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4 ギャグと言われた

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「おぉ、さすがシェリルの作品だ。これも大ヒット間違いないだろう」

 私のデザインした新作を見て、お父様はとても喜んでいるようだ。
 ガルカとレムさんに非難された後だったので、いらぬ心配をしていた。
 だが、お父様の言葉を聞いてホッとした。

「シェリル、いつも助かっている。お前がデザインした服はほぼ全て大ヒットしているし、貴族の方々にも気に入られている。おかげで我が家は安泰になったのだから」
「そうですか。ところで……これも新作のようなものですが、どうでしょうか?」

 レムさんが描いたデザインを封筒のまま渡した。
 ここでは私以外の人がデザインしたことは伏せておく。

 あくまで私が描いたという設定で判断をして欲しかった。
 もしも私以外が描いたものと教えてからの判断では、販売しないと言われてしまいそうだからだ。
 せっかくのレムさんのデザインなのだから……。

 お父様は封の中身を確認したのだが、一瞬で表情が曇った。

「おい、……これはギャグのつもりなのか?」
「え……?」
「なんなのだこの落書きのような下手くそな絵は! それにデザインとしても酷すぎる。シェリルの描いた絵ではないだろう!」

 一瞬でバレてしまった。
 私も絵は見ていなかったので、お父様の持っているデザイン紙を見せてもらった。

「あぁ……これは酷い……」

 あれだけレムさんに自信があったのだから、最低限の絵は描けると思っていたのだが、デザイナーとしては厳しすぎるものだった。

「すみません、私以外の人が描いたものです。ですが、販売としての合否は正当に判断していただきたかったものですから……」
「まぁ、それなら構わんが……一体誰が描いたのだ?」

「名前は伏せておきますが……。実はこれを描いた人に私のデザインを否定されましてね。自信満々に『私も描きます、絶対売れます』と言っていたので、絵を確認しないで持ってきてしまいました。申し訳ございません」
「は!? その者はバカなのか?」

 お父様……ハッキリと言い切ってしまった。

「シェリルのセンスを否定するとは身の程知らずだな。何者かは知らんが、シェリルのデザインを悪く言う奴など許せるものか。二度とそいつのデザインは見せないでくれ」
「は……はい」

 あれ……だとしたら、ガルカのことも許せないということになってしまう。
 ウェディングドレスをおもいっきり指摘されたことは絶対に言わないでおこう……。


 商品化への相談も一通り終わったので、ガルカのお父様が働いている工場にも行った。
 ここで新作の服を製造してもらうのだ。

 依頼もすんなりと終えたので、今日はどこも寄らず家に帰ることにした。

「ただいまー」

 返事がない。出かけているのだろうか。

 いや、そうではなかった……。

 寝室あたりからだろう。レムさんの甘えるような声がしたので、すぐに足音を立てないようにして向かった。

 嫌な予感しかしない。

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