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1 結婚式の後に……
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私、シェリル=アルブライデと、ガルカ=デーギスとの結婚式は大盛況で幕を閉じた。
私たちは平民なのだが、仕事上お客様として関わりがある伯爵家や男爵家の方々まで式に参加していただけたのだ。
これだけたくさんの方々に祝福されたのだから、これからもっと幸せな毎日が訪れるのだろう。
「ところで、あのウェディングドレスはシェリルが作ったものだと聞いたのだが」
私は服のデザインをする仕事をしている。
今回のウエディングドレスのデザインも私が作成したもので、結婚式では自作のウェディングドレスを着たのだ。
「はい、渾身の作品でしたがいかがでしたか?」
式では、お得意様の伯爵様達からも称賛されていたが、ここはやはりガルカから感想を聞きたいものだ。
「あれは露出が多かった気がする……胸の谷間も少し見えていたし、肩なんて全開だったじゃないか……」
「え……?」
一番褒めて欲しかったガルカからは、まさかの非難だった……。
確かに私とのデートの時、丈が膝下のスカートを着用しているだけでもいい顔をしていなかったし、ウェディングドレスともなると、露出度は必然的に高くなってしまう。
「他人にシェリルの肌を見せるのはちょっと……」
「そうですか……大変失礼いたしました」
これから結婚初夜の大イベントなのに、私のテンションは駄々下がりになった。
それでも、ガルカは私のことを大事にしてくれているのからそう言うのだろう……。そうやってプラス思考で考えるようにして文句を言わずにこの場は乗り切った。
この後、夜の営みが待っているんだし。
♢
式場から帰路までは手を繋いで歩いていた。
「ついに新居での生活ですね」
「あぁ、この日をどれだけ楽しみにしていたことか……」
新居は王都の外れに建てた。この辺りは静かで自然も多いし、近くに公園もある。静かにゆっくりと仕事ができる絶好の場所だった。
新居の前に到着したのだが、家の中から明かりが漏れていた。
「ガルカ、使用人を雇ったのですか?」
私たちは一般市民だが、お互いの実家はそれなりに大きい家なので、使用人を数名雇っている。ガルカが雇った使用人がいるのかと思い、そう尋ねたのだが……。
「いや、雇っていない。そもそも俺は無職だし稼ぎは今のところないんだぞ。雇えるものか」
そこはいばらなくても良いだろう。私をあてにしないでちょっとでも良いから働いて欲しい。
「おかしいですね……新居には荷物を運び入れただけですし、まさか泥棒!?」
「いや、それは心配ない。俺の知り合いが来ているんだ。だから明かりもついてて当然だろう……」
そんな話は聞いていない。
結婚式の後はゆっくりと夫婦の仲を築き上げていく夜の時間と思っていたのだが、まさかいきなりお客様の接待をすることになるとは。
まぁ仕方がないか。お客様が帰られてから始めても遅くはない。
「お帰りなさい」
まるで自分の家かのように私たちを出迎えてきた二十歳前後の女性。どう見ても私たちと同い年くらいだろう。
顔立ちは整っていて、可愛いと思う。
だが……なんで寝間着姿なのだろうか。しかもうっすらと下着が透けて見えている。
「ただいまレム。こちらが妻になったシェリルだ。紹介しよう。この子は俺の幼馴染のレムだ」
「始めまして。私はガルカの妻、シェリル=アルブライデと申します」
内心では複雑な気分だったが、ニコやかに挨拶をすると、レムさんもにこりと笑う。
「レムです。シェリルさん、今日からよろしくお願いしますね」
ん……直感だが、嫌な予感しかしなかった。
「シェリル、レムと仲良くしてやってくれ。今日からこの家に一緒に住むんだから」
「え!? どういうことです!?」
そのような話も相談も全くされていなかったので、驚くしかなかった。
私たちは平民なのだが、仕事上お客様として関わりがある伯爵家や男爵家の方々まで式に参加していただけたのだ。
これだけたくさんの方々に祝福されたのだから、これからもっと幸せな毎日が訪れるのだろう。
「ところで、あのウェディングドレスはシェリルが作ったものだと聞いたのだが」
私は服のデザインをする仕事をしている。
今回のウエディングドレスのデザインも私が作成したもので、結婚式では自作のウェディングドレスを着たのだ。
「はい、渾身の作品でしたがいかがでしたか?」
式では、お得意様の伯爵様達からも称賛されていたが、ここはやはりガルカから感想を聞きたいものだ。
「あれは露出が多かった気がする……胸の谷間も少し見えていたし、肩なんて全開だったじゃないか……」
「え……?」
一番褒めて欲しかったガルカからは、まさかの非難だった……。
確かに私とのデートの時、丈が膝下のスカートを着用しているだけでもいい顔をしていなかったし、ウェディングドレスともなると、露出度は必然的に高くなってしまう。
「他人にシェリルの肌を見せるのはちょっと……」
「そうですか……大変失礼いたしました」
これから結婚初夜の大イベントなのに、私のテンションは駄々下がりになった。
それでも、ガルカは私のことを大事にしてくれているのからそう言うのだろう……。そうやってプラス思考で考えるようにして文句を言わずにこの場は乗り切った。
この後、夜の営みが待っているんだし。
♢
式場から帰路までは手を繋いで歩いていた。
「ついに新居での生活ですね」
「あぁ、この日をどれだけ楽しみにしていたことか……」
新居は王都の外れに建てた。この辺りは静かで自然も多いし、近くに公園もある。静かにゆっくりと仕事ができる絶好の場所だった。
新居の前に到着したのだが、家の中から明かりが漏れていた。
「ガルカ、使用人を雇ったのですか?」
私たちは一般市民だが、お互いの実家はそれなりに大きい家なので、使用人を数名雇っている。ガルカが雇った使用人がいるのかと思い、そう尋ねたのだが……。
「いや、雇っていない。そもそも俺は無職だし稼ぎは今のところないんだぞ。雇えるものか」
そこはいばらなくても良いだろう。私をあてにしないでちょっとでも良いから働いて欲しい。
「おかしいですね……新居には荷物を運び入れただけですし、まさか泥棒!?」
「いや、それは心配ない。俺の知り合いが来ているんだ。だから明かりもついてて当然だろう……」
そんな話は聞いていない。
結婚式の後はゆっくりと夫婦の仲を築き上げていく夜の時間と思っていたのだが、まさかいきなりお客様の接待をすることになるとは。
まぁ仕方がないか。お客様が帰られてから始めても遅くはない。
「お帰りなさい」
まるで自分の家かのように私たちを出迎えてきた二十歳前後の女性。どう見ても私たちと同い年くらいだろう。
顔立ちは整っていて、可愛いと思う。
だが……なんで寝間着姿なのだろうか。しかもうっすらと下着が透けて見えている。
「ただいまレム。こちらが妻になったシェリルだ。紹介しよう。この子は俺の幼馴染のレムだ」
「始めまして。私はガルカの妻、シェリル=アルブライデと申します」
内心では複雑な気分だったが、ニコやかに挨拶をすると、レムさんもにこりと笑う。
「レムです。シェリルさん、今日からよろしくお願いしますね」
ん……直感だが、嫌な予感しかしなかった。
「シェリル、レムと仲良くしてやってくれ。今日からこの家に一緒に住むんだから」
「え!? どういうことです!?」
そのような話も相談も全くされていなかったので、驚くしかなかった。
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