13 / 23
第二章 貧民街編
13 やばい状況
しおりを挟む
「さっきから気になっていたんだが、ミーナのお知り合いさんもなかなかの色気だよな」
「シャイン様たちは関係ないでしょ!? 狙いは私なんだから!」
「いや? お前たちの持っている荷物と身体が狙いだよ。可愛い子四人もいっぺんに相手できるんだから、最高の一日だぜ」
襲われるのが確定だなこれは。
ならば、容赦する必要もないだろう。
どうせ貧民街なら無法地帯なんだし。
「うがぁあ!!」
私に一番近かった男に対して、とりあえず得意の背負い投げを披露した。
相手は受け身を知らないようで、身体が地面にもろに直撃する。
私自身が非力でも、重力が加わってくれれば多少はダメージを与えられるのだ。
「なにしやがる!?」
「だって、私たちを襲う気なんでしょう? 自己防衛するに決まってんじゃん!」
「ふざけんな!! その女からヤっちまえ!」
大勢でかかってくるのかよ。
どこまで腐ってんだこいつらは。
合気道と柔道技を駆使して、なんとか五人は地面に叩きつけたが、体力の消耗が激しい。
しかも、息の上がっているところで最初にミーナに近づいていたボスらしき男が卑怯なことをしてきた。
「いやーー!!」
「たすけてぇ……」
無防備のアルマとエレナに対して人質みたいなことをしてきたのだ。
これでは反撃がとれない。
せっかく地面に叩きつけたのに、男たちがむくりと起き上がり、再び私は囲まれてしまった。
あ、これって絶対にヤバイやつだ。
「よくも恥をかかせてくれたな……」
「てめぇには何倍にもして恥をかかせてやるから覚悟しろ!」
「まずは服を剥ぎ取っちまえ!!」
反抗をしたくても、すでに私の体力も限界だったし、どうしようもできない。
はぁ……、貧民街に来ていきなり絶体絶命になるなんて……。
こんなことになるなら、ブロンダが用意していた毒をあのときに飲んでいたら悲惨な運命を避けられたかもしれないと、再び後悔がはじまる。
だが、私の服を脱がされそうになったときだった。
「いや、少し待て!!」
「なんでだ!? コイツは俺たちに攻撃を……」
「そうではない。その女は最後にしろ。まずはそいつの仲間が哀れになっていく姿を見せつけてやろう。所詮テメェ一人で何もできない無力な情けない女だと絶望させてやろうぜ」
「さすが兄貴!!」
おいおいおい、ちょっと待て!
どこまで貧民街のチンピラはゲスな奴らなんだよ!
私が思い描いていた想定よりもはるかにクズばかりではないか。
「ふざけないでよ!」
私はそう言いながら、なんとか二人の男を投げ飛ばして動けなくさせた。
だが、相手はまだ残っていて、ついに体力の尽きた私は取り押さえられ、地面に叩きつけられた。
さすがに三人もの男から体を押さえつけられたら抵抗しても勝てない。
「ミーナたちには何もしないで!」
「いやだね! ミーナの親が貧民街を仕切っていた頃はある程度制限をかけられ俺たちも黙っているしかできなかった。だが、そいつがいなくなったおかげでようやく俺たちに自由が手に入ったんだからな!」
「は!? え!? ミーナの親がいなくなったって……?」
「あいつはここ数ヶ月顔を見てねぇ。つまり、ミーナならどういうことかわかるよな?」
「まさか……死んだとでも!?」
「そういうことだ。この地で仕切っていた奴が急に消えた。つまりどこかで死んだと断言してもいい。せっかく帰ってきたのに生憎だったな」
「く……」
ミーナが悔しそうにしていた。
あぁ、私の判断は失敗だったようだな。
やっぱり私一人で貧民街へ来るべきだったのだ。
わざわざ危険な目に遭わせてしまうなんて……。
もうどうしようもできない。
折角前世の記憶があるのに、何もできないなんて情けない。
私は見ていられないので目を瞑り、現状を見ないように逃げようとした。
「ぐふぅっ!!」
「え?」
突然、ボスらしい男の悲鳴が聞こえたので再び目を開ける。
いつの間にか、体格がよくて見ただけでもかなり強いと思えるような男が、ボスを苦しめていたのだ。
味方か!?
一体誰!?
「お父さん!!」
ミーナが涙をこぼしながら口にした言葉だった。
「シャイン様たちは関係ないでしょ!? 狙いは私なんだから!」
「いや? お前たちの持っている荷物と身体が狙いだよ。可愛い子四人もいっぺんに相手できるんだから、最高の一日だぜ」
襲われるのが確定だなこれは。
ならば、容赦する必要もないだろう。
どうせ貧民街なら無法地帯なんだし。
「うがぁあ!!」
私に一番近かった男に対して、とりあえず得意の背負い投げを披露した。
相手は受け身を知らないようで、身体が地面にもろに直撃する。
私自身が非力でも、重力が加わってくれれば多少はダメージを与えられるのだ。
「なにしやがる!?」
「だって、私たちを襲う気なんでしょう? 自己防衛するに決まってんじゃん!」
「ふざけんな!! その女からヤっちまえ!」
大勢でかかってくるのかよ。
どこまで腐ってんだこいつらは。
合気道と柔道技を駆使して、なんとか五人は地面に叩きつけたが、体力の消耗が激しい。
しかも、息の上がっているところで最初にミーナに近づいていたボスらしき男が卑怯なことをしてきた。
「いやーー!!」
「たすけてぇ……」
無防備のアルマとエレナに対して人質みたいなことをしてきたのだ。
これでは反撃がとれない。
せっかく地面に叩きつけたのに、男たちがむくりと起き上がり、再び私は囲まれてしまった。
あ、これって絶対にヤバイやつだ。
「よくも恥をかかせてくれたな……」
「てめぇには何倍にもして恥をかかせてやるから覚悟しろ!」
「まずは服を剥ぎ取っちまえ!!」
反抗をしたくても、すでに私の体力も限界だったし、どうしようもできない。
はぁ……、貧民街に来ていきなり絶体絶命になるなんて……。
こんなことになるなら、ブロンダが用意していた毒をあのときに飲んでいたら悲惨な運命を避けられたかもしれないと、再び後悔がはじまる。
だが、私の服を脱がされそうになったときだった。
「いや、少し待て!!」
「なんでだ!? コイツは俺たちに攻撃を……」
「そうではない。その女は最後にしろ。まずはそいつの仲間が哀れになっていく姿を見せつけてやろう。所詮テメェ一人で何もできない無力な情けない女だと絶望させてやろうぜ」
「さすが兄貴!!」
おいおいおい、ちょっと待て!
どこまで貧民街のチンピラはゲスな奴らなんだよ!
私が思い描いていた想定よりもはるかにクズばかりではないか。
「ふざけないでよ!」
私はそう言いながら、なんとか二人の男を投げ飛ばして動けなくさせた。
だが、相手はまだ残っていて、ついに体力の尽きた私は取り押さえられ、地面に叩きつけられた。
さすがに三人もの男から体を押さえつけられたら抵抗しても勝てない。
「ミーナたちには何もしないで!」
「いやだね! ミーナの親が貧民街を仕切っていた頃はある程度制限をかけられ俺たちも黙っているしかできなかった。だが、そいつがいなくなったおかげでようやく俺たちに自由が手に入ったんだからな!」
「は!? え!? ミーナの親がいなくなったって……?」
「あいつはここ数ヶ月顔を見てねぇ。つまり、ミーナならどういうことかわかるよな?」
「まさか……死んだとでも!?」
「そういうことだ。この地で仕切っていた奴が急に消えた。つまりどこかで死んだと断言してもいい。せっかく帰ってきたのに生憎だったな」
「く……」
ミーナが悔しそうにしていた。
あぁ、私の判断は失敗だったようだな。
やっぱり私一人で貧民街へ来るべきだったのだ。
わざわざ危険な目に遭わせてしまうなんて……。
もうどうしようもできない。
折角前世の記憶があるのに、何もできないなんて情けない。
私は見ていられないので目を瞑り、現状を見ないように逃げようとした。
「ぐふぅっ!!」
「え?」
突然、ボスらしい男の悲鳴が聞こえたので再び目を開ける。
いつの間にか、体格がよくて見ただけでもかなり強いと思えるような男が、ボスを苦しめていたのだ。
味方か!?
一体誰!?
「お父さん!!」
ミーナが涙をこぼしながら口にした言葉だった。
0
お気に入りに追加
797
あなたにおすすめの小説
両親から溺愛されている妹に婚約者を奪われました。えっと、その婚約者には隠し事があるようなのですが、大丈夫でしょうか?
水上
恋愛
「悪いけど、君との婚約は破棄する。そして私は、君の妹であるキティと新たに婚約を結ぶことにした」
「え……」
子爵令嬢であるマリア・ブリガムは、子爵令息である婚約者のハンク・ワーナーに婚約破棄を言い渡された。
しかし、私たちは政略結婚のために婚約していたので、特に問題はなかった。
昔から私のものを何でも奪う妹が、まさか婚約者まで奪うとは思っていなかったので、多少驚いたという程度のことだった。
「残念だったわね、お姉さま。婚約者を奪われて悔しいでしょうけれど、これが現実よ」
いえいえ、べつに悔しくなんてありませんよ。
むしろ、政略結婚のために嫌々婚約していたので、お礼を言いたいくらいです。
そしてその後、私には新たな縁談の話が舞い込んできた。
妹は既に婚約しているので、私から新たに婚約者を奪うこともできない。
私は家族から解放され、新たな人生を歩みだそうとしていた。
一方で、私から婚約者を奪った妹は後に、婚約者には『とある隠し事』があることを知るのだった……。
【完結】時戻り令嬢は復讐する
やまぐちこはる
恋愛
ソイスト侯爵令嬢ユートリーと想いあう婚約者ナイジェルス王子との結婚を楽しみにしていた。
しかしナイジェルスが長期の視察に出た数日後、ナイジェルス一行が襲撃された事を知って倒れたユートリーにも魔の手が。
自分の身に何が起きたかユートリーが理解した直後、ユートリーの命もその灯火を消した・・・と思ったが、まるで悪夢を見ていたように目が覚める。
夢だったのか、それともまさか時を遡ったのか?
迷いながらもユートリーは動き出す。
サスペンス要素ありの作品です。
設定は緩いです。
6時と18時の一日2回更新予定で、全80話です、よろしくお願い致します。
婚約破棄したなら帰らせて!こんな国どうなっても知りません!
gacchi
恋愛
好きでもない王子からの婚約破棄は嬉しかったのに、どうしてそのまま帰してくれないの!?義妹を喜ばせるためだけに媚薬を飲ませた上で令息に追いかけさせるって、それはあまりにもひどすぎるでしょう?こうなったらきっちり仕返しします!
婚約破棄は綿密に行うもの
若目
恋愛
「マルグリット・エレオス、お前との婚約は破棄させてもらう!」
公爵令嬢マルグリットは、女遊びの激しい婚約者の王子様から婚約破棄を告げられる
しかし、それはマルグリット自身が仕組んだものだった……
旦那様、本当によろしいのですか?【完結】
翔千
恋愛
ロロビア王国、アークライド公爵家の娘ロザリア・ミラ・アークライドは夫のファーガスと結婚し、順風満帆の結婚生活・・・・・とは言い難い生活を送って来た。
なかなか子供を授かれず、夫はいつしかロザリアにに無関心なり、義母には子供が授からないことを責められていた。
そんな毎日をロザリアは笑顔で受け流していた。そんな、ある日、
「今日から愛しのサンドラがこの屋敷に住むから、お前は出て行け」
突然夫にそう告げられた。
夫の隣には豊満ボディの美人さんと嘲るように笑う義母。
理由も理不尽。だが、ロザリアは、
「旦那様、本当によろしいのですか?」
そういつもの微笑みを浮かべていた。
【完結】王太子は、鎖国したいようです。【再録】
仲村 嘉高
恋愛
側妃を正妃にしたい……そんな理由で離婚を自身の結婚記念の儀で宣言した王太子。
成人の儀は終えているので、もう子供の戯言では済まされません。
「たかが辺境伯の娘のくせに、今まで王太子妃として贅沢してきたんだ、充分だろう」
あぁ、陛下が頭を抱えております。
可哀想に……次代の王は、鎖国したいようですわね。
※R15は、ざまぁ?用の保険です。
※なろうに移行した作品ですが、自作の中では緩いざまぁ作品をR18指定され、非公開措置とされました(笑)
それに伴い、全作品引き下げる事にしたので、こちらに移行します。
昔の作品でかなり拙いですが、それでも宜しければお読みください。
※感想は、全て読ませていただきますが、なにしろ昔の作品ですので、基本返信はいたしませんので、ご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる