず護衛と見届け人をつけておくことをお勧めする。力尽くで揉み消す可能性もありえるだろう』
 ポップスさんが言っていたことは本当だった。

 しばらく時間をおいて、ガルカが落ち着いてきたところで再び説明を始めた。

「すでに証拠は後に行う裁判所へ提出しています。いきなり準備するのは大変だと思うので、今回は事前にお知らせということでここで話しているわけです」

「……少し落ち着いた、暴れてすまない……。突然のことで驚いたのだ。だが、何の準備だ? 自分が何を言っているのかわかっているのか? もし離婚など成立してしまえばお前が苦しむことになるだろ!?」

「私のことは心配しなくて結構です。ガルカ自身の心配をなさった方が良いかと」
「はぁ!? なぜだ? 俺はお前のことを心配して言ってやってるというのに」

 心配される覚えは全くない。

「私は今後も自力でやっていきますし、貴族でもないので独り身だって構いませんが」
「何を馬鹿なことを言っているのだ? そうか! そういうことか! やっとお前の本心が読めた!」

 さっきから喋っていることは全部本心で告げたことなのだが、私の何を読めたのかさっぱりわからなかった。
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