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第三章 サンシャイン公国編

23 活気のある国

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「シャインのおかげで貧民街だった地も素晴らしい国へと発展した。感謝しても足りん!」

 ザイラスが私に頭を下げながら私にそう言う。
 いたたまれない気持ちになってしまった。

「国が発展したのは住んでいる人たちのおかげでしょう? 私はただ、風呂に入りたいから風呂を作った。遊びたいから麻雀を作った。ただそれだけです」
「その行為でどれだけ人々を幸せにしたことだと思っている?」

 またまた大袈裟な……。
 だがザイラスからだけでなく、スティールからも同じようなことを言われてしまった。

「シャイン様は私たちに柔道と合気道という新種の技を伝授いただき、そのうえ人々を貧相から裕福にさせたのですよ。まさに公国の頂点として申し分のないくらいです」
「いやぁ……そんなぁ……」

 スティールにそう言われると照れてしまう。
 その上、とんでもないことを言ってきた。

「シャイン様とむずばれるお方は幸せでしょうね」
「いえいえ、バツイチなんで」
「そんなの関係ありませんよ。むしろ、シャイン様を捨てた方はシャイン様の魅力に気がつけなかったのでしょうね。お気の毒です」

 ブロンダは女癖が悪すぎる男だったからな……。
 その上前世の私も男運がなかった。
 きっと、この先もそういうことに関しては縁がないのだろう。
 だからこそ、スティールに対しても前向きに動けなかった。

「むしろ、お前とシャインならいい関係じゃね!?」
「「はい!?」」

 スティールと声が被ってしまった。

「息ぴったりじゃねぇか」

 今のは偶然だ。
 横でスティールが顔を真っ赤にしている。
 そりゃ意中じゃなくてもこんなふうに言われたらそうなるって……。

「前々からお前ら良い感じだと思っていたんだがな」
「いえいえ、私などがシャイン様とでは釣り合いませんからね……。もちろん結ばれたら死ぬほど喜びますがね」
「ななな、なんですって!?」

 脈ありな言い方じゃないか!
 私はつい、スティールに真顔で目をキラキラさせながらジッと見つめた。

「え? シャイン様?」
「ふっ……。これはおめでとうだな!」
「むしろ私がスティール相手では釣り合わないんじゃないかと思っていたんだけど。スティールはすぐに柔道も合気道も私より強くなったし、普段だって……それに、顔だって……」
「そんなふうに評価されていたなんて、幸せすぎて倒れそうですよ」

 やばい、ドキドキが止まらない!
 スティールの顔をずっと見たままが続く。
 やがて、スティールが私の肩にそっと手を置いてきた。

「シャイン様、私でよければ末永くご一緒に側に置いていただけないかと」
「勿論!! むしろずっと好きだったから嬉しすぎる!!」

 私に春が来たようだ!!
 貧民街に来てから、私の人生が薔薇色に変化した。
 前世でもその前の私自身の人生も、悲惨な結末だった。

 だが、今回こそはこのまま幸せにやっていける気がする。
 今の私には、アルマとエレナ、それにミーナもいる。
 更に頼りになるし恋のキューピット役になったザイラス、そしてスティール、更に更に、サンシャイン公国に住む住民全員がいてくれる。

 絶対に大丈夫だ!
 私はスティール達と一緒に幸せになる!



ーーーーーーーーーーーー
【後書き】

これにて完結です。

実はこの物語を作っている最中、ミーナの立ち位置をどうしようか悩みました。
最初はザマァキャラにしようかと思っていましたが、たまには変化球のようなこともしてみたかったので、まさかの味方サイドという流れにしました。

たまには変化球系の作品も書いていこうかと思っています。

最後にいつもの新作お知らせです。

『正式な婚約へするために』
あらすじに書いたとおりこちらもかなり挑戦的な作品です。
是非宜しくお願い致します。

完結までお付き合いくださり、ありがとうございました。
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